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映画ターミナルのような話し part2-② (スリランカ~モルディブ編 序章)

アンマドおじさんとのほのぼのデート

ホテルに向かう車内から外を眺めると、数年前に来た時と何も変わっていなくてニヤニヤしてくる。

建設中だった高層ビルはまだ建設中だった。

懐かしいなぁ。この赤土。
埃っぽい空気。

ホテルまでは30分くらいの予定。
とはいえここはコロンボ。
早く着くかもしれないし、もっとかかるかもしれない。

何が起こるかわからないワクワクドキドキのコロンボ。

やることも無くアンマドおじさんとずっと話してた。

おじさんには美しい娘が2人いて、私くらいだという。
色々話してると、どうも話が合わなくて、よくよく聞けば娘はまだ18歳と20歳との事。

おーいアンマドー!
なんか… ありがとー

私30歳すぎてますねん。( ・́∀・̀)ヘヘヘ
ヘラヘラ笑うとアジア人はわからないね!と驚き、独身だと言えば親戚のように心配しだす。

空港付近の広々とした道路から市内に入る。

煌びやかな宝石屋さんが並ぶ町に着飾った女性の大きな看板。
高級車もバンバン走っている。
かと思えばトタン屋根をツギハギにした小屋の前に坐る白髪の老女や、裸足でサッカーをしている子供に痩せた犬。
急にコロンボの底辺の人々の暮らしが目に飛び込む。

派手な色と錆びた色合いが混ざりあう町。
なんとも形容しがたい気分に包まれていく。


突然「Oh…」と速度を落とす。

「あれ見て」と指さすほうに人が慌ただしく動いていて、道路の中心に大きな穴があいていた。

「Sorry Madam, we can't go through this way 」
回り道しなきゃだから予定時間が遅れてしまうと申し訳なさそうに別の道を探し出すアンマド。

私としては特に予定もなかったし、市内観光できて楽しいし、
料金もメーターではなく、チャーターなのでまったく問題ない。

むしろ、アンマドは時間は大丈夫なの?と聞くと、今日は1日マダム(私)の運転手だから大丈夫との事。

ならば…このまま買い物にいきたい!
と言うと「Ok Madam」とコロンボの老舗でオシャレなデパートのODELに行くことに。

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到着するとアンマドは「ここで待ってるから終わったら電話してね」と外で待つ。

モルディブには大型ショッピングモールはないので、一気にアドレナリン放出。

ODELでは仕事道具や新しいコスメを買い込み、私の好きなBarefootというスリランカのブランドのお店でカラフルなコットンのポーチや小物をGetし、程よく歩いて疲れたところに甘いクレープを頬張る。

モルディブには無い贅沢に至福の時を過ごし、
アンマドの元に戻る。

丁度、お昼過ぎたくらいでお腹も空いてきた。

「アンマド、お昼食べた?」聞けば食べてないと言う。

「じゃ、なんか一緒に食べよう!」と言うと、何度か断られるけどODEL出ちゃったし、レストランも知らないから、アンマドがいつも行くようなローカルの所に連れてってと頼み込む。

渋々、「わかった…でも、僕は素敵なお店も知らないから本当にローカルだけど大丈夫?」と言う。

ローカル大歓迎だと笑うと、本当に想像を超えてボロボロのローカル食堂に到着した。

カウンターのショーケースにざっと並べられた食べ物。
割とハエが飛び回っている店内にはクーラーなどはもちろんなく、大きなファンが天井にクルクル回っている。
本能的に「生水はやめておけ」と察知する。


見た目でこれとこれ!と選ぶ。
コーヒーなら大丈夫だろうと、目と歯がやたら白くギラギラするウェイター的な爽やかにきっちり髪を2:8で分けたお兄さんに注文。

少し待って運ばれてきたものは、揚げパンみたいなものと渦巻きになったなにか。←
それと白い粉がクルクル回りながら浮遊しているコーヒーだった。

コーヒーはおそらく粉ミルクを入れたけど溶けてなくて、飲み干すにつれて甘さが増す 笑
うん。きっと砂糖が沈殿してるんだな。
しかも生ぬるい。

このアバウトさが可愛い。

揚げパンの中にはカレーみたいなのが入っていて、味がどうとか以前に涙が出るほど辛い。舌が痺れてくる。

渦巻きの何かは砂糖を絞り出してそのまま揚げたような「甘いのみ」の食べ物だった。

なんだろ、この食事は。

面白すぎる!

心配そうなアンマドの眼差しに大丈夫って笑うと、安堵した顔で自分も食べ始める。

辛い、甘い、粉っぽい。
辛い、甘い、粉っぽい。

残すと悪いので、汗をかきながら食べ進むと
アジア女性がまさかこんなところに来るとは思ってなかっただろう他の客もみな、私が食べるのをすごい眼力でみてくる。

厨房にいた少し年配のおじさんが、爽やか兄さんに何かいうと、お兄さんがカタコトの英語で

美味しいか?と聞いてくる。

「美味しいかどうかは分からなかったけど、面白かったのでGoodだよ」って言ったら通訳されて、みんながドッと笑う。

「それは1番辛いフードだけど、僕にも辛いよ」と言う爽やか兄さん。

「そうだよねえ?笑 早く教えてよぉ~!辛かったー!」

またみんなが笑いだして口々に話し出す。

アンマドも笑っていて、厨房のおじさんが爽やか兄さんにこれ持っていけと別の小さい揚げパンをくれた。

恐る恐る食べてみると、大豆を甘辛カレーで炊いたようなものが入っていてとっても美味しかった。

「おいしーよ!」と親指を立てて言うと周りの客まで親指を立てて笑いだした。

爽やか兄さんはこの変なアジア人は何者かと気になったのか、カタコトで色々聞いてくる。

「モルディブで働いているマリアンだ」と言えば、今度はイスラムネームなのか、お前はムスリムなのか?結婚は?何人だ?
と、たくさん質問が帰ってくる。

(あれ?この人ハッサンかな?デジャブ?笑)

「モルディブの家族がつけてくれた名前だけど、ムスリムではない日本人のマリーだ」

どこからとなく「マリー…」とおじさんたちが復唱しだす。

返事をしながら ご馳走様!とお代を差し出すと

アンマドが「No-no」と自分が払うと慌てるけど私は無視した。

ご飯付き合ってくれてありがとう!って言うと

「Oh, Thank you too . you are so different with other people」と、なんか見合わないほどの感謝を返される。

店を出て車に乗り少し走るとアンマドが「Madam, do you have a time?」と聞いてくる。

あるよ。なんで? 尋ねると、ちょっと寄り道するね、と言う。

(はは~ん。さては、こやつ、私をどこぞの土産屋に連れていく気じゃなかろうな?)

(いや、アンマドはいい人だもん、そんな事はしないわ)

天使と悪魔が両肩で囁き会う。

とにかく何も予定はなかったし、モルディブではできない長距離ドライブができるので、アンマドの誘いに乗ることにした。

アンマドが向かった先は赤土だらけの地域でヒンドゥーの建物が並んでいた。

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屋根の部分にヒンドゥーの神様が沢山くっついてて、いろんなポーズでこちらを見下ろしていた。

路地には錆びたフェンスや、路面に座って色んなものを売っていて、とにかく色鮮やかな場所だった。

「マダムはこういう場所が好きかなと思って」と、その路地に入ると「車から降りないで」と言い残し、少し先にあるワゴンで何か売ってる人のところに向かう。

すぐ戻ってきたアンマドの手に昔懐かしいタイプのアイスクリーム。

ランチのお礼にと、手渡されて私は心から感激した。

そのまま2人でアイスを食べながらドライブをし、目的地に到着。

「ありがとう!アンマド!また明日よろしくね!」

そう言って空港で支払っていた今日の分の代金と別に、
「これ少ないけどチップだよ。運転ご苦労さま!」とあちこち連れ回したお礼をすると、「いらないよ」と受け取ろうとしなかった。

でも、空港での契約とはかけ離れて連れ回したし、ガソリン代もあるだろうしと言うと、「わかった。明日受け取るね」と、爽やかに手を振って帰っていったのでした。

パート3につづく

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