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家族のはなし

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うちの家族の日常
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#肝臓癌

父を看取った

父の希望を叶えるために、お世話になってきた病院から自宅に連れて帰ってきた。 昔から「俺が死ぬ時は延命はしなくていいからな」と何度も聞かされてきた。 なんなら、死んだ後に体を洗ったり、 豪華な花を棺にも入れなくていいと。 理由は、「死んでからでは意味がない」だった。 今が1番大切だと常に言っていて、 花を送りたいなら今送れ。 手を繋ぐなら今繋げ。 感謝は今しろ。 そう言って母の手を取り 周りの人を大切にする人だ。 最後は畳の上で父は自宅に帰って畳の上で、 母の

奇跡を知る

父はもう、かれこれ10年以上、肝臓癌と戦い続け 満身創痍ながらも勝ち続けている。 初めて見つかった時に余命宣告を受けるも、熱心な先生に出会えたことで15時間に及ぶ大手術をし、3分の2の肝臓を取り見事に回復した。 手術室に運ばれながら、色んな管を通された手で Vサインを高く掲げながら扉の向こうに消えた父がかっこよくて、愛おしかった。 手術が終わり、集中治療室の窓越しに弱々しくもまたVサインをだした父。 そんな父も今年70歳になり、 ○年生存率とかいう、癌患者の寿命