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名作日本テレビドラマ個人的オールタイムベスト30!(20〜11位編)

今回は個人的オールタイムベストテレビドラマの20位から11位まで!
前回のランキング30〜21位編はこちらから↓

20位くらいになると正直全部めちゃ面白い!
ここまで来ると全部が1位でも良い(笑)
ただそれだとランキングにならないので一応順位つけました。
あと気をつけてはいるのですが、だんだん熱量が上がってきて文字数が増えてます。
あしからず。

※基本最新作品ではないのでネタバレの概念はないものとします。
但しドラマの根幹に関わるような(それを知るだけで物語の面白さが損なわれるような)ネタバレはできるだけ伏せるように頑張ります。
ご注意ください!

<ルール>

* オールタイムなのですが、2024年現在でもある程度視聴できる環境があるということなどを考慮していくうちに90年代以降に自然になりました。
* 最初深夜ドラマ(30分枠)も含めてやろうと思ったのですが、数が膨大になりすぎたのと深夜ドラマは独自路線をいくドラマが多いので今回は除外しました。
但し、夜帯に放送していたドラマでも放送時間が30分を超える作品に関しては含めてます。

○ 2024年春ドラマ(7月までに放送終了)までが対象
○ 日本(民放のみ)で制作/放送されたものに限る( NHK/WOWOW/
ストリーミングなどは除く)
○ 連続ドラマに限る(単発や前後編などは除く)
○ シリーズモノはシリーズ全体ではなくどのシリーズかを基本指定する
○ 製作年/放送局/放送時間・話数/平均視聴率はWikipediaに記載されてる情報から抜粋

※ 現在(2024/8/23)観ることができる主要なストリーミング(サブスク/見放題)を記号で記載しますが、当方調べであり日々変わっていくのもののため確実ではありませんのでご了承ください。
【各種ストリーミング記号:Netflix=N、A=Amazon Prime Video、U-NEXT=N、Hulu=H、FOD=F、TELASA=T】
※ 広告や忖度など一切無しのランキングです。


No.20 『お金がない!』

1994年/フジテレビ系/55分×12話/平均20.5%
【ストリーミング:無】

企画がフジテレビのスーパーヒットメイカー・石原隆、メイン脚本が『ナースのお仕事』シリーズを大ヒットさせた両沢和幸、メイン演出が『振り返れば奴がいる』映画『ホワイトアウト』など織田裕二作品に欠かせない若松節朗
さらに演出チームには『踊る大捜査線』シリーズ本広克行の名前も。
『踊る大捜査線』 『東京ラブストーリー』 世界陸上などの影に隠れているが織田裕二の当たり役ドラマ!
一時期フジテレビでびっくりするくらい再放送やってた気がするけど、これストリーミング配信して無いんですね…
FODにはあってもいいでしょ…
ジャンル的にはサクセスストーリー×コメディというイメージ。
親が残した多額の借金と2人の小さい弟を抱えてギリギリの生活をする萩原健太郎(織田裕二)が、コミュニケーション能力の高さと地頭の良さで駆け上がっていく様はまさに爽快!
周囲を囲むヒロイン役の財前直見とその兄の松崎しげる、同僚の東幹久金田明夫、借金取りの今井雅之&高杉亘など配役も良い。
そして根幹では疑似的な“エディプスコンプレックス“を描いている。
親のいない萩原の才覚を買って息子のように成長を見守る社長の石橋凌とその期待に応えたいと奮闘する萩原。
それがラスト社長の汚職事件へと発展していく中で萩原の疑念が社長を乗り越えないといけないという想いへ変化していく。
ただそんな難しいこと考えなくてもコメディなのでちゃんと面白い!
あとエンディングで織田裕二が歌う主題歌『OVER THE TROUBLE』に合わせて「社長になった萩原が会社の中を歩き回って社長室まで向かう映像があるんだけど、これが異常に印象に残っている。
実際ドラマの中で萩原は社長の椅子までたどり着けるのか?
ぜひ自分の目で確認して欲しい!
レンタルしないと観れないけど…


No.19 『リーガル・ハイ』(シーズン1)

2012年/フジテレビ系/54分×11話/平均12.5%
【ストリーミング:無】

皆様は『半沢直樹』だと言うでしょうが、個人的には堺雅人のキャリアハイ作品!
脚本は『コンフィデンスマンJP』シリーズや大河ドラマ『どうする家康』古沢良太
日本では人気のリーガル(法廷)モノの最高峰作品だと思う。
何が凄いかってそもそもリーガルモノってコメディと相性があまり良くない。
医療モノもそうなんだけど、基本的に人の人生がかかっている問題に対して笑いを織り交ぜるのは至難の技。
普通は「いや笑えないよ」ってなってしまうので。
しかしその前提を覆してコメディ要素を綺麗にミックスさせたのが今作。
魅力はなんといっても堺雅人演じる弁護士・古美門。
自己中心的で金に貪欲、偏屈、狡猾、浪費家、スケベと人間としては最悪だが弁護させたら超優秀。
そしてとにかくよく喋る。(堺雅人に定着しためちゃ喋るキャラクターはここからきてるはず。)
このどう考えても悪役にしか思えない人物を完璧に演じて、主人公にできるのは堺雅人しかいない。
もちろんただの変なやつではなく、裁判シーンでは毎回ちゃんと良いこと言います!
そして異常な正義感から“朝ドラ”と揶揄される相棒を演じるのが新垣結衣
この2人の口論シーンが毎話の楽しみ。
2人に変な恋愛感情が湧かないのもポイント高い。
しかし“朝ドラ”はまだマシだけど、セクハラ・パワハラ上等で暴言吐きまくりなので、現代のコンプラ時代では成り立たなかっただろうなぁ。
なので続編も期待できないですね…半沢とかVIVANTよりこっちが観たいのだが…
他にはシーズン2とSP版が2つあって、すべてストリーミング配信は無し。(ストリーミングで検索すると出てくるのは韓国リメイク作品なので要注意!)
おそらくレギュラー出演者の不祥事が原因だと思うのだけど、テレビじゃなくて配信なら観たい人しかいないんだから良いでしょと思ったり…
とりあえずはおとなしくレンタルしましょう。


No.18 『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』

2010年/TBS系/54分×10話/平均10.5%
【ストリーミング:A・U・H】

ランキングでこの後に出てくる『ケイゾク』と同じ世界線に位置するミステリードラマ。
『ケイゾク』から演出の堤幸彦、プロデューサーの植田博樹、脚本の西荻弓絵などメインスタッフが引き続き携わっているだけでなく、竜雷太(野々村係長)や徳井優(近藤)などは同じキャラクターで出演。
今作と『ケイゾク』に関して友達と話していて個人的に感じるのが、どちらを先に観たかでお互いの評価が違うのかなと。
先に今作を観てから『ケイゾク』を観ると「物足りない」と感じるし、『ケイゾク』の後に今作を観ると「やりすぎ」だと感じるのだと思う。
私はどっちも好きなんだけど、やはり『ケイゾク』を先に観たのでそちらの方が上位かなぁ。
そのやりすぎ感というのは“SPEC”と呼ばれる特殊能力が原因で、この特殊能力がどんどん大きくなっていって終盤ごちゃついてしまうんですよね…
ただこのドラマシリーズに関してはなんとかギリギリうまくまとめたと思います!
この後のSP版と映画になるともうめちゃくちゃなので(笑)
“異能”については『TRICK』でも主題となっていて堤さんが描きたかった所なのかなと思うし、同じ世界線で進化しない状況を描いてもという考えもあるので、仕方がない選択だったかな。
流れ的には1話完結で事件を解決しつつ、後半縦軸となる伏線を回収していくフォーマット。
6話くらいまでの1話完結で主演の2人(戸田恵梨香&加瀬亮)がバカなことを言い合いつつ事件を解決していく日常回的なところが非常に好き。
まぁ特殊能力系のチート代表格「時を止める」能力者に対してどうやって戦うのかとか、本当の敵とその能力の真相についてとか後半も面白さはあるけど。
ただ最終回で完結しないというか、本当に大事な部分がわからないまま終わっていくのだけちょっと残念だった。(ここに関してはSP版で判明。)
あと個人的に戸田恵梨香が演じる当麻というキャラクターがめちゃ可愛いと思う。
髪ボサボサで常時リクルートスーツ、謎の死語を連呼、ニンニクマシマシ餃子で臭いしなんでもマヨネーズかける、たまにぶりっ子。
こんなキャラを成立させられるのは戸田恵梨香だけ。
大体みんなに変だねって言われます(笑)
シリーズの他にSP版が2つ、映画が3つ、配信ドラマシリーズ2つと全て追うのはかなり大変。
ただ上記の通りSP版の1つ目くらいでシリーズ最終回の謎が解けるのでそのくらいまで観れば良いかと。
その後は本当に理解するのが大変なのでチャレンジしたい方は…


No.17 『すべてがFになる』

2014年/フジテレビ系/54分×10話/平均8.9%
【ストリーミング:F】

森博嗣の同名デビュー小説の実写化作品。
メイン脚本は脚本界のユーティリティプレイヤー・黒岩勉。(ミステリーからラブストーリー、アクション、料理や医療モノなどを始めアニメの脚本までこなすトップランナー脚本家。)
今作に関してはまず原作が面白すぎるという要素が強い。
『すべてがFになる』は森博嗣のS&Mシリーズと呼ばれるシリーズの1編でドラマ自体はこのシリーズから5編を抜き出して構成している。
1話完結or縦軸となる1つの事件を追いかけるパターンが多いミステリードラマとしては異例の2話完結というスタイルを取る。
これはおそらくミステリー界隈でも“理系ミステリー”の代表格とされる森博嗣の原作におけるトリックがかなり複雑なため、1話54分で描き切るのが不可能だったからではないかと思う。
森博嗣は元国立大学工学部の助教授(准教授)という経歴の持ち主のため、かなり本格的な理系トリックが頻発します!
また1996年(原作の1作目の発行年)で既に「AI」やら「VR」やらと普通に飛び交っている世界観は今見てもちゃんと面白い。
そしてそれをかなり高い再現性でドラマに落とし込む黒岩勉の脚本力もまた凄いです!
全10編の中から映像化に適さないものは除いて、映像化することでより映えるテーマの5編をピックアップする選球眼も見事。
特に2話目に当たる(実際は3-4話)『封印再度』のトリックと完成度は惚れ溺れするほどで、特に映像で立体的になることによってより鮮明になったのは印象的。
主演の綾野剛&武井咲は評価が分かれるところかもしれないけど、あの微妙な2人の関係性をしっかり描いていたのは良かった!
大体男女が出てくるとラブストーリーでもないのに勝手に付き合わされるじゃないですか…(実際このシリーズは原作でもラブロマンス的な要素もあるんだけど)
ちょっと今作に関してはドラマもだけど、原作の小説がとてつもなく素晴らしいのでそちらも読んでほしい。
ただ森博嗣にはこのS&Mシリーズから派生していくシリーズがびっくりするくらい存在するので沼にハマると抜け出せなくなります。
ご注意ください。


No.16 『救命病棟24時』(シーズン2)

2001年/フジテレビ系/54分×12話/平均20.3%
【ストリーミング:F】

言わずとしれた医療ドラマの大名作!
これまでシリーズが5つ、SP版が4つ、スピンオフが1つという大フランチャイズ。
その中でも私が今回推したいのはシーズン2。
シーズン1では橋部敦子『僕の生きる道』シリーズ)、飯野陽子『ヤンキー母校に帰る』)と共同脚本という感じだった福田靖『ガリレオ』シリーズ)がこのシーズンではメイン脚本に。
このシリーズは毎回キャスト・スタッフや物語の舞台が大きく変わるのが特徴で、もちろん継続している人や要素もあるのだけど別物感が強い。
シーズン2はシーズン1からの継続キャストが江口洋介須藤理沙の2人だけという大刷新を敢行したので、一部ファンからは評価が低いシリーズ。
特に松嶋菜々子が5つあるシーズン中で唯一出演していないシーズンなのも評判が悪い要因。
ただ個人的にはこのシーズンが1番好き。
まずチームのそれぞれのキャラが立っている。
主要なチームの人数が最近のドラマに比べるとかなり多くてなかなか描ききれないのではないかと思うけど、1話で1人を取り上げるのではなく他の人物との関係性の中でキャラクターを掘り下げていく脚本が絶妙。
特に神林(小日向文世)&太田川(田畑智子)のコンビが良い!
また人数が多い利点を活かし救命特有の一度に運ばれてくるたくさんの患者をそれぞれが診察することで群像劇として成立させている。(ここらへんは米国医療ドラマの金字塔『ER緊急救命室』に大きく影響を受けているはず。)
毎回当たり前のように人が亡くなっていく救命救急の現状を赤裸々に描いているのも約25年前の地上波としてはかなり画期的だったと思う。
その中でもラストにかけてずっと救命センターを支えてきた医局長・小田切(渡辺いっけい)に起きる悲劇には絶句…
個人的にはドラマ史の何本かに入る衝撃度だった。
コメディ的に描かれる日常の中で、生きることや死ぬことの意味を見つめ直させる福田靖節全開の素晴らしい医療ドラマ!
シーズン4までは様々な趣向を凝らしていて楽しめるシリーズ。


No.15 『カルテット』

2017年/TBS系/54分×10話/平均8.4%
【ストリーミング:N・A・U・H・F】

脚本・坂元裕二×プロデューサー・佐野亜裕美という最強コンビによるラブサスペンス!
演出チームも逃げるは恥だが役に立つ土井裕泰(チーフプロデューサー兼任)&金子文紀『私の家政夫ナギサさん』坪井敏雄
クラシックが中心になる大切な音楽も今作から一気に話題作(『ブラッシュアップライフ』 『健康で文化的な最低限度の生活』)を手がけるようになったfox capture planと豪華布陣。
元々の企画が「坂元裕二オリジナル脚本で松たか子主演」というところからはじまり、そこに映画『ギミー・ヘブン』松田龍平 『Woman』満島ひかり 『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』高橋一生という既に坂元作品に出演済みの3人を加えた4人の物語に。
まぁ何が凄いってこの4人の掛け合いが凄い!
「唐揚げに勝手にレモンをかけても良いか?」
「アジフライには醤油かソースか?」
みたいなどうでもいい内容の雑談を4人が繰り広げる会話劇が序盤はかなり多いのだが、全然聞ける。
むしろ永遠にこの無意味な雑談を聞いていたいとすら思わせる4人の呼吸のあった会話はもはや芸術。
しかもこれが後々の伏線になってきたりします。
このドラマはサスペンスの名の通りかなり細かい伏線を序盤から張りまくっていて、特に目線での伏線に力を入れているのでそこを注目して観ても面白い。
全体が大きく2部構成になっていて、第1幕(〜5話)は1話で1人に焦点を当てたお話の中に伏線を張りつつの会話劇で、第2幕(6話〜)は物語が大きく動いて結末へと進んでいく。
この間に位置する6話が少し変わった作りで、すれ違う夫婦を夫側(宮藤官九郎)と妻側(松たか子)の交互に回想シーンで描く。
同じシーンを思い出す時でも夫婦の思っていた事が実は180度違っていた事実を、テンポ良く次々と明るみにしていくこの回こそ坂元裕二の真骨頂!
4人の中での恋愛ゴタゴタや終盤の大きな仕掛けなんかも普通のドラマだと大仰でやりすぎ感が出そうなところを、さらりと魅力的な構図に変えてしまうのも坂元脚本の魅力。
あとキャストでは1話からもたいまさこやらイッセー尾形やら個性派俳優大集合!
そして吉岡里帆が売れた作品。
このドラマの吉岡里帆は怖かった…
まだ未見の方は騙されたと思ってとりあえず1話を!


No.14 『ケイゾク』

1999年/TBS系/54分×11話/平均13.9%
【ストリーミング:U・H・F】

日本ドラマ史に残る名演出家・堤幸彦の出世作となったミステリードラマ。
これ以前も前回登場の『金田一少年の事件簿』『ぼくらの勇気 未満都市』などヒット作はあったけど、おそらく今作で世間的な認知度が一気に上がった。
プロデューサーがこちら前回出た『オレンジデイズ』 『ビューティフルライフ』 このあとランキングに登場する『アンナチュラル』などTBSが誇るヒットメイカー・植田博樹
メイン脚本は西荻弓絵でそれまでは『ダブル・キッチン』 『スウィート・ホーム』 『僕らに愛を!』などホームドラマやコメディが主戦場だったが、今作でいきなりミステリー&アングラに方向転換。
ただ西荻さんて本当は書きたいのこういう話なんじゃないかなと思ったり。
そして企画協力には『TRICK』の脚本家/プロデューサーである蒔田光治の名前が。
内容的には1話完結で事件を解決しつつ、後半縦軸となる伏線を回収していく堤さんお得意のパターン。
堤作品にしてはコメディ色が薄い。(小ボケが少ない…堤さんにしては。)
一番の魅力はやはり柴田(中谷美紀)&真山(渡部篤郎)という魅力的な男女コンビで、この後の堤作品にも続いていく。
もうとにかくこの2人の関係性というのが至高。
天才なんだけど肝心な所が抜けていてどこか浮世離れしている柴田と、ぶっきらぼうでめんどくさがり屋だけど異常な正義感と狂気を内に秘めている真山。
この水と油で混ぜるな危険の2人がどうやって混ぜ合わさってひとつになっていくのか。
テレビ史上最も最高な男女コンビかもしれない。
最終回に渡部篤郎が言う
「頭の悪い、女だねえ
お前には、生きててほしいんだよ」
は現代に語り継ぐべきセリフ。
このセリフだけでは意味がわからないと思うけど、1話から観てると泣きます。
未見の人はぜひ初回からしっかり観てその意味を感じて欲しい。
ちなみに未だにこの渡部篤郎のモノマネしている友達います(笑)
シリーズの他にSP版と映画版がそれぞれあって、SP版は既出の『SPEC』への繋ぎでもある。
映画版はかなりおまけ的な要素が強い。(実際当初は作る予定は無かったらいしので。)


No.13 『同期のサクラ』

2019年/日本テレビ系/60分×10話/平均10.9%
【ストリーミング:H】

『GTO』(反町版) 『家政婦のミタ』などの高視聴率男・遊川和彦が脚本を手掛けるお仕事モノの名作!
大手ゼネコンに新卒採用された同期5人の物語を1話で1年(1年間でなくその1年の中のある出来事をピックアップ)、全10話で10年間描く。
さらにスタートが入社から10年後から始まり、それぞれのキャラクターの回想で1話ごとに◯年前に戻って進行していくというかなり珍しい作り。
まずは主人公である北野サクラ演じる高畑充希が「非常にいい!」
忖度は一切せず自分の思ったままに口に出し全く空気を読まずに妥協もしない。
一見、周り(特に仕事で)にいると厄介なタイプのサクラ。
もちろん同期や上司も最初はそう感じる。
しかし彼女の真摯で直向きな姿、夢を叶えるための芯の強さ、他人を想いやる優しい心が周囲を動かしていく。
このサクラを見ていると、普段働いていると忘れてしまう「人間としての当たり前」を思いだす。
仕事とかお金とかではなく、まず人間として何をしないといけないのか。
お仕事モノで現実的には「ん?」という行動もサクラは多々するんだけれど、絶対に無いとは言えないよなぁという線引きが非常に巧妙。
いやあんなこと絶対ないよと思ったあなたは現代社会に侵されてます(笑)
そしてそれを実現させる高畑充希が素晴らしい!
毎話、1年時を経るにつれサクラの表情がどんどん豊かになっていく。
このグラデーションのように変わっていく演技が本当にお見事。
彼女のキャリアハイ作品だと思う。
そしてそんなサクラの突き動かす原動力となるじいちゃん(津嘉山正種)から毎回送られてくFAXの名言も良い。
あとは高畑充希以外の同期4人(橋本愛/新田真剣佑/竜星涼/岡山天音)も非常に良くて、それぞれの現在のキャラに繋がるようなハマり役。
特に橋本愛が演じる月村とサクラの関係性が変化していく様が素敵。
こういう関係を築ける人が人生で1人でもできれば幸せだと思う。
サクラの隣に住む草川拓弥(超特急)&大野いとカップルのエピソードを毎回挿入することによって、月日の移り変わりを感じさせる演出も上手い。
遊川脚本とこのキャスティングを実現できたところで勝負ありという感じ。
特に後半にかけてなかなか重く辛い展開が待ち受けているのだけど、これから就職する学生や今仕事で悩んでいる人にぜひ観てほしいお仕事ドラマ!


No.12 『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』

2021年/TBS系/54分×11話/平均13.6%
【ストリーミング:N・A・U】

日曜劇場作品で、脚本は既出『すべてがFになる』と同じ黒岩勉
個人的に「医療ドラマの答えが出た!」と感じた作品。
フォーマット的には1話完結+縦軸となるストーリーを追っていく構成。
救命救急がテーマながら、病院で待っているのではなく医者が自ら現場に特殊な車両で駆けつけて救助と医療行為を行うという架空のチームのお話。
「死者を一人も出さない」がキャッチコピーというもはやフィクションにしてもリアリティがない設定で、物語の序盤は笑ってしまう。
しかしその「あり得ない」を超える熱量がこのドラマにはある。
その熱を放出しているのはもちろん主役の鈴木亮平
もう本当にこのMERのチーフドクター・喜多見という役は鈴木亮平のためにあるような役。
そして常に冷静沈着で厚生省から送り込まれてきた仲間でありライバルでもある音羽(賀来賢人)とのコントラストで中盤まで描きながら、終盤にかけてこの音羽にも熱が帯びてくる。
周囲の人物に熱を伝播させていき、そして自分が冷めてしまった時にはまたその熱を仲間からもらって心を燃やす。
完全なるベタなヒーローモノのお話です。
ただ「現実ではそんなことあり得ないじゃない」が横行する医療ドラマにおいてそれを打破する方法は、それを打ち消すほどの熱量なんだという今作を観てわかった。
いくら「バカじゃん」て笑っていてもここまでの熱量を見せられると、やっぱり手に汗握って最後には応援したくなるのが人間だと思う。
とにかくベタな要素が多いんだけど、だんだんそれを欲して無いと物足りなくなるという中毒症状を引き起こす(笑)
キャストも鈴木亮平&賀来賢人は抜群に素晴らしいし、それ以外のキャストも軒並み良い。
あと城田優が既出の『SPEC』『すべてがFになる』に続いて最後の敵役として登場。
ラスボスすぎる…
シリーズの他にはSP版1つと映画が1つ。SP版は映画に繋がる物語で、映画はほぼコナンの実写化みたいになってます。
意味がわからない方はぜひ映画までご覧ください!


No.11 『アンナチュラル』

2018年/TBS系/54分×10話/平均11.1%
【ストリーミング:N・A・U・H】

前回の30位でTBSの新井順子×塚原あゆ子×奥寺佐渡子という名作製造機の話を書きましたが、TBSには別のゴールデントリオが存在します。
それが今作の新井順子×塚原あゆ子×野木亜紀子のトリオ。
お分かりの通り脚本家が変わっただけです。
ちなみに新井順子×塚原あゆ子は脚本家の金子ありさと組むパターンもあります。(『9ボーダー』 『着飾る恋には理由があって』など)
個人的に金子ありさ作品はあまり好みじゃないですが…
ジャンル的には法医学ミステリーで、構成は1話完結+縦軸となるストーリーを追っていくドラマではよくあるパターン。
ただ法医ミステリーではあるが実際はヒューマンドラマ色が強い。
「どんな謎があって」「誰が犯人で」ということはもちろん解き明かすけど、それよりもその先にある人間の憎しみや悲しみを描く。
メインの石原さとみ窪田正孝井浦新の3人にそれぞれ縦軸となるストーリーがあってそれが序盤で散りばめた伏線と絡み合っていく。
この2つのバランスが絶妙!
3人に加え市川実日子飯尾和樹(ずん)松重豊のUDIラボ(架空の研究機関)での会話劇も面白い。
舞台が「国の認可を受けた架空の民間機関」という設定のため、捜査に勝手に首突っ込みすぎみたいなことも許容できる。
特に初回がとてつもなくて、二転三転する事件の謎はもちろん2019年時点でコロナウイルス(劇中ではMERS)の感染の恐ろしさと、SNSなどでの“ネット私刑”の悲惨さを炙り出している。
そして1話ラスト、三澄(石原さとみ)と中堂(井浦新)の会話にこのお話の全てが詰め込まれている。
「2人が組めば無敵じゃないですか」
「敵はなんだ?」
「不条理な死」
いろいろなモノにあらがう、それぞれの戦い。
ぜひ皆さまにも見届けて欲しい。
あとこのドラマを観てないで聞く米津玄師 『Lemon』と、このドラマを観た後の『Lemon』は全くの別物です。
本作と同じ世界線のドラマ『MIU404』、そしてその2つとのシェアード・ユニバース作品である映画『ラストマイル』が現在劇場公開中!


ここまでのランキング

30.『最愛』
29.『あなたの番です』
28.『オレンジデイズ』
27.『金田一少年の事件簿』(シーズン1・2)
26.『俺の話は長い』
25.『Quiz』
24.『3年A組-今から皆さんは、人質です-』
23.『エルピス-希望、あるいは災い-』
22.『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』
21.『おっさんずラブ』(シーズン1)
20.『お金がない!』
19. 『リーガル・ハイ』(シーズン1)
18. 『SPEC〜警視庁公安部公安第五課 未詳事件特別対策係事件簿〜』
17. 『すべてがFになる』
16. 『救命病棟24時』(シーズン2)
15. 『カルテット』
14. 『ケイゾク』
13. 『同期のサクラ』
12. 『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』
11. 『アンナチュラル』


次回、10〜1位編に続く→







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