和尚の法話

失業して、自由になったので、やりたかったことをやってみてる伊藤ノエです。

今日は少し前から興味のあったお寺の座禅会に参加してきました。

そちらのご住職の法話の覚書が初ノートです。

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以前、亀岡にあるお寺の禅センターに修行に行った際の和尚のお話は、仏教に心理学を絡めた・・・というか、仏教を入り口に心理学のお話だったので、正直自分にとって目新しいことはなかった。

今回のお寺の和尚も臨床心理士、はてさてどんな法話が聞けるのだろう・・・と思っていたのだが、どうしてこれが、私にとっては目新しいお話で、なるほど!という洞察も得られたので、まとめてみようと思う。

勝手にタイトルをつけるなら、〈座禅とは、禅とは〉というテーマだったように思われる。

最初にプリントが配られ、そこには鈴木正三禅師の「驢鞍橋」よりの抜粋が印刷されていた。
それを読みながら和尚が話す。

今から四百年ほど前、鈴木正三は嘆いていた、「然るに今時、仏法廃れ果て」と。
柔和で殊勝で、無欲で良い人になることが仏教の目標なのだろうか?
否、と鈴木正三は言う。

鈴木正三はこのように教えた。

怨霊のような執着心で、仏法に向き合え。修行というのは、機を養うことだ。無理な修行をして体を壊したり、一切の執着を捨てた脱け殻のような座禅をしても、「性疲れ、機へりて」何の役にもたたない。だから、仏像のように修行をし、「活きた機」を養え。

だから、と和尚の話は続く。
ありのままを見るとか、呼吸を見るのは、青空を眺める雲を見るようなもので、それは「脱け殻」だ。
もし、強盗に襲われたらどうする?ぼーっと観察するのか?

抜け殻になるのではなくて、気を養って気力に満ちた座禅をするのだ。

例えば、と、和尚が絵画のコピーを出してくる。
ミケランジェロ作「アダムの創造」。このだらっとした寝転び方、これは「腰が抜けている」。押されたら倒れるし、この体勢でいたら腰痛になるだろう。これが脱け殻の状態、楽に座れる位置を探す座禅だ、と。

(このへんで私は少し混乱してくる。だって今まで体験した座禅は、いくら座っても苦痛にならないために振身したし、それが違うと言われても・・・という困惑だ)

そして和尚はもう一つ、像の写真を出す。
仰向けに寝転んでいるが、背中が浮いていて、肘と膝から先がそれぞれ欠損しているが、体に力を入れつつリラックスしていることがわかる、筋骨隆々な男性像(誰の、何て言う作品か忘れてしまったことがとても残念!)。
この人のような体勢なら、押されても後ろに転ばず、引っ張られても前のめらないだろう。
それは、気が入った体勢だからだ。

ここで和尚は、自分が高校生の頃、柔道の授業で足払いをかけられて、「ヤバい!」と思ってとっさに受け身をとった話をする。
その受け身こそが、気が入った姿勢なのだ、と。それは胎児の頃から私たちが知っている感覚のはずだ、と和尚は言う。胎児を触れたとしたら、その持てる力の全力で押し返してくるはずだから。

ではやってみましょう、と言って和尚は私たちに、前屈のような体勢をとらせる。
上半身の力を抜いて、そこから後ろに倒れる、倒れそう、あ、ヤバい!というその感じで、尻餅をついてくださいと言われ、とりあえずやってみる。
或いは、ヤンキー座りのようにしゃがんで、前から押されても倒れないように足をしっかり踏ん張る、そのまま腰を落とす。

そこから、足は無理に組まず、邪魔にならないように収納する。押されてもこけない体勢にななっているだろうか?

この、気合いをいれた座り方こそが禅だ、と和尚は高らかに言う。
自分は修行を頑張って、膝を壊して手術した。それは無駄なことだった。
そうじゃない、無理やり座ったり呼吸を観察したり、昔の公案をあーだこーだ考えることは禅じゃない。
ただ、仏像のように、気合いをいれて座ることと。雑念の観察などいりません。

ここで法話が終わり、座禅タイムになった。

そうか、そうかも、と思わせる説得力だった。私は芸術に明るくないので、像の写真や絵を見ながら話を聞くことは、知らない世界に触れる体験で好奇心がそそられる。
また、私としては、仏教の教えを「すべては無だから、意味などない、ただあるがまま」という風に解釈していて、そういう本を好んで読んでいる。それは、今回、和尚にディスられていた(笑)マインドフルネスっぽい座禅に通ずるものでもある。
けれど、気合いを入れてどっかと座る!という考え方は、揺らぎのない在り方でとても強そう(硬そう)で、1000年単位で生きる樹木のような生き方、在り方を想像させられた。
それは結局、「すべては無だから、意味などない、ただあるがまま」に通ずると思う。
だから、やっぱり仏教が好きだ。

お坊さんそれぞれによって、表現が違うだけで、多分結局、みんな同じ本流から出ているのだろう、と思う。

なんでだか、急に書きたくなって、これがまさかのブログ初回になりました。
今後増やしていきますのでよろしくお願い致します。

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