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谷川俊太郎さんの詩
交響楽
ヴァイオリンを弾いている人は
おでこに汗をかいているというのに
シンバルを鳴らす人は
もうずいぶん長い間待っているようだ
音楽堂の外では
ぶなの樹が西風と響きあう
いたずら小僧たちが迷子の子犬と響きあう
一人の青年が一人の娘と響きあう
オーケストラはそれらすべてを歌っている
だから私も知るのだ
この世で
私に無縁のものは何ひとつないと
私もまた目に見えぬシンフォニイの
選ばれた奏者のひとりなのだと
ホルンを吹く人のほっぺたが
りんごのように丸くふくらむ
いまオーケストラはその大きなのどで
世界じゅうを歌っている
すごく素敵な詩。たとえ不協和音でも近くの者同士が少しずつあたたかいハーモニーを奏でていきたい。
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