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「十二歳の淡い恋」

ラジオから流れてくるのは
河村かおりの「ZOO」
あどけなさの残るその声と
歌詞の動物達の思いがリンクする

素敵な歌詞に酔いしれながら
私より少しお兄さんと思われる
素敵な声のラジオDJ
自宅からミニFMを流してる

すぐ近くから流れるラジオ番組に
ワクワクドキドキ
すぐさまリスナーになって
電話で繋がった

曲をリクエストしたり
雑談したり
ラジオで人と繋がる
こんなにも近くに

いつしか声からどんな人か
私なりの虚像を描きだす
声がこんなにカッコイイんだから
見た目もきっと…

あまりに仲良くなりすぎて
リスナーとして番組出演されることに
はじめて会うラジオDJのお兄さん
心臓バクバクで自宅兼スタジオに

部屋に入った瞬間
目を疑った
そこには私の描いた人とはほど遠い
見た目のDJ

機材がたくさんあって
ラジオ無線が趣味が講じたようで
ミニFMをはじめたようで…
それより見た目の衝撃はぬぐいされなくて…

普通に出会っていれば何てことはない
私が勝手に虚像を描いたがため
あまりの現実との乖離に呆然とした
ひそかな恋心は小さく爆破し砕け散った

知らない方がよかったのかな
ずっとそんな思いが頭をよぎる
そういえば言っていた
声と見た目が全然違うと言われるって

うつむき変えて
天を仰ぐ
青い空と白い雲
坂道下る帰り道に

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