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Day 1

NY行きの飛行機が向かう先は、ラガーディアでもJFKでもなくニューアーク空港だった。
ニュージャージーにある空港から、滞在するマンハッタンまでタクシーで向かう。
今だったらUBERとか相乗りのバンとか、安く行ける方法を知っているけど、その時は着いたらタクシーという選択肢しかなかった。
絶対に失敗したくないからそれしかなかった。

でも、それは間違った選択肢でもなかった。
マンハッタンの街をハドソンリバーを越えていく途中、遠巻きに眺めることが出来たから。
映画や写真で何回も観ていた異国の街並みは東京以上の都会を知らなかった僕には大きな衝撃だった。
40分位だろうか、叔母の住むアッパーイーストサイドに到着した。
歴史ある重厚なアパートメントが建ち並ぶ、静かな住宅街といった印象だ。

ドアマンに名前を告げ、中に入れてもらう。
「あら、久しぶり〜」
日本を経ってから14時間程経ち、久々に聞いた日本語は疲れた脳を癒した。

世間話もそこそこに、叔母はマンハッタンを案内してくれた。
地下鉄の1weekのチケットを買い、バスの乗り方も教えてくれた。
地図を片手に、今はここにいるというのを何回も確認してマルを書き込んだ。
マンハッタンにおける地図の読み方は実に単純明快だ。
網目状になった道は南から北まで、縦はAve表記。
西から東の横はSt表記。
その2つの座標を目印に移動すれば良いだけなので、道に迷うのは逆に難しい。
東京の複雑怪奇な鉄道網とは訳が違い、地下鉄も実に分かりやすく移動し易い街だ。

所謂名所を巡り、リトルコリアンタウンで焼き肉を食べた。
韓国焼き肉はこの時初めての経験だった。
ほろ酔いで帰路に着く。
毛皮を着てスパスパ煙草をふかしてストリートを闊歩する叔母の姿は、紛れもなくニューヨーカーだった。
「私はバスで帰るから、地下鉄で1人で帰ってみなさい」
その一言に急に不安になったけど、地図を見直して地下鉄に乗り込み難なく帰ることが出来た。

東京だったら我先にと椅子に座るけど、ニューヨーカーは全然椅子に座らない。硬い椅子はクッションなど無く、確かに座り心地が悪いし、ひんやりとお尻も冷えてしまう。
地下鉄内で多くの人種に囲まれ、あぁニューヨークに来たんだとやっと実感することができた。

いろんな国の都市を巡り、振り返って思うのはマンハッタンのダイナミズムは異様だ。異常とも言える。
多種多様な人種と出身国。その文化背景。
ぐちゃぐちゃになって一つの街の呼吸を形成している。
ネガティブとポジティブ、貧乏と裕福、成功と失敗、愛と嘘、ものごとの陰陽があれ程に混在している街は僕の経験上、他にない。
行った人が口を揃えて言う、「NYはなんか凄い」は確かに一言の表現が難しい。
個人的には、六本木がちょっと似た空気かななんて思うけど、桁は全然違う。

ひりついた街で、地図を片手に目をキョロキョロさせている僕でさえ浮くことはなかった。

真冬のマンハッタン、初日は無事に何事も無く幕を閉じた。



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