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マチズモを削り取れ / 武田砂鉄

「マチズモ」とは男らしさを重んじる思想。本書では、「駅でぶつかってくる男」「痴漢」「女子マネージャー」「体育会」「寿司屋」などを題材に「マチズモ」が語られている。
グレイソン・ペリーが定義したように、この世は「デフォルトマン」が生きやすいように構成されている。要は「中年のおっさん」が生きやすい世界が手堅くキープされているのだ。「デフォルトマン」から離れた存在である「若い女性」は理不尽にもハンデを負って生きる。最近だと医学部受験での女性点数差別が記憶に新しい。子供の面倒が見れなくても、料理ができなくても「中年のおっさん」は世間から非難されない。しかし、「若い女性」は強く非難される。なぜならこの世界は「中年のおっさん」専用に作られているから。
また、私と同世代以上の女性たちは「マチズモ」の中で醸成されているので、「家族の食事の手当」とか「送り向かい」とか「日用品の買い出し」などを義務的に担っている。どっちがやってもいいことだが、積極的にこれらをこなす男性は少ない。この呪いは子供の世代に引き継いではならない。マチズモは削り取って行くしかない。

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