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マックス・ウェーバーを読む / 仲正昌樹

「権力と支配」に挫折したので、手に取った解説書。マックス・ウェーバーの考えが著者によって解説されている。プロテスタントの「自分の仕事にコミットする事こそ、神の繁栄の一部となる」というマインドがヨーロッパとアメリカの資本主義的繁栄の根幹にある事がよく分かった。側から見れば都合の良い解釈変更だと思うが、信仰と政治と経済が一体となった欧米諸国の今の姿はそうして出来上がっている。創価学会の投票行動とそう変わらない活動が脈々と存在している事がよくわかる。そうして発展してきた欧米社会においてマックス・ウェーバーは学問の意味を「呪術的な制約からの解放」だと言っている。プロテスタンティズムでは人の運命はあらかじめ決まっているという。これを巧みに利用して成長してきた欧米において、学問が発達したのは宗教的思考から離れて客観的に物事を捉えようという願望が強かったからに他ならない。私は信仰との矛盾を感じるが、本人たちはどのような気持ちなのだろうか。
日本では自民党政権によって学問が軽視され「呪術的な制約」が増えている。これに比例して非知性的な判断を支持する「洞窟の中の囚人」が急増中だ。彼らに知性という光を当てる方法を真剣に考えなければならない。弱体化する大学組織の足場を立て直すためにも日本学術会議の問題は、「踏ん張りどころ」なのだという思いを強くした。

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