フィンランドは子どもに優しくない国 ●ニュース深掘り

2023年2月8日のYLEニュースより
元記事 https://yle.fi/a/74-20016785

短くまとめると
・フィンランドは子どもに優しくないとスペイン出羽守が語る
・社会福祉は子どもに優しい社会を目指してお金は出している
・でも一般人は子どもがうるさいとブチ切れる

フィンランドは子どもに優しくない国!?
 ヘルシンキ在住のフィンランド人 エリナ レスキネンは、ヘルシンキ中央図書館Oodiを頻繁に利用している。Oodiは子ども達や家族連れに配慮されて計画された素晴らしい施設であるという。
 一方で、フィンランドの子どもに対して寛容さの無さに驚愕した。多くの公共の場所で、子どもが反抗したり泣き叫ぶと白い目で見られ、スペインの寛容さと比べるとそれは際立っている。
 彼女のスペインでの経験では、人々は子どもに優しく常に助けに来てくれたという。例えば、2歳の長男とショッピングセンターに行った際、子どもが転んで靴が脱げてしまったが、通りかかった見ず知らずの建設現場の作業員が、優しく靴を手に取り履かせてくれた。それに比べるとフィンランドは、子どもが公共の場で騒いだり癇癪を起すと敵意を向けられるように感じる。

議論はヘルシンキサノマット紙から起こった


 ヘルシンキ中央図書館Oodiのレストランでは、子連れ家族のリビングルームになるような憩いの場所を目指し、 積極的に赤ちゃん連れをサポートする受け入れ態勢をアピールしている。
 しかし子ども達による騒音や混乱、不衛生な利用客の問題が浮上し、ヘルシンキサノマット紙が記事にしたところで議論を呼んでいた。

基本的に利用者には各自片づけをお願いしているが多くの親は対応できず残飯を散らかしたまま帰っていく…

 ランチ時間にはベビーカーで赤ちゃんを連れた母親でにぎわっている。特にピーク時には20台以上のベビーカーが店内に並ぶ。
(※フィンランドのベビーカーは雪道でも安定して進めるよう非常に大きな四輪の物が多い)
 店内至る所には大きなベビーカーが占拠しており、あちこちから赤ん坊の泣き声が聞こえてくる。
 建設当初の図書館の目的は「すべての市民のリビングルーム」であり、少なくとも家族連れにとっては目標が達成されている。

 しかし、図書館のレストランにとって子連れ家族が来ることは諸刃の剣となっている。子連れ客が多いと、他の顧客の足が遠のいてしまうのだ。特に子連れ客は食後の片づけをしていかない事が多い。
(※フィンランドのランチでは、セルフサービスなので食べたものを各自返却します。テーブルの片づけを従業員が行う事はしません。)

 特に最近流行している「フィンガーフィーディング」では、子ども達が手掴みで離乳食を食べるため、テーブルの上や床には大量の残飯が散らかってしまう。
 レストランとしては、顧客がテーブルを汚してしまった場合でも、それぞれで後片付けをできるよう掃除道具を提供してる。しかし、多くの親はそのままにしたまま去ってしまいスタッフに大きな負担をかけている。
「みさなんが快適に利用していただくために、保護者が通路を汚した際の掃除を心掛けてくれるよう願っています。同時に子どもたちに教える道徳としても、自分で汚したら片付ける事のマナー教育になります。」

持ち込み離乳食はスタッフに負担で売り上げは無し
 図書館では、親子連れの利用者向けに持ち込みの離乳食をレンジで温めるサービスを提供していた。しかし、あまりに需要が大きくスタッフの負担となるため、レストラン利用者限定のサービスとなった。

子連れ家族と公共スペースの騒音やマナー問題への批判
 
図書館レストランのディレクターは、こうした子連れ家族に向けた批判を非常に悲しい問題だと答える。
「これはお子様連れのご家族だけに限った問題ではないのに。もちろん、小さなお子さん自身が責任を負うのではなく、その保護者の責任であることを誰もが理解しています。また、大人でもコーヒーカップを置きっぱなしで帰られる方もいます。」

子どもに対して否定的な感情を表現することは許される
 人口と家族政策の調査をする社会団体Väestöliitto(人口連合)は、フィンランド文化は子どもに対する態度が他国と異なっていると考えている。
 フィンランド社会福祉においては、子どもや育児家庭に多額の資金が投入され、子どもに優しい国を目指している。しかし一方で、公共スペースにおいて子どもやその家族に対して、否定的な態度、拒絶、さらには敵意さえ公然と向けられている状況である。
 これは典型的なフィンランド人にみられる「沈黙を好み広いパーソナルスペースが必要な国民性」に起因している可能性があると、同団体は指摘している。つまり子どもが騒がしくする事に関しては、高齢者や障害者などと違い「周囲が特別な配慮で見守る」必要がないという見方をされているのだ。

フィンランドでは子どもの人権が無視されている
 人口連合のCEOコイブランタ氏は、フィンランドでは子どもを大人より下に見る習慣があるため、子どもの権利について社会的に理解が進んでいないとの見解だ。彼女は積極的に議論や行動をして、フィンランドで子どもに前向きな考えが生まれることを願っている。


図書館は計画上問題ない設計である

 図書館の建設計画が公開された当初、子連れ家族向けサービスはとても期待を集めていた。都心に非営利の子どもと親の為の空間を望む声が多かったからだ。
 図書館には子どもエリアとは反対側に、静かな読書エリアが設置されており、子どもと静けさが両立できる設計になっているはずだった。しかし、現状では子ども達の騒音がさまざまな批判を生んでいる。

図書館のディレクター
「ヘルシンキは子どもに優しい自治体を目指していますが、多くの人はそうではないと感じています。自治体の職員として、ヘルシンキが本当に子供に優しい自治体であるという感覚を促進するために、あらゆる方法で努力しなければなりません」

ヘルシンキサノマット紙から発生した議論は、多くの人々に子どもと公共の在り方について考えるきっかけとなった。


(以下、記事に対しての感想です。Twitterと重複している個所もあります。ご了承ください。)


本当に子どもに優しくないの?


 いろいろ自分自身の体験と繋がるところがありますが、まず思い当たるのは、フィンランドの子どもは凄く物静かなんですよね 。これって実はフィンランドの子ども対しての考え方が如実に表れている事だと思います。

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