見出し画像

Vtuberの3Dミュージックビデオを構成する6つの要素


こんにちはっ🌟八ツ橋まろんです。ミュージックビデオ(MV)を作っているVtuberです。
先日、わたあめ子さんのYouTubeチャンネルで、アイマス曲の「The world is all one!!」をVtuber4人で歌ったMVが公開されました。

このミュージックビデオの制作にあたり、『3DのMV制作に必要な6つのポイント』を考えて映像を作ったので、そのポイントとMV内での実例を紹介します!
※この文章では私がMVに抱いている感覚を文字に書き起こしています。制作に対する思考・論理・手順は正解がなく、且つ合う合わないは人それぞれです。10人に1人、ほんの一部でも参考になれば幸いです。

①テーマ

テーマ(またはコンセプト、ストーリー)。映像に限らず何か作品を作るときは大抵これが必要です。これがなくても全く問題なく制作を進められてしまいますが、度々訪れる判断に対して、テーマのような方針が存在すると、より正しく一貫した判断ができます。つまりお得です。
別に難しく考える必要はないです。テーマは単純に「よりかわいく」とか、「スタイリッシュ!青色と白色!」とか、「青い空、白い雲、大自然と麦わら帽子の女の子がひたすらカワイイ」という感じでいいです。

例えばですが、背景の3Dモデルの選定でよく悩んだりします。テーマが決めてあると、判断基準があるので、「よりかわいい方」とか「スタイリッシュな方を採用」となるので、悩む時間が短くて済みます。特にテーマカラーを1~2色決めておくと、判断が早くて正確で、ロスが少なくなります。

The world is all one!! では「むっちゃアイドル感」をテーマにしました。MV中ではアイドルっぽくステージでライブしてたり、4人で街でリア充してたり、ダンス練習してたりします。

画像1

②背景モデル

背景オブジェクトです。作るもよし買うもよし。
上記のテーマを元に背景を思い浮かべて、探したり作ったりします。
見栄えはライトとポストプロセスとシェーダーで調整しましょう。加工したほうがアバターとよくなじみます。

The world is all one!! では「ライブステージとダンス練習スタジオは大部分を自分で作り、街は丸ごと購入しました」

画像6

③モーション

ダンスとか日常動作とかのモーションです。しかし、モーションにおいて最も重要なのは、体の動きではなく表情の動きです。やはり人の感情は顔に出るらしく、逆に顔に出てこない表現はあまり響きません。笑うモーションでは顔もしっかりと笑い、喋るモーションでは適度に笑顔やまばたき、驚きの表情を入れてあげましょう。

身体の動きは、「見た目に合わない動きでなければだいたいOK」だと思っています。
かよわそうな女の子のキレッキレのダンスみたいな特大なギャップでなければ、おおむね受け入れられるかと。動きに合った表情をきちんと作れば「マリオネット感」は結構薄れます。

The world is all one!! では「2番サビからラストサビの間の4人集まって会話するところの表情と口パクに注目」です。ここでは体の動きは実はかなり適当で、相槌など合ってなかったりしますが、表情モーションが豊富なことでそれをカバーしています。

画像5

④物理演算

物理的な正しさは人を安心させます。視聴者による物理演算の採点の心理は減点方式で、スカートの貫通-10点、髪の毛動かないor揺れすぎ-10点、床に靴の一部が貫通している-10点、、、のように、0点がスタートです。物理演算や足の接地がミスってる場合はカメラから外したほうがいいかもしれないません。

しかし、そうするとだんだん顔アップとかバストアップだけの映像になっていき、最終的には絵的に-100点とかになってしまうので、上手くいった最大値のとこだけでいいので「物理演算平均でこのくらいできますけど?」って感じで物理演算力をある程度見せつけるのも大事かと思います。

ちなみに、めちゃくちゃ良い物理演算の場合は心の中で芸術点がプラスされます。たぶん。

The world is all one!! では「髪とスカートに物理演算があります」。

画像4

⑤カメラワーク

カメラワークは非常に難題なものの1つですね。何せ現実の制約が存在しないのでどんな取り回しでも可能で、自由度がとても高いためです。
しかし私としては、自由度が高いからといって縦横無尽ドローン状態は良くないと思っています。

「全てのカメラワークが全く見たことがないもの」だと逆に印象に残りづらいので、ある程度セオリーなカメラの動き(単純な横移動や上下左右ノイズ)で撮影し、ここぞというところだけ常識を外した動きをするといいかなと思います。

The world is all one!! では「イントロと1番のAメロで外しています」。ダンスのフォーメーションの中から演者を映すカメラは、現実ではなかなかできないカメラワークです。

画像3

⑥エフェクト

エフェクトには「目立たず補助的な役割の、減点をカバーするエフェクト」と「MVを強く印象づける加点のエフェクト」の2種類あると思っています。

前者は、画面のマイナスを打ち消して見やすくするもの。後者は、主役になったり、主役と一緒に登場することで印象を上げるものです。草木がそよぐエフェクトは動かない草木を揺らして違和感を消すので前者、爆発エフェクトとか、銃を撃たれて画面が割れる演出なんかは後者です。

The world is all one!! では「観客のサイリウムやステージのスポットライトがうるさくない程度に動いている」ところが減点をカバーするエフェクトです。加点のエフェクトは、「イントロで演者とともに床が上がってきて暗闇から一気に明転する」ところです。

画像2

以上、MVを作る上で考える6つのポイントを紹介しました。何かしらの参考になれば幸いです。またね!

八ツ橋まろん
Twitter (←是非フォローしてね)
pixivFANBOX (←技術記事など書いてます)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?