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ランドリーとおさるのジョージと①


幼児期の子ども、とくに男子というものは発育過程で夢中になるものが移り変わるらしい。

聞くところによると、Eテレ着ぐるみ系、幼児対象のパン系ヒーローから始まって、正面に顔がついてリアルに話す機関車系、ミニチュア乗り物おもちゃ系、恐竜、虫などの生き物系、実際の乗り物(新幹線の系統まで覚えちゃう系)、〇〇レンジャーなどの戦隊系といったところである。

うちはどんな風かな、虫だけはやめてほしいなぁとのんきに構えていたのだが、
パン型ヒーローは興味なし、Eテレ着ぐるみ系もあっさりブームは終わり、顔つき機関車系は河口湖にあるテーマパークだけは楽しんだ。ミニチュア系は買ってあげたけど、そこまで興味関心が長続きしない。とにかく他の子たちのように、「無我夢中!!大好き!!」というほどのものがない。うー――むと思っていたが、実はあったのだ。好きで好きでどうしようもないもの。寝るときは隣に置きたいくらい好きなもの。

1歳半から大好きなのが洗濯機。正確に言うとドラム式洗濯機。窓から中が見えるタイプ。
少し前にドラム式洗濯機の中に子どもが入ってしまった悲しい事故があったのと、子の泥だらけの服を洗い落とすパワーが落ちたのとで、自宅にあったドラム式洗濯機は、数年前に買い替えて今は縦型洗濯機だ。
息子は「いつビッグドラム(思いっきり商品名)に買い替えるの?」とご不満なご様子である。

保育園、幼稚園でも洗濯機愛はやまず、保育園ではお友達のタオルや布団を取り上げて、腕の中でぐるぐるとさせる「自分洗濯機ごっこ」をして母は先生から何度か注意されたことがある。保育園は乳児~幼児期は個性どうのこうのではなく、均質化(みんな昼寝してたら昼寝する、みんな砂遊びしてたら砂遊びさせる)という方針があるようで、我が家の方針と違ったため3歳からは預かり保育もある、評判のいい幼稚園に変えた。

幼稚園では初日に園備え付けの洗濯機を目ざとく見つけ、しかもそれが大好きなドラム式であったこともあり、洗濯の間ずっとそばを離れなかった。おままごとシリーズのおもちゃ洗濯機があって、女の子と取り合いになった。どんなことがあっても、温かく見守ってくれ、「洗濯機好きっていう子は初めてみました」と珍しがられたというか、個性を尊重してくださって、先生と空き箱で手作りのドラム式洗濯機を作って家に持ち帰ってきたこともあるほどだ。先生本当にありがとう。この幼稚園にしてよかった。ちょっとおかしな嗜好があっても受け入れてくれる素敵な幼稚園だ。


洗濯機のおもちゃって世の中には実は結構ある。需要がないのではないか、と思ったがアマゾンを検索すると海外のものを含め安価なものからおもちゃとは思えないお値段のものまで豊富なラインナップなのである。

ある日、幼稚園の担任、ゆか先生が「ダイソーにすごくいい洗濯機が売ってるんですよ」と教えてくれた。

普通の人なら「100円で洗濯機?どゆこと?」となるだろう。早速息子を連れてダイソーパトロール。教えられた通りおままごとコーナーへ行くと、洗濯機探索能力がずば抜けている息子は直ちに発見する。もちろん購入(壊れたら大騒ぎなので2個購入。別売りの電池合わせて600円也)

別売りの単3電池2本を入れて、実際に水を入れてボタンを押すとぐるぐる回る。一時インターネットで化粧品パフを洗うのに最適と話題になったことがあるそうだ。しかしサイズが小さいため、息子が洗いたい自分の靴下やしまじろうのパンツは入らないのである。

また、アマゾンに戻る。すると、るんるんおせんたくひより(982円)なるものを発見。これは洗濯ばさみや物干し竿がついており、洗濯機を回した後のプロセスも体験できる優れものだ。早速ポチる。

しかし届いてみると、サイズはダイソーのと同じくらい。そしてなにより、電池式ではなくバネ式で回転するので、回転率が悪い。洗濯機と一緒についてきた洗濯竿、ハンガーもろもろについては興味なし。彼にとっては洗濯機を回すことに意義があり、その後の工程なんぞどうでもよかったのである。バネ式はボタンを連打されるとひっかかるのかうまく回らず、息子の背中からイラつきが伝わってくる。気の毒だ、どうしたものか、と思っていたところへ、また幼稚園のゆか先生である。

「幼稚園に、わりとリアルな洗濯機のおもちゃがあって、今日はずっとそれで遊んでましたよ~」それがポポちゃんランドリールーム(2700円也)である。これは単2電池2つ入れると、かなりリアルな水音とともに、スムーズに回転する。しかも回し終わると「ぴろぴろぴー」と音が鳴るのである。リアル!息子はすっかり気に入って自宅に持って帰るんだと言い張る。「誰も使わないから貸し出しますよ~」ゆか先生、優しすぎるよ。幼稚園から何日も洗濯機レンタルできないので、もちろんアマゾンでポチる。

しばらくポポちゃん洗濯機で満足していた息子だが、便利になるとさらに欲が出るのは成人も4歳児も同じなのだ。自分の靴下、しまじろうのパンツ、自分のハンカチ、帽子、などなどポポちゃん洗濯機に押し込む。そんなにたくさんは入らないのである。たくさん入れると洗濯効率が下がるのは本物の洗濯機と同じだ。自宅の洗濯機の取り扱い説明書を開いてみてほしい。「あまり多く入れると洗いムラがでます」とか、書いてあるはずだ。

もうここまできたらアレを買ってあげたらどうだろうか。何度もアマゾン検索しているうちにトップに出てくるようになってしまった、CASDONシリーズである。これはどうやらイギリスのおもちゃらしい。さすが欧州!サイズが大きい。ポポちゃんの比ではないのである。これを買ってあげたらさぞかし喜ぶんじゃないかなぁ。もはや感覚がマヒしていたので、躊躇なくポチる。7600円也。恐るべしアマゾン戦略。そして親バカなわたし。


こうしてありとあらゆる洗濯機おもちゃを買い与えたのである。息子はご機嫌でこれら総勢4つの洗濯機と、幼稚園の手作り洗濯機をTV台横に並べ、自分だけのランドリーを作り、、自分の世界に入り込むのであった。現在に至るまで、このTV横のランドリーコーナーは顕在で取り壊しの許可が出ていない。




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