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あおり運転どころの騒ぎじゃない『アオラレ』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:11/95
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

スリラー
スプラッター
カーアクション
あおり運転
ターミネーター2

【あらすじ】

美容師のレイチェル(カレン・ピストリアス)は今日も朝寝坊。慌てて息子のカイル(ガブリエル・ペイトマン)を学校へ送りながら職場へと向かうが、高速道路は大渋滞。度重なる遅刻に、ついにクビとなってしまう。

最悪の気分のまま下道を走るが、信号待ちで止まると、前の車は青になっても発進しない。クラクションを鳴らしても動かない。イラついたレイチェルが追い越すと、次の信号で横並びになったときに、ドライバーの男から「運転マナーがなっていない」と言われる。彼はレイチェルに謝罪を求めるが、彼女は拒絶して車を出す。

息子を学校に送り届けた後、ガソリンスタンドの売店でさっきの男に尾けられていることに気づく。レイチェルは嫌な予感がするが、時すでに遅し。

信じられない執念に駆り立てられた男の“あおり運転”が、ノンストップで始まるのだった──。

【感想】

たった1度のクラクション(正確には2回ですが)が、命の危機を呼び寄せようとは、誰が想像しただろうか。『アオラレ』ってタイトル、ぬるすぎますわ。そんな甘っちょろい言葉で片付けられないほど、この映画は常軌を逸しています(笑)

<世の中に見放された男が主人公>

今や日本だけでなく、世界中でも話題になっているあおり運転ですが、本作はそれを題材としつつも、中身はサイコスリラーです。主人公は、働いていた工場を解雇された"男"。ラッセル・クロウが演じているんですが、なんと役名がないんですよ。エンドクレジットでも、"man"とだけ。彼はレイチェルにクラクションを鳴らされたことに腹を立て、彼女からすべてを奪おうと執拗に追いかけます。その様子はあおり運転どころじゃないですよ。『ターミネーター2』(1992)でジョン・コナーを執拗に追いかけるT-1000以上に執念深いです。ラッセル・クロウのサイコっぷりが凄まじいのなんのって。

<振り切ったキャラクターが最大の魅力>

どうやら彼にもいろいろあるらしく、鬱憤が溜まりまくってる役どころなんですが、その背景について詳しく語られることはないんですよ。だから、だんだん話が大きくなっていくことに対して、「え、なんで?なんでこうなるん?」って頭の中に?マークがいっぱい浮かんできます。ありえないだろって。

でも、その振り切り方がいいんですよね~。正直、ストーリーはシンプルどころか、もはやあってないようなものって感じすらするんですが、このキャラクターに全パラメータを注いだのがこの映画の魅力ですね。ただただ、レイチェルを執拗に追いかけまわし、彼女に関わる人をその手にかけようとする鬼畜っぷり。

設定やキャラに振り切りすぎた構成にB級感を感じつつも、むしろその振り切りっぷりに、怖さよりも滑稽さが浮かび上がってきて、ちょっと笑ってしまうほど(笑)ラッセル・クロウのチートすぎる強さに、憧れさえ持っちゃいそうでした。

<邦題がむしろあおってる?>

『アオラレ』って聞くと、そのままあおり運転にまつわる話かとも思うんですが、中身はそこから大きく外れて、ただの殺人鬼からの逃避行になってきているんで、タイトルと中身のギャップが激しいです。てか、ホント、ラッセル・クロウ何やってんのって感じますから(笑)

こういうよくわからない方向に振り切った映画は好きですけど、アメリカで自動車を運転しようとはまったく思わなくなります(笑)


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