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宇宙飛行士の母と幼い娘の交流を描いた『約束の宇宙(そら)』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:50/75
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★☆☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

ヒューマンドラマ
家族愛
宇宙飛行士
働く母親

【あらすじ】

フランス人宇宙飛行士のサラ(エヴァ・グリーン)は、ドイツの欧州宇宙機関(ESA)で、長年の夢だった宇宙へ行く事を目指して、日々訓練に励んでいる。

物理学者の夫トマス(ラース・アイディンガー)とは離婚し、7歳の幼い娘ステラ(ゼリー・ブーラン・レメル)と2人で暮らす彼女は、「プロキシマ」と名付けられたミッションのクルーに選ばれる。

大喜びのサラだったが、このミッションに旅立てば、約1年もの間、娘と離れ離れになる。ステラを残し宇宙へ飛び立つまでに2ヶ月しかない。過酷な訓練の合間に、娘は母とある約束をする。「打ち上げ前に2人でロケットを見たい」と。

母は約束を果たし、無事に宇宙へ飛び立てるのか。

【感想】

働くお母さん必見!なんて無責任なことは言えませんけど、「自分の夢が叶う瞬間、子供とどう向き合っていくか」っていうことを考えさせられる映画でした。なので、宇宙飛行士が主人公ではありますが、これまでのようなSF映画ではなく、宇宙に飛び立つまでの家族との交流を描いた話です。

宇宙飛行士云々よりも、仕事と家庭のバランス的なところもあるので、別に宇宙飛行士じゃなくても、働く親ならば共感できる部分は多いかもしれません。宇宙飛行士だとそれがわかりやすいっていうだけなので。

サラはずっと宇宙へ行くことを夢見ていたので、今回のプロジェクトはまさに人生最大のチャンス。でも、日々のトレーニングは過酷で、肉体的にも精神的にも満身創痍が続く日々。

離婚した旦那が娘の面倒は看てくれるものの、彼も同じ組織で働いているから忙しい身なんです。そんな状況の中で、ステラは転校した先の学校になじめない様子。それがまた、サラにとって精神的な重圧になるんでしょうね。本来であれば、自分が娘のケアをしなくてはいけないのに、その時間が取れない。そのことに苛立ち、自分を責め、トレーニングにも支障をきたす始末。

そういう壁を乗り越えて、「ロケットを2人で見に行く」という約束をどうするかってのが、この映画の見どころですね。すべて自分で選んだ道ではあるものの、うまくいかない現状に四苦八苦する姿に、働き盛りの人たちは何かしら思うところがあるんじゃないかと。

エンドクレジットでは、これまで母親で宇宙飛行士だった方々を写真と共に紹介していく形式だったので、こんなにたくさんの、しかもほとんどの人が2回以上宇宙に行ってるってことに驚きました。みんなよく育児と並行してできたなって。。。

ただ、全体的にこの映画をどう捉えるのかってのは、なかなかセンシティブかもしれません。僕は、「立派に見える宇宙飛行士でさえ、みんなと同じように悩み苦しんでいる」と捉えられましたが、もし「宇宙飛行士でさえこんなにがんばってるんだから、あなたもがんばろう」と捉えてしまったら、
余計にプレッシャーになり、せっかくの映画という娯楽が楽しめなくなってしまいそうで。

それにしても、作中では描かれていなかったからわかりませんが、サラの親(つまり祖父母)に相談とかできなかったのかな、、、って思わなくもないですね。。。(笑)まあ、仮に祖父母がいたとしても、協力的かどうかはわかりませんし、結局、娘が母親を選ぶのであれば、物語の展開としてはそこまで変わらなかったかも。

ちなみに、音楽の担当は坂本龍一さんでした。


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