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枯れかけたおっさんが殴って蹴って撃って刺して火つける『Mr.ノーバディ』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:1/110👑
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★★★★★★
      映像:★★★★★
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★★★★★★★

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】

アクション
銃殺
刺殺
爆殺

【あらすじ】

主人公のハッチ(ボブ・オデンカーク)は、郊外にある自宅と職場の金型工場を路線バスで往復する、ルーティンで退屈な毎日を送っていた。

外見は地味で、目立った特徴もない。この世の理不尽なことはすべて受け止め、決して歯向かうこともしない。世間から見ればどこにでもいる、何者でもない男だ。

ある夜、強盗に入られるも、特に抵抗することもなく、なんとかやり過ごす。幸い被害はほぼなかったものの、妻には距離を置かれ、息子からは失望される始末。

そのことにやるせなさを感じていたある日、バスの車内でチンピラと居合わせる。「ジジイ」呼ばわりされたことで、ハッチはブチ切れ大乱闘。

しかし、この事件がその後、ロシアンマフィアへとつながり、街頭での銃撃戦、カーチェイスとエスカレートしていくのだった…。

【感想】

こういうのでいいんだよ!こういうのが観たかったんだよ!そう叫びたくなる映画でした。緻密なストーリー構成とか、葛藤と対立にあふれた人間ドラマとか、そういう小難しい話はどうでもいいと思えるほどの勢いは最高でしたね。やっぱり映画はこうでないと(笑)

自分がどういう映画が好きなのか再確認できたし、その好きな要素しか入っていないという、まさに大好物のみが並べられた食卓!今日は自分の誕生日なのかなって(笑)

<アトラクション感ある構成>

冒頭からつかみOKすぎですよ。キズだらけのおっさんが、取調室で缶詰と缶切りと猫といるんですから(笑)物語はそこから過去にさかのぼる形でスタートします。

主人公のおっさんがひたすら殴って、蹴って、撃って、刺して、火つけて、敵をフルボッコにするシーンが8割という、まさに「考えるな感じろ」って言葉がピッタリの映画。とにかく頭を使わずに目だけで楽しめるジェットコースターのようなアトラクション感が好きでした。

<勢いがすべてを凌駕する内容>

この映画、主人公は冴えないおっさんなんですが、実はちょっと秘密があります。ですが、その素性がほとんど明かされません。小出しにはされるんですけど、いっつも肝心なところで遮られてしまって。

でも、この映画の何がすごいって、そうやって主人公が何者かよくわからないのに、最初から最後まで勢いだけで突っ走れるところなんですよ。普通、ここまで主人公の正体が明かされなかったり、ただ人が死にまくって終わりみたいな展開だと、「よくわからない」とか「ワンパターン」とかっていう感想しか抱かないものです(まあ、今回の映画もそう思う人もいたかもしれませんが)。

なのに、この映画に関しては、そういうのを凌駕しちゃう"勢い"があったんですよね。そういう勢いある展開があるからこそ、この何も明かされない主人公に対して、「こいつは一体何者なんだ……」っていう興味もわくし、彼のやることなすことに笑ってしまうほどの魅力を感じるのかもしれません。

逆に、そういう勢いがないと、「主人公の素性もよくわからないし、いまいちピンとこないなー」ってなってしまいそうです。そう考えると、映画ってどれかひとつ振り切ってると、他も面白く感じるのかもしれないなって思いました。

<ほどよいおっさん感がキュート>

で、主人公のハッチって強いっちゃ強いんですけど、絶妙に弱いところもあるんですよね。スーパーヒーロー映画のように、チートすぎて完全無欠の強さを誇り、スピード感あふれるアクションを披露していくかと思いきや、ちょいちょいやられますし、ややアクションがもさっとしてるんですよ。そこがほどよいおっさん感があって愛着がわきました(笑)そして、まさかのクリストファー・ロイド!ドクがショットガンぶっ放すシーンはツボります。

ホント、戦うおっさんとじーさんっていう構図はいいですよね。やっぱり自分より年上の人の方が憧れの対象になります。自分が小さい頃はお兄さんたちに憧れがありましたが、その年齢すらも超えてしまうと、今度はおっさん以上の人たちが戦う姿に憧れを抱きます。まさにマーベルヒーローなんかもそうですねー。

<その他>

この映画、脚本家が『ジョン・ウィック』を書いた人なんですけど、個人的にはこっちの方が断然好きでした。シリーズ化して欲しいですし、むしろ『ジョン・ウィック』シリーズとコラボして欲しいなって思いました。これは映画館で観るべき映画なので、ぜひ劇場へ足を運んでいただければ!


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