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悲劇のヒロイン性を排除した『ベイビーティース』

【個人的な評価】

2021年日本公開映画で面白かった順位:27/45
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】

ラブストーリー
ヒロインが病気
不良少年との恋

【あらすじ】

病を抱える16歳の女子高生ミラ(エリザ・スカンレン)は、ふとしたことから孤独な不良青年モーゼス(トビー・ウォレス)と出会い、恋に落ちる。

両親のアナ(エシー・デイヴィス)とヘンリー(ベン・メンデルソーン)は、ミラの初めての恋を心配し猛反対するが、ミラは怖いもの知らずで自分を特別扱いせずに接してくれるモーゼスに惹かれ、彼との刺激的でカラフルに色づいた日々を駆け抜けていく―。

しかし…。

【感想】

病気の少女と不良少年のラブストーリー。なんか、邦画でもありそうな設定ですね。若手の旬な俳優を使って(笑)でも、この映画、意外と他のラブストーリーとは違う雰囲気を持ってるんですよ。

ヒロインが病気っていうと、邦画における同ジャンルの映画の場合、大体ヒロインが自分の運命を呪いながらも、「彼と愛し合えて幸せでした」みたいな展開がオーソドックスなパターンじゃないですか。

この映画もそういう方向性はあるっちゃあるんですけど、他と違うなって思う点が2つありました。1つは、ヒロイン自身がそこまで自分の病気を気に病んでいないんですよ。いや、実際は押し潰されそうなぐらいなのかもしれませんが、劇中では明確にそういうシーンがないんですよね。体調悪くなったり、髪が抜けたりっていうのはあるんですけど、基本的に他の女子高生とあまり変わらないように見受けられます。

もう1つは、他のキャラクターもみんな何かしら問題を抱えているところです。モーゼスは親から勘当されてるし、ミラの母親は精神不安定だし、父親は新しく越してきた妊婦の隣人と何かしてるし。だから、ヒロインだけが悲劇真っただ中っていう見せ方じゃないんですよ。みんな何かしら闇があるっていう点で同質化されている分、ヒロインだけに同情する感じじゃなくなっているんですよね。その分、彼女が病気であるという事実がマイルドになっているというか、個性というか、マイナス要素にならないんですよ。そこがこの映画の魅力なんだろうなーって感じました。

恋愛自体はオーソドックスな感じですが、全体的に色使いが綺麗で、小説的な雰囲気もあったから、好きな人は好きだろうなって思います。

まあ、自分も歳を取ったせいか、昔だったらミラやモーゼスの気持ちを応援しただろうけど、今となっては親目線でミラがモーゼスと付き合うのは反対したいですね。彼はちょっと危ういので(笑)

なお、ミラを演じたエリザ・スカンレンは『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』で、三女エリザベスを演じた方です。今後の活躍が期待できますね!


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