意外と真面目なことを考えさせられる『伊藤くん A to E』
モンスター級の痛男、伊藤くんと出会ったことで、
女性たちの運命が変わる!
まさに予告通りの内容ではあったのだけれど、
観終わったあと、人生についてちょっと考えてしまった。
そもそも、伊藤くんの生き様にもきちんと理由があるのだ。
それを聞いたとき、これは単なる痛男の伊藤劇場ではなく、
矢崎女史との生き様のぶつかり合いだと感じた。
これから観る人は、
自分が「人生をどう生きたいか」ということを考えておくと、
伊藤くんと矢崎女史のやり取りを観たときに、
何か思うことがあるかもしれない。
これまでの33年間を振り返り、
若い頃は、自分の価値観とそぐわない生き方をしている人に、
嫌悪感を感じたり、変な正義感を振りかざして正そうとしたりしたけれど、
ある程度歳をとって、「まあ、自分がよければいいんじゃない」的な、
他人に対して寛容というか、
自己と他者の違いについての諦めというか、
よくも悪くも他人に対して興味がなくなってきたからこそ、
伊藤と矢崎女史の違いについて冷静に見ることができた気がする。
別に正解なんてない中で、
勝ちにこだわる人生か、
負けても打席に立ち続ける人生か、
戦わずにいることで負けもしないが勝ちもしない人生か。
どれに対して、どう思いますか。
他者の意見をものともしない強者もいれば
そういうのを極端に気にする人もいる中で、
伊藤のスタンスは共感できました、僕は。
人によっては「逃げ」に映るかもしれないけど、
僕には「守り」に見えました。
まあ、どんな生き方でさえ、
例え無様で切実だろうとも、
自分のやり方を貫くと、
それはそれで味になるのかなと、
意外にもそんな真面目なことを考えてしまう映画でした。
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