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人生の一コマ 第10話

前回の記事の続きです。

私は背中で眠る我が子の寝息を感じながら 自転車を走らせ、家路を急いだ。

気のせいか  自転車のペダルが軽く感じた。

そして  幾分 スピードも上がっている様な感じだった。

きっと神さまが神力を向けてくれているんだなと

ありがたく思った。

こうして、自転車を走らせている間も私は安心感に満たされてた。

私は、穏やかになった心と安心感に満たされたまま無事 家に着く事ができた。

寝室では 夫も二人の子もぐっすり寝ている。

私は背中でぐっすり寝ている子をお布団に寝かせ付けた時

数時間前の自分を思い出した。

私はこの家で嫁であり 妻である事で 息が詰まりかけていたのだ。

しかし、私はお百度参りを経験して自分を取り戻す事ができた。

振り返ると

神さまは私に何一つ 「こうでありなさい」と

条件を差し出すことは無かった。

ありのままの私を温かく受け入れてくれた。

その温かさが私自身の消えかけていた温かさに繋がり

私は本来の自分の温かさや優しさを思い出す事ができた。

他者から攻撃されたり裏切られたり罵られても

自分が自分を信じられなくなる必要はないのだ。

私を否定する思いはあなたの自由だ。

自分を信じるのは自分でする事にした。

すると夫への信頼も取り戻せた。


夫と付き合い始めた頃の話だ。

夫の人柄を感じさせられた出来事がある。

夫の部屋に初めて招待された時、

本棚に 手塚治虫氏の「火の鳥」が全巻並んでいた。

夫は 「この本 好きなんだ」と話してくれた。

私は全巻全ては読んだことは無かったが

どんな方向性の本かは少しは知っていた。

夫は「読んでみる?」と言いながら。

紙袋に全巻入れて渡してくれた。

自分の価値観を伝えようとしてくれているんだなと思った。

私も夫になるだろう人がどんな価値観なのか理解しようと 

1ページ 1ページ丁寧に読んだ。

そして 読み終えた時 この人と人生を生きてみようと思った。


この時の夫への純粋な気持ちだけで再び夫婦でいようと思えたのだ。


























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