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Webメディアの終焉、今後の業界の展望


 現在とあるWebメディア事業部で働いている筆者。今年で勤続年数は8年目ぐらいで社内では中堅クラスのポジションになりましたが、この度、一身上の都合により辞めることになりました、ヤッタゼ!

 主な理由は、低迷し続ける会社と業界の将来に希望が持てないから。同僚の方々は一生懸命復活を目指して頑張る一方、筆者は数年前からこの状況を危惧していて、いまや設定Lで事故狙いをしているような苦しい状況になってしまい、さすがにアホらしくなり「これはいよいよ…」だなと思った次第です。

Webメディアの収益システム

 会社の低迷に関しては、もうどうしようもないというか解決策がほぼ皆無なのでここでは割愛しますが、問題は業界の将来性。大手は例外として、中小規模のサイトは相当ジリ貧になっていくと思ってます。

 かつて勢いのあった某ゴシップ系サイトがいまや規模縮小あるいはほぼ閉鎖状態、有名どころだと、マックスむらいでお馴染み「AppBank」のメディアサイトが売上低迷からの規模縮小&従業員へ退職勧奨したとのニュースが話題になったりと、わりと人気のあったサイトですら追い込まれているわけですから、それ以下の中堅サイトはもっと苦しいはずです。

 さて、ここからはサイトの生命線となる売上、Webメディアの収益システムについて話していきたいと思います。

 ぱっと思い浮かぶものは、おそらくネット広告でしょう。アドブロックさえ入れてなければサイト内の至るところに広告が貼ってあってあるし、動画でいえばYouTubeなどでよく目にするかと思います。ただ、Webサイトにおける広告に関しては、以下の3つに分けることができます。

・Googleアドセンスなどの自動広告
・特定の企業と契約した専用広告
・記事広告

 Googleアドセンス系は最もポピュラーな広告で、基本的に各自の検索履歴に応じて表示される自動広告です。たとえば、直近で車についてググってたりしていると、他のサイトに訪問したときに車系の広告が表示されるようなシステムです。

 専用広告はGoogleアドセンス系とは異なり、契約した特定の企業の広告しか表示されないシステムで、自動とは真逆の固定化された広告となっています。

 そして最後の記事広告は、記事そのものが広告になります。身近なものでいえば、所謂アフィリエイトのようなもので、何かの商品を紹介する記事を作成→それをリンク先の購入サイトに飛ばし商品を買ってもらう→その紹介料を貰うような感じです。

 では、この3つの中でどれが一番重要なのか。それは企業の方針やサイトのジャンルで大きく異なりますが、日々の最新情報を伝えるニュースサイト系であれば、自動広告がメイン、あるいは自動広告と専用広告の二刀流で収益化しているところが多いかと思います。

自動広告と専用広告のメリット・デメリット

 そんな自動広告と専用広告にはそれぞれメリット・デメリットがあり、状況によっては重要性が大きく逆転する場合があります。筆者は広告の専門家ではないので間違い承知で書いていきますが、まずは

自動広告のメリット・デメリット
■メリット
・ページビュー数が多いほど収益がアップ
・広告表示のバリエーションが多い

■デメリット
・逆にページビューが下がれば収益大幅減※ここ重要!!!

続いて、

専用広告のメリット・デメリット
■メリット
・ページビュー数に左右されないので安定感バツグン
・サイトの方向性やジャンルにマッチした広告を出せる

■デメリット
・ページビュー数をどれだけ稼げても収益は固定化(企業からの広告費)
・自動広告の枠を奪う形になるので、自動広告分の収益が減少
・広告主にとって費用対効果が悪い場合は契約終了

 それぞれの特徴を見たうえで、皆様はどちらの方がいいと思いますか?

 仕事で例えるなら、自動広告は実力主義のフルコミッション(完全歩合制)、専用広告はド安定の公務員タイプといったところでしょうか。

 筆者が所属する部署は、前者のフルコミッションタイプで頑張れば頑張るほど収益が上がります。なので、調子が良い時は年間数億PVぐらい稼ぎ社内の中でも上位の成績を残してた時期もありました。

 ならフルコミッション(=自動広告)の方がよくね!?って思うじゃないですか。

 ところが、環境が目まぐるしく変わるWeb業界では、この絶頂期を一変させる”神(Google)のイタズラ”が頻繫に起こるのです。

 それが、Googleのコアアップデート。これはGoogle内の検索アルゴリズムに大規模な変更を加える…というもので、分かりやすくいうと、検索したときのサイト表示の優先度が変わるかもよってやつですな。

 たとえば、「車」と検索すると、現在一番上に表示されるサイトは「カーセンサーnet」で、2番目は「グーネット」ですが、この順位をユーザーライクに変更させるのがコアアップデートです。また、このアップデートは検索順位以外にも大きな影響を与えるので、これ次第でページビュー数が大幅に増減します。

 ちなみに、このアップデートは年に数回行われるので、その度に何かしらの対応策を練らなければなりません(これがかなりキツイ)。

 アップデートで高評価を得ることができればページビュー数(=収益)は全く問題なし、むしろうなぎ登りで上昇していくわけですが、逆になれば本当に悲惨です。

 筆者はこれまで複数のサイトを担当したことがありますが、そのうちの1つは年間3~4億ペースでページビュー数を稼いでいたのにもかかわらず、アップデート一撃であっという間に死んでしまいました。そこから何かがキッカケで復活する場合ももちろんありますが、その前に予算が尽きてジエンド!はい解散!ってのが大体のオチです。

 ここまでページビュー数について話してきましたが、それ以外にも広告単価というものがあり、これも収益に大きな影響を与えます。たとえば、1PVの単価が1円でページビュー数が100万PVの場合は、単純計算で100万円の収益になります。そのため、いくらページビュー数を稼げてたとしても広告単価が低かったらさほど儲からないってことです。

 ちなみに、この広告単価は「読者層」によって変化する傾向にあり、当該サイトのジャンルが低俗なゴシップサイトなら単価は低め、その逆に経済系のサイトなら高めって感じです。もちろん例外パターンもありますが、この広告単価はページビュー数の低下でも下がっていく傾向にあるため、そういった意味でも常にページビュー数を稼ぎ続ける必要があるのです。

中堅以下のサイトで稼ぐ時代はもう終わり

 つまり、コアアップデートで左右されやすい自動広告だけで収益を上げ続けることしかできないサイトはかなり厳しいということ。もっと言うと、一部の大手メディアを除けば、中堅以下のサイト運営はもうオワコンなのかなと予測します。

 サイトのネームバリューがあるうえ、一次情報を入手できる情報網があり、さらには潤沢な資金もある大手であれば今後も生き残ることはおそらく容易でしょう。特にヤフーニュースに載るぐらいのサイトであれば、よっぽどヘマしない限りド安定だと思います。

 逆に、上記に該当しないサイトは今後かなり苦しいと思います。仮に今が良好だとしてもコアアップデートで即死もあり得ますからね。

 もし同じ業界の方で「うちは問題ないだろう」と軽く考えているのであれば(多分そんな人はいないと思うけど笑)、明日は我が身だということを肝に銘じておいてください。

 また、これからWebメディア業界で働きたいという方にもアドバイスですが、まずはその会社が運営するサイトの分析をしましょう。その上で応募するか否か決めた方が絶対にいいです。同じ会社で長期間働きたいのであれば、自分の趣味嗜好だけで決めるべきではないでしょう。

 上記でも述べましたが、ヤフーニュースに載っているような大手サイトならレッツゴー、ライブドアその他のポータルサイトに載ってるならまずモーマンタイです。それ以外は正直かなりギャンブルなのでやめときましょう(アフィリエイト系で成功しているならアリ)。

 ただ、個人レベルでお小遣い稼ぎするならまだアリかなって思います。読者が求める情報を毎日発信し続けれられる根性と気力があれば、Googleアドセンスだけで月数十万円、アフィリエイトも駆使してうまくいけばそれなりに稼げると思います。ただし、時間と労力がかかるので、まずは趣味程度でスタートした方がいいかもですね。

 ってことで、そんなWebメディア業界とはもうすぐでおさらばです。っていっても、今後は個人事業主としてサイトを運営していくのでコアアップデートとの付き合いはまだまだ続いていくわけですが、それにめげずに頑張っていきますよ~。

 では。ノシ


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