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中国人はMade in Chinaをどう思っているのか

ハワイで、某ブランドのセールススタッフをしていた時の話である。

取り扱っていた自社製品の原産国は様々だったのだが、その中のひとつに「Made in China(中国製)」があった。
中国製品に関して、どこの国のお客様もそれぞれ価値観が違った。

「ハワイに来てるのに、わざわざ中国製は買わないわ。」
「まぁ、今はどこも中国製だよね。」

本当に人それぞれだった。

そこで私は、肝心の中国人のお客様は、中国製品についてどう感じているのかが気になっていた。
そして、それを確かめる機会が遂に訪れたのである。

とある日、中国人の団体客が店を訪れた。
30〜60代くらいの、家族や親戚であろう雰囲気の団体だ。
その中の1人が商品のバッグを持ち、

「A〜〜… Made in? Made in?」
( あ〜〜… どこ製?どこ製?)

と、聞いてきたのである。

即答で

「チャイナ!」

と答えると、親族一同から、

「オオオオオオォオォオ!!!」


という歓喜の声が湧き上がった。

私は中国語は分からないので、所々に混じる英単語とジェスチャーから内容を読み取るしかないが、

「ほ~!やはりチャイナか!」
「おい、俺にもタグを見せろ!オオオォ!チャイナって書いてあるぞ!」
「チャイナ!チャイナ!」

およそ、こんな感じであろう。

歓喜乱舞。すごい盛り上がりだ。
ものの5分で、中国製品は中国人にとっては誇りなのだ、という結論に至った。

その後、団体客の中の女性がハンドバッグを購入してくれた。
「ハワイに来てるのに、わざわざ中国製は買わないわ。」
という感覚はないようだ。


彼らの去り際に、私が知る数少ない中国語の中から“ありがとう“を意味する、

「謝謝!(シエシエ)」

と言いながらお見送りをした。
すると、おじさんの1人がキリッとした表情で振り返りながら敬礼をし、

「アディオス!!!!」


と言い残し、去って行った。

そこはスペインなのか。

アディオスが異常にツボに入り、その後閉店までの3時間、1人で思い出し笑いをしてはアメリカ人の同僚に気持ち悪がられた。愛すべきキャラクターの中国人だった。彼らのおかげで、自社の製品を、より誇りを持って売れるようになった。

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