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生産現場で使われているVR

 こんにちは。前回の続きで、生産現場で使われるVRにはどのようなサービスがあるかを調べてみました。
 「VRでこのようなことができるだろう」という予測や、産学共同研究のような研究や、技術開発したことの記事などではなく、実際に商材として販売されているサービスに絞って調べました。その中でもネットや展示会で知ったところのサービスを少し紹介します。VRを利用したサービスは、既に多数市場に出ており、今回はその一部となります。そしてVRといってもまだスマートグラスを使った簡易的なものが多く、まだまだこれから様々なサービスが出てくることが予測されます。

 前回VRでできる課題解決例を考えた時の分類はこうなっています。
⑨⑩は今回調べてみてできるとわかったことです。それぞれどの分野なのかを記載しています。

①技能継承、人の作業の記録
②組立作業の指示、確認
③検査機の撤廃
④作業指示書、現場の書面関係のデータ化
⑤自動翻訳
⑥VR空間でのシュミレーション
⑦VRレンズで行う遠隔修理作業
⑧工場・ライン PR
⑨安全教育(今回追加)
⑩人の作業の分析・品質保証(今回追加)

実際のサービス
ビジネスエンジニアリング(株):mcframe MOTION
モーションセンサーで作業者の動作や姿勢を3次元データ化し、作業指導・作業保証・作業負荷のための分析を行う。
ライブビュー、3Dモデル分析、動線分析。
作業指導…熟練者との動作の違いをグラフや数値で比較、診断レポートまで作成。
作業保証…作業手順や場所、異常動作の把握、ぽかよけを行う。
作業負荷…基準超えのデータをリスクとして判定。
分類:①②⑩


ビジネスエンジニアリング(株):mcframe MOTION VR-learning
VRと視線計測 を組み合わせた、VR目視学習システム。
ヘッドマウントディスプレイを装着して熟練技術者の視線の動きを体験できるため、より深く印象に残り高い学習効果が期待できる。
設定した「エリア」を確認したかどうかの履歴データを記録・再生可能。
トレーニング履歴を使った定量的な管理・評価も可能。
作業手順・点検手順教育や、作業標準の記録。物流・重機運転現場での危険予知講習や、安全教育。
分類:①②⑨


(株)ポケット・クエリーズ:iVoRi360トレーニング
360度カメラで撮影した映像を簡単にVRに対応した遠隔研修コンテンツにすることが可能。完成した研修コンテンツは10人で同時に閲覧が可能。
アプリケーション利用ライセンス費用:  300万円(税別)
・WebGL版オプション:30万円、保守費用として年間 30万
分類:①⑨

(株)ポケット・クエリーズ:QuantuMR
HoloLensで現場を歩き回ることで3DCGデジタル空間を作成。作成したデジタル空間ではMRで情報を追加、遠隔支援者の指示が可能。
作業者が作業場所に行くと、HoloLens越しにMRマニュアル(手順書・図面・動画など)が表示され、その表示内容を活用して作業可能。
HoloLensのカメラと3DCGデジタル空間を活用して、遠隔から現場の作業状況をリアルタイムに把握することが可能。音声や描画機能を使って指示を出すことも可能。
分類:④⑥⑦


NECソリューションイノベータ:VR現場体感分析ソリューション
VRとモーションセンサを組合せ、仮想空間に現場を具現化して研修や検証を行い、危険認知や安全教育、設計検証を行う。
簡単に事故の検証ができない、技能継承をしたい、手戻りを削減したいという場合に。
新規ラインの立上 3D-CADで作業工程を体感学習できる。現場をスキャンすることで実際の作業工程を実現できる。
作業導線の表示や作業員ごとの熟練度比較ができ、行動を数値化することができる。
コンサルティングを行い、それに合わせたプロトタイプを開発、その後VRシステムを本格開発という流れ。
分類:①②⑥⑦⑩


クオリカ(株):iBowQube
ヘッドマウントディスプレイ。現場で使用する端末に拘っている。仮想空間での教育や設計検証ではなく、遠隔作業や現場環境での使用に合わせたデバイスとなっている。
遠隔での作業指示(自然語検索、音声入力、画像共有)、作業者バイタル(心拍数)、作業環境情報(位置、気温、湿度、照度)
技能継承や遠隔保守サービスが目的
分類:①④⑦


(株)CEC:EdaGrass
スマートグラスによる同時翻訳機能。
日常会話や作業指示を話すだけで文字変換。多言語への翻訳が可能。グラスに表示することでハンズフリーで確認。外国人労働者や障がい者とのコミュニケーションを円滑にできる。
遠隔で画面共有することで、作業指示。
分類:⑤⑦


Dynabook(株):AR100(スマートグラス)
小型インテリジェントカメラを搭載したグラス
遠隔からの作業指示・ナビゲーション、動画撮影・画面共有、ピッキング(カメラで部品のコードを読み取りピッキング指示・確認)、監視・警備(顔照合技術を活用することで、AR100のカメラの視界の中から、登録された人物を見つけ出すことが可能)、技能継承が可能
分類:①②⑦⑩


 このようにまとめてみると、①技能継承を目的とした作業の記録、⑦遠隔保守作業が多いように感じます。①に関しては、技能継承を企業課題にあげている会社が多いためや暗黙知をデジタル化する必要がある(まだできていないため)と考えられているためと考えられます。⑦は熟練者が不足してきている、及び保守作業には移動時間・コストが非常にかかるため導入する費用対効果が高かったことが考えられます。さらにどちらもカメラの技術さえあれば良いため、サービスとしても比較的容易と考えられます。(シュミレーション等は仮想空間を確実に作る必要があるため技術も必要ではないかという意味です。)
 他のサービスは今後広まるのかどうかですが、ハード側(カメラ等)がより軽く、一般的になれば使用されていくと思います。今の製造業で現場の生産管理を目視と日報で行っているところをバーコードや生産管理システムで行っているところがあるようなイメージで、確実に必要ではないが、やりたいことを考えると実施するところが増えていくのではないかと思います。
 サービスを提供する側はいかに簡易的に導入できるかが大切になります。ハード側は、軽さ、操作の負担の少なさ、ソフト側は理解のしやすさが大切になると思います。
 そして360度のデータが揃ってきたら、VR上での工程シュミレーションやそこからの生産指示、分析と未来のスマート向上に繋がっていくと思います。今後も技術革新は続いていくと思いますので、製造業のVRに関して調べていきたいと思います。

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