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【俳句】寒月 冬構 寒鴉 しぐる 夜鳴蕎麦〜碧 萃生

寒月やゴジラの夢を深海魚

冬構母はひとりの身をまも

言うほどの哀しみもなし寒鴉

しぐるるや妻見送りて家広し

四辻をまた過ぎゆけり夜鳴蕎麦


夜鳴き蕎麦はどうしてあんなに美味しいのだろう。
子供の頃、あの音が聞こえると、僕と妹は一斉に親の顔を見る。
察した父は、
「こっちまで来たら、買うたるわ」
音はだんだん近づいてくる。
あと少し。
ところが、こちらには曲がらずに遠ざかっていく。
また、どこかで引き返して来る。
今度こそ。
しかし、そのまま行き過ぎる。
もう待ちきれずに、妹とふたりで呼びに走る。
一般的に「夜鳴き蕎麦」とは呼んでいるが、実際には、蕎麦よりも、うどんやラーメンが多かったように思う。
地域によるのだろうか。。
どんぶりやラーメン鉢を持って買いに行っていた記憶が。
途中から、簡易の使い捨て容器になったのでは。
懐かしい夜鳴き蕎麦。
今住んでいるところでは見たことはないが、以前、単身赴任先では時々見かけた。
買わなくても、あの音を聞くだけで暖かくなれる。

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