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わたしを月に連れてって 映画「フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン」

1969年7月20日、アポロ11号が月に着陸する。
そして、7月21日午前2時56分(日本時間21日午前11時56分)ついに人類はその足で月面に降り立った。
ニール・アームストロング船長は言った。
「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩である」
この様子は日本でも中継され、当時のNHKの視聴率は68%。
僕の家でも、ちょうど父が当時まだ庶民には珍しかったカラーテレビをモニターで借りて来ていたので、近所のおばさん連中と一緒に画面に釘付けになって見ていた。

あれから55年。
人類はその後一度も月面に降り立っていない。
おかしいと思うのが普通だろう。
こんなに技術が進歩しているのに。
あの一歩は、あまりにも偉大すぎたのだろうか。

そこで、当然こんな都市伝説も生まれてくる。
あれはフェイクだったのだ。
どこかのスタジオで撮影された映像だったのだ。
等々。

冷戦下の米ソ宇宙開発競争のさなかの1961年、ジョン・F・ケネディ大統領は、1960年代中に人間を月に到達させるとの声明を発表した。
アポロ計画である。
しかし、失敗続きのNASAに対して国民の関心は薄れつつあった。
さらには、泥沼化するベトナム戦争。
そんな状況を打破するために白羽の矢が立ったのは、マーケティングのプロ、ケリー(スカレット・ヨハンソン)。
彼女は、宇宙飛行士たちを「ビートルズよりも有名にする」と、手段を選ばない計画を実行していく。
彼らにそっくりな役者たちをメディアに登場させて、強引にイメージを高めていく。
様々な商品とタイアップしての広告。
一方、NASAの発射責任者.コール(チャニング・テイタム)は、彼女のやり方に反発する。
そんな最中、政府関係者からケリーに対して衝撃のミッションが告げられる……

これはアポロ計画をディスっただけの映画ではない。
その証拠に、制作にはNASAの全面協力を得ている。
40万人以上の関係者へのオマージュと、アポロ1号で犠牲となった3人の宇宙飛行士に対する哀悼の意に満ちた作品なのだ。

全世界注目のなか、アポロ11号の発射秒読みが始まる。
中継される映像は、果たして本物か偽物か。
キーパーソンならぬキーキャットに注目。

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