『敗れ、これからも敗れ続けるあなたたちへ』
戦ったのもあなたたち。
負けたのもあなたたち。
生と死を分けるのがほんの偶然でしかないのなら勝負の結果など些細な事。
私たちは学んだ筈だ。
あなたたちが誇りだという者もいるが、あなたたちは誰の誇りでもない。
あなたたちが背負うものなど何もない。
もし、あなたたちがそう思っているとしたら、思い上がりも甚だしい。
あなたたちを戦士に例える者もいる。
あなたたちが誰かのために戦えるはずもない。
誰かのために戦って欲しくもない。
あなたたちが戦士だとすれば、それは自分を守るという意味においてのみだ。
あなたたちは、すでに何度も敗れているかもしれない。
今日、初めて敗れたのかもしれない。
いずれにせよ、これからもあなたたちは敗れ続けるだろう。
勝ち負けなど、長い長い道の小さなでこぼこにしか過ぎない。
過ぎないが、今のあなたたちにはわかるべくもない。
わかるためには、その長い長い道をもう少し進まなくてはならない。
悔いはないという者を信じてはならない。
あなたたちの思いはそんなに簡単なものではなかったはずだ。
だからこそ、悔いも山ほどあるだろう。
その悔いを恐れずに立ち向かったこと。
あなたたちに何か誇れるものがあるとすれば、そのことだ。
さあ、胸など張らずに口笛でも吹いて帰って来なさい。
ありがとうと言われれば軽く片手を挙げて通り過ぎればいい。
夏休みはまだ少し残っている。
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