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『全力で推したいダジャレ』 # 毎週ショートショートnote

彼と付き合い始めて3年になる。
別にプロポーズの言葉などいらない。
先日、彼の両親に初めて会った。
それだけで、意思表示としては充分だ。

私の場合には、母がいないので、父に会ってもらうことになる。
それが問題なのだ。
別に父の許しがなくても結婚する。
でも、彼の方がそう言うことにこだわる方だ。

「お父さん、くれぐれもお願いね。馬鹿なことはやめてよね。中学、高校の頃、参観日や三者面談で私がどれだけ恥ずかしい思いをしたか。
明日は、うなづいてるだけでいいからね」

当日、2人の面談は順調に進んだ。
私は安心して、料理の準備にかかった。
様子を見に戻った時、私は自分の考えの甘さに直面した。
「あははは、君のお父さんのダジャレは素晴らしいじゃないか。どうして教えてくれなかったんだい」
「いやいや、俺のダジャレにダジャレで応酬してきたのは君が初めてだ。おい、お前、どうしてもっと早く紹介しなかったんだ」
あちゃー。
私はダジャレ家族から逃れられないのか。


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