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旅行会社 中の人から見た「GOTOトラベル」 客層の変化について

「GOTOキャンペーン」が始まって4か月目ですね。
東京都民も行けるようになり、地域共通クーポンも始まってひと月。
良くも悪くも「旅」というものが注目された数か月でした。

「GOTOトラベル」を使う人の層とは?

7月末に東京を除いて「GOTOキャンペーン」が始まった際に目にした
評論にこうありました。
「客層が下がる事は間違いない」

私は旅行業に従事しているものとして、
今旅行に行ける、行こうとする人はむしろコロナ禍で苦労する人が多い中、
生活に不安のない人たちなので、言い方は悪いけれど、中流以上なのかと思っておりこの人の論拠はどこなんだろう?とみていました。

しかし、始まって数か月、特に東京都民も参加できるようになり利用者が増えた10月以降、現地ホテル、お客様と触れ合う添乗員、コールセンターから

「客層が下がった」
「客層が違う」

という声が聞かれるようになりました。

旅慣れしていない層の参加

とある宿泊施設さんから、こんな話を聞きました
「部屋の使いかたがひどい。 プールから上がって、そのまま寝ころんだのか ベッド全体がびしょぬれだったり、ゴミや利用済タオルが
 酷く散らかったままだったりすることが増えた」

一時期インバウンド全盛期によく聞かれた、
アジア圏からの旅行者のマナーの悪さに似たことが起こっているようなのです。悪気があるというわけではないのでしょうが、ホテルの使い方を明らかに知らない、マナー違反者が増えたようなのです。

私自身も先日空港で経験しました。
搭乗の際、妊婦や幼児連れを優先搭乗させ、その後、会員顧客の優先搭乗がありその後一般客という順序で案内がされるのですが、これも知らないというのとアナウンスを聞いていないというものあり我れ先に、とゲートに向かうケースも見受けられました。

旅行に行っている人であればわかるような常識的な事も認識していない層が参加をしているということのようです。
「旅行需要を掘り起こす」というのは、ここまで掘り起こすのだ、と実感することの多い経験でした。

クレームの「質」の変化

添乗員からも驚くようなケースを聞きました。
感染症拡大は特に密閉された車両内でマスクを外したときが危険という認識はあるい程度広がっていると思います。
当然バスツアー催行会社も細心の注意を払ってバス車内でのマスクを外しての会話、飲食を控えるように呼び掛けています。
某社の団体ツアーがクラスターを出し、その後新規予約が減ったケースでもわかるように出してしまうと会社の存亡にかかわるので、そこはお客様へのご案内は強めになります。

予約時も、書面でも車内飲食は「控える」よう記載をしていましたが
参加した客が
「控えて」は「禁止」ではないのに「禁止された」
と添乗員にその場でも苦情を言い、戻ってからも催行会社にわび状を求めるという事があったそうです。
感染防止というのはお客さまのことを考えての措置です。
それを「自分のしたいことができなかった」の一点で苦情にするというのは
どういう発想なのか、私には理解できません。

他人だけが「トク」をしているのが許せない層

もちろんせっかくだから行ったことのない場所へ行くという旅行者が
大半だとは思いたいのですが、中には
税金が使われている、他の人は恩恵を受けているのに、自分だけ受けられないのは納得いかない、という層もいるようで、まるで「GOTOトラベル」を利用することが目的のように見える客も一定数いるようですね。
今まで参加したことがなかったのに、週に3回も日帰りツアーに参加する。
季節もいいですし、確かに旅行に行きたくなる時期ですが
今まで1度も行かなかった人がはたして旅好きなのか?少し疑問は残ります

「GOTOトラベル」は需要の掘り起こしはしたが・・・

さて、普段旅行に行かなかった層も掘り起こしたキャンペーンですが
これが終わった時が旅行会社としては少し怖いのです。
いままで2泊3日が19000円だったツアーに、キャンペーンが無くなって
32000円になった時。果たして行ってくれるのだろうか?
行かないですよね?安いから、税金で行われる施策の恩恵を受けたいから行く層が
高くなっていくとは思えません。
 旅行の良さに気づく人ももちろんいると思いますが、あくまで安いから行けた旅行。
春以降がコワイ旅行業界です。

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