小説こころ⑩ ライブライブライブ

 小説こころ⑩ ライブライブライブ
 
 僕らは最初で最後のライブをする会場にいる。海辺の倉庫で時間は7時オープンだ。
 4組ほどのバンドが3曲ずつ披露することになっている。
 僕はメンクリでお世話になっているアヤにも観に来てくれるようお願いした。
 
 アヤ「がんばってくださいね」
一同「おうよ」
 
 夜の海の風が心地よい。
 
 時間の都合上、3曲しか演奏できないので、僕らは泣く泣くS.T.U.Dを選曲からはずした。
 
 僕らの番になり、演奏がスタートする。ブルージーな鍵盤から入るsabotageが演奏される。マドカのボーカル&ギターが乗っている。リカのベースも穴見さんばりにピック弾きでビートを刻む。
 二曲目のorangeもマドカのボーカルが躍動する。リカの奏でるベースラインも最高だ。
 MCに入った。
「どうもこんばんは ぺガすず です。バンドメンバー募集中です。特にドラム、鍵盤、リードギターが必要なんです。私たちは〇〇町のスーパーで働いているので、見かけたら声かけね。
今日でサポートしてくれた達也が転勤で遠くに行ってしまいます。そんな達也が作ってくれた私たちの初めてのオリジナル曲お聞き下さい。達也、ありがとう」
 
 ぺガすずが演奏される。バラードからしっとりと入って、途中からバンドのグルーヴが活きてくるバンドにおあつらえ向きの一曲だった。
 
 そんな彼らの熱気を最後尾の場所から腕を組みじっと眺めている男がいた。
 

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