小説こころ② 海辺の町で②
小説こころ② 海辺の町で②
寂しい夜、悲しい夜には芸術がお供してくれる。ピンチはチャンス。打ちひしがれれば筆も進む。世の中は帳尻が合うようにできているのかもしれない。
辛くて自分のことしか考えられなくなる夜、僕はこの小説に戻ってくるだろう。この小説では何人かの女の人を描くのだ。
「バンドやってるの?」
と聞いたところそうだと言う。やはり二人はバンドのメンバーだった。リカがベースでマドカがボーカルギターらしい。ドラムとギターが辞めてしまい、ちょうど二人だけになってしまったところだった。知り合いの空き倉庫で練習をさせてもらっているらしい。
「よかったら練習見に行っていいかな?」
「あなたも音楽やるの?」
「うん、まあね。下手だけどね」
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