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君に似合うと思って

職場に可愛いなって思う女の子が居て少し気になっていた。
なぜだか女の子の方から僕の同期伝いでLINEを聞かれそれなりにやりとりして、流れで九月にデートの約束をした。
「どこ行きたい?」と僕
「どこでもいいですよー、何でも興味あるんで!」と女の子
ちょうど行きたい美術館の展示があったのでそこに決めた。

その日のデートは正直よくわからなかった。
しっかり顔を合わせて話すのは初めてなのに、腕を組んでくるわ、
「私、絵画とかちょっと良さが分からないんですよね、面白くなーい。」
なんて言ってきたり。おいおい何にでも興味あるんじゃないのかよって。
もっとゆっくり見たかったけれど少し早歩きで館内を歩く。
早々に美術館を後にして噴水のある広場でお喋りする流れになった。
一時間くらいは話しただろうか。
最後は「もう帰りたーい」って言うから「あ、そっか笑」って駅まで送って解散。その後もLINEが素っ気なくなったので、連絡しなくなった。

それから半年くらい経ってまた連絡がきた。
「ゆきさん全然連絡くれないじゃないですかーー笑どうしてたんですかー」って。よくわかんない子だなって思いながらも流れでデートの約束を取り付ける。
僕のお気に入りのレストランに連れて行った。話も弾むし、相変わらず食事は美味しいし、かなり楽しかった。
一週間後にまた水族館でデートすることに。イルカが好きらしい。
そのまた一週間後、ずっと気になっていた東京タワーの見える展望台でデートした。その子のことが少し好きになっている自分に気づく。
その日は大人しく帰宅したものの、向こうも多少なりとも僕に気がある感じだしもう告白しちゃうか。と。

この出来事で自覚したんだけれど、僕は案外ロマンチストらしくて、告白するなら花もセットでしょって思ってて、何の花にしようかって考えてた。

スーパーの花コーナーで見かけた、綺麗な水色で小さくて可愛らしい花びらをつけた花を思い出す。調べてみると「デルフィニウム」って名前で、ドルフィンが由来らしい。花言葉ももちろん調べる。素敵な言葉が並んでいて、しかもこの短い時期にしか咲かない花らしい。
可愛らしい雰囲気も、イルカが好きってはしゃいでた彼女にぴったりの花を見つけた。

「ちょっと渡したいものがあるんだけど時間ある?」と連絡を入れ、
花屋でかすみ草とデルフィニウムでシンプルな小さいブーケを作ってもらう。どのタイミングで渡すのがいいだろう、久しぶりにドキドキする。

「ちょっとこの辺り歩く?」世間話をしながら散歩する。
「あのね、今日は渡したいものがあってさ、これ。君に似合うと思って。」
ああ、なんかクサいなこれ。恥ずかしい気持ちを抑えながら花を出す。

「えっ..これ私に?似合う?そうかなぁ?」
そう言ったまま受け取ろうとはしない。

あれ....なんか思ってた反応と違う....笑
その後何事もなかったように散歩を続け、途中で花は渡せたけれど予想外の出来事に困惑した僕はそのまま帰路についた。


世の中には生花が嫌いな人もいるらしくて、そういう人だったのかな。


似合うと思ったんだけどなあ....。

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