楽譜と波紋

 先日、ある方から拙著『楽天IR戦記』の読後感想として、「5分に1回、息が止まりそうになった。面白かった」というお言葉をいただきました。息が止まりそうな思いをさせて申し訳ないと感じつつも、緊迫感をそのように表現していたき、とてもうれしく思いました。
 なぜそうなったのか?ヒヤヒヤするエピソードがたくさんあることが一因なのは間違いないのですが、もうひとつ思いつきました。それは、執筆中のBGMが、ほぼ、QUEENだったことです。

 執筆開始は2018年の10月後半。そう、映画『ボヘミアン・ラプソディー』の公開と同じ時期。映画ももちろん観ましたが、相当前に買った『Queen Greatest Hits』の1と2のCDを掛けながら、書いていました。当時大ファンというわけではなかったのですが、あのロックなテンポと音楽性が筆を進めさせたのです。『Under Pressure』など締め切り前によいです。
 できるかぎり事実に基づいて書いたので、映画のような脚色をすることは一切ありませんでしたが、短い時間に一気に駆け上がるような構成は無意識に参考にしていた気がします。

 本職の小説家の人はきっと意識していると思いますが、文章のリズムと音楽は、とても似ています。私は、本をはじめて書く未熟なライターですが、短い文で強く印象付ける箇所、長めの文で歌うように書く箇所などを、なんとなく音楽のように考えながら書いていました。
 高校の時はちょっとだけオーケストラ部に所属していたこともあり、ここはオケが一度ピアニッシモになって静かな旋律になった後、フォルテでサビを畳みかけ、バーンバーンバーーーーンとベートーベン風に終わる、というイメージで展開する文章もあります。モーツアルトみたいに軽快に進めるイメージのセリフも。(たぶん私だけの感覚ですが)
 『楽天IR戦記』は、IR(インベスター・リレーションズ)の現場の戦いの記録です。様々なエピソードを思い出し、時には泣き、時には大笑いしながら書きました。QUEENの音楽は、ロックだけでなくポップスやクラシックの要素も混じっていることが、そうさせたのかもしれません。

 反省は、校正時に展開と事実チェックばかり考えていて、誤字脱字のチェックをきっちり行っていませんでした。初刷の読者の方すみません。
 (言い訳すると校閲さんがもっとやると思っていました。宮木あや子さんの『校閲ガール』が好き。)

 そして、不思議なことに、約半年の執筆期間中にまったく飽きもせず繰り返し聴いていたQUEENは、書き終わったらあまり聴きたくなくなりました。
 今日は久しぶりにQUEENを聴きながらこれを書いていますが、以前ほど気持ちを盛り上げているわけではないですね。次のいいBGMを探します。

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IR(インベスター・リレーションズ)の経験などに基づいたテーマで記事を書いています。幅広い層のビジネスパーソンにも読んでもらえたら嬉しく思います!