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「心理会計(メンタルアカウンティング)」で「価格戦略」を考える

 あるお店で、1000円のTシャツの半額セールをしようとしています。そこで、お店のスタッフたちはどのように値札をつけるか考えました。議論した結果、以下の2案が出ました。

A)既存の1000円の値札の上に「半額500円」という赤札シールを貼る
B)「1000円」の値札は外し「500円」の値札に付け替える

 どちらの方法でも「500円」と表示されています。みなさんは、どちらが「お得」と感じますか?

 どちらの場合でも、レジで支払う金額は「500円(+税金)」です。しかし、多くの方が「Aの方がお買い得」と感じるのではないでしょうか。

「心理会計(メンタルアカウンティング)」という言葉があります。つまり、同じ値段でも「安い」と思う時もあれば「高い」と思う時もあるわけです。

 上記の例の場合、同じTシャツであり、同じ500円なのに、感じ方が違いましたね。実は、私たちは実生活の中でも、心理会計の影響を受けています。

 例えば、みなさんは、毎月お給料から様々なものが天引きされますね。天引きだと無理なく支払うことができるというメリットがあります。しかし、もしこの仕組みがなかったらどうでしょうか。「毎月10,000円の天引きがなくなり、12月に1年分120,000円支払う」ということです。毎月給料から10,000円引かれているならあまり痛みはありませんが、12月に120,000円支払うとなると大変ですね。12月は忘年会、クリスマス、年末年始などただでさえイベントの多い月。そんな月に「120,000円払うのはやめてほしい」と思うものです。しかし、毎月10,000円ずつならそんなに苦しみはありません。しかし、どちらも年間支払額は120,000円と同じです。

・10,000円×12回=120,000円
・120,000円×1回=120,000円

 このように「月々の天引きなら支払いやすいけど、年間一括だと払うのが大変だよね」がまさに心理会計の効果なのです。

 心理会計は、様々な分野で利用することができるのではないでしょうか。もちろんみなさんの貯金についてもいえるかもしれません。毎月コツコツの方がお金が貯まりやすいでしょう。

 ビジネスの面においても活用できます。例えば、こういう経験はないでしょうか。「商品A(30,000円)を買えば、今なら5,000円の商品Bが2,000円に!」などという宣伝を見て「2000円なら安い、ついでに買っていこう」などということが。つい安く感じ、購入してしまうものです。もちろん「これ、買う予定だった」という場合もあるでしょうが、そうでなくても「安い」と感じてしまい購入することもあります。

 他にも、日常は「1円でも節約して生活する」という人が、こだわりの趣味などになると「いくら高くても払う」ということもありますね。

 このように、人は心に左右されるのです。価格を考える時には、こういう点を意識しておくといいでしょう。ただし、やりすぎると色々と問題が生じるでしょうから(例えば違法行為など)、その点は注意しましょう。


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