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風の時代の国家戦略:ビットコインを法定通貨にすると国が豊かになる

 2021年6月9日、エルサルバドルでビットコイン法の法案が可決され、ビットコインが同国の法定通貨になりました。暗号資産(仮想通貨)が法定通貨になったのは世界初です。

 「国家と暗号資産」というと、よく「規制」という文字を目にします。しかし、エルサルバドルは規制するのではなく、法定通貨にしたのです。大胆な戦略です。

国のリーダーの任務

 国のリーダーは、自国が豊かになるために、行動しないといけませんね。エルサルバドルの大統領は、ビットコイン法を議会に提出する時に、以下の情報を発表しました。

 大統領はビットコインの時価総額の1%がエルサルバドルに投資されれば、同国のGDPは25%上昇すると述べています。

 エルサルバドルの国民の中には、米国に働きに出て、同国に残る家族に送金している人もいるそうです。しかし、人口の70%は銀行口座を保有していません。ビットコインにすることで、送金に関する問題も解決します。

 エルサルバドルの背景を何も知らずに「ビットコインが法定通貨になった」というと、「なんとハイリスクなことを」と感じ、ただただ驚くばかりです。しかし、実際には綿密に準備されています。事前に「ビットコインビーチ」というエリアを設け実証したそうです。そして、法案を提出すると発表したのは、著名人も多く登場したマイアミのビットコインカンファレンスでした。

 この国の状況を理解すると、エルサルバドルの場合、銀行を作ったり、他の戦略を実行するよりも、ビットコインを法定通貨にすることが一番早く問題を解決する方法だったと考えられます。

 ビットコインの法定通貨については、世界中で色々な声があります。肯定的な声もある一方、否定的な声もたくさんあります。ビットコインを法定通貨にした効果は1、2年後にわかるでしょう。しかし、このビッグニュースを発表しただけで、すでに世界の注目の的です。これは歴史に残ることでしょう。

戦略で国家を豊かにする

 資源の乏しい国や国土の狭い国、そして独自の技術のない国の中には、金融分野における戦略で豊かになった国もあります。これまでそのような国では、優れた外資系企業を誘致するために様々な措置を取ってきました。一方、企業は自社のビジネスが発展する魅力的な国に展開したいものです。立地や税制上の魅力は重要です。もちろん治安も忘れてはいけません。国家戦略として魅力ある企業を多く呼び込むには、誘致する側の国も他国とは違う魅力を打ち出さなければなりません。今まではこのような考え方でした。

 ところがエルサルバドルが取った戦略はまったく異なります。企業は誘致しません。ビットコインを法定通貨にすることで、国を豊かにしようとしました。そして、法定通貨を変えることで、国民が不便に感じている送金問題も同時に解決したのです。さらに、マイニングビジネスにより新たに収益をあげようとしています。エルサルバドルでは地熱発電によるマイニングを計画しています。マイニングについては、環境問題に関しても議論されるところですが、同国ではその点にも配慮した方法で行うと発表しました。これにより新たな雇用を創出することができます。

 このように「法定通貨を変えて国家を豊かにする」という戦略をエルサルバドルは取ったわけです。

小さな国でも豊かになるチャンスはある

 エルサルバドルに続く国はあるのでしょうか。実はすでに議員が興味を示している国があります。

 例えば、「資源も乏しく、魅力的な観光地もなく、優れた企業を誘致する力もない」という国でも、ビットコインを法定通貨にすることは可能です。これにより国が豊かになるのであれば、一つの国家戦略と言えるのではないでしょうか。小さな国が比較的容易に豊かになるための戦略の一つが、ビットコイン(暗号資産)にあるのかもしれません。

 風の時代の国家戦略は、地の時代の各国が作った法定通貨ではなく、風の時代の暗号資産により発展していくのかもしれませんね。

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 2021年2月より「風の時代にあったビジネス・マーケティング戦略」について理論的に執筆しています。エルサルバドルは、風の時代の通貨の暗号資産を活用した驚くべき戦略でしたね。これからも注目したいものです。

*Twitterより引用

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