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「手段」は選ぼう

 企業は商品を売り、売り上げをあげ、利益を得なければなりません。順風満帆であればいいのですが、必ずしもそうとは限りません。人は切羽詰まると、思わぬ危険な行動に出ることがあります。それは、「目先の利益を優先し、手段を選ばない」ということです。

 わかりやすい例が「違法行為をして儲ける」ではないでしょうか。人は、後がない時ほど危険な行為に出やすくなります。それは、ノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンの「プロスペクト理論(行動経済学)」でも証明されています。

 「利益が出ている時はリスクを回避したく、損失の時はリスク愛好的になりやすい」というものです。これはビジネスのみならず、資産運用(株式投資・FX)、スポーツなど様々な面において言えます。

 スポーツの試合をイメージしてください。「この試合に勝ったら全国優勝」という時の「勝っているチーム」と「負けているチーム」の心理を考えてみましょう。

<勝っているチーム>
現在大差で勝っています。このまま無事に時間が経過すれば、優勝は間違いありません。そんな時「優勝を逃してもいいから、新たなワザを試してみよう」ということはしませんよね? ここでは「ミスを起こさず、得点を奪われず、最後まで無事に戦い優勝を手に入れよう」と守りに入りませんか?

<負けているチーム>
今、大差で負けています。このままだと準優勝確定です。しかしまだ試合時間はあるので、一発逆転も可能です。まだ優勝の望みがあるなら、「このまま無難に終わらせよう」とはしませんよね? そうすると「失敗するかもしれないけど、成功したら一発逆転になるワザを使ってみよう」などと挑戦してみたくありませんか? もしそのワザが失敗しても現在の準優勝より下になることはないのですからね。

 同じ試合でも、勝っているチームと負けているチームでは考え方が全く異なります。勝っているチームは、「ローリスク戦略」で優勝を狙います負けているチームは「ハイリスク戦略」で優勝を狙います。このようにそれぞれ置かれる立場により取る戦略は異なるのです。

 では、「企業が危機に陥った状況にある時」を考えてみましょう。この時、企業はハイリスク戦略に出やすくなります。つまり普通の方法では売れないのですから、通常では考えられないような方法を取るわけです。例えば違法行為など。炎上商法を行う企業もあるかもしれません。企業としては、もう後がないわけです。企業にとっての最悪の事態、つまり破産するくらいならちょっとくらい危険な行為に出てもいいという心理になります。

 しかし、いくらハイリスク戦略が成功して利益を得たとしても、後々企業が被る損失は大きいと言えるでしょう。もし、違法行為をして利益を得た場合、「逮捕者が出る」、「行政処分になる」などの問題があります。いくら会社が存続したとしても、逮捕されては意味がありません。また、行政処分で営業できなくなっても困ります。それは求めていたものではありませんね。違法行為のみならず、その他の手段をとった場合でも、企業イメージが大きくダウンすることがあります。それでは顧客は去ってしまいます。一度失った企業イメージを回復するには、相当な時間・お金・戦略が必要になります。

 挑戦することは大切ですが、その戦略が誤った方向に行かないようにしないといけません。そうしないと、取り返しのつかないことになります。

 このような時、企業全体がそういう雰囲気になってしまうことがあります。スポーツチームと同じですね。試合に負けているとき、キャプテンだけ「よし、勝ちに行くぞ!」となり、他の人は全員「負けていいよ〜」とはならないものです。全員で「勝ちに行くぞ!」となります。企業も同じです。これが良い方向に向いているときはいいですが、全員で違法行為に行くとその先は恐ろしい結果しかありません。気をつけなければなりませんね。


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