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国にしかできない「命を守る」行動がある

 もし「生まれてから自由に国籍を選べる」というなら、あなたは何を優先しますか? 安全? 税金? 経済?

 例えば、次の2つの国があったとしましょう。
・税金を払う必要はないが、世界一治安・衛生状態が悪く、病院も学校もない
・税金は高いけど、世界一経済が豊かで治安もよく、国民の命も大事にする

 あなたはどちらを選択しますか? おそらく「安全」や「命」の優先順位は高いのではないでしょう。

 実際のところ、私たちは病気をしたら「病院に行く」「薬を飲む」「しっかり睡眠をとる」「栄養のあるものを食べる」などして、一人一人が自分の命を守ろうとします。しかし、これで全て解決とはいきません。個人の力で努力しても得られないものがあります。例えば、新型コロナウイルスワクチンがその一つです。

 新型コロナウイルスのワクチン接種が世界ではスタートしていますが、日本ではまだ始まっていません。

 もちろんワクチンは、安全性の問題もあるので、「早い=素晴らしい」とは限りません。だからといって、ゆっくりしていていいかというとそうでもありません。ワクチンが早くあれば救える命がたくさんあるからです。

 今、イスラエルの新型コロナウイルスのワクチン接種率が非常に高いというニュースが話題になっています。

 イスラエルといえば、中東のシリコンバレーと呼ばれており、新しい技術もたくさん開発されています。とても注目の国です。国の規模は違うとはいえ、それでも接種率が高いのは注目です。そして首相が率先して接種し、国民に対し安全性を示しました。他の国でも同様の動きが出ています。例えば、イギリスではエリザベス女王が、そしてアメリカでもバイデン大統領が就任前に接種しました。ちなみにビル・ゲイツ氏も日本時間の2021年1月23日にワクチンを接種したと報告しています。このように重要な人物が接種し、元気であれば、国民のワクチン接種に対する心配が軽減され、接種率もアップされます。

 日本は、アジアのシリコンバレーではありませんが、GDP世界3位です。世界では、それなりに力のある国です。しかし、新型コロナウイルスワクチンについては、他国より大幅に遅れています。確かに今回は治験の問題(上記の日本経済新聞社の記事による)があったかもしれません。ですが、昨日発表されたApple Watchの心電図機能からも考えると、日本は世界に比べて「命を守る」ことに対する行動が少し遅いのかもしれません。

 Apple Watchの心電図機能はすでに63の国と地域(2021/1/22時点)で利用できるそうです。日本はまだです。Apple Watchといえば、これを使うことで「命が助かった」と報告されている商品です。また、今回使えるようになる機能は心電図です。ゲームなどの娯楽ではありません。命の安全に関わる機能です。日本でも早くから使えるようになっていれば、助かった命があるかもしれません。

 この機能は、SERIES 4から利用できたわけです。しかし日本では、SERIES 6まで使えなかったことになります。せっかく高い機種を買っても「使えない」という非常にもったいない状況に置かれていました。日本人にとっては「宝の持ち腐れ」です。「高いものを買っても全ての機能が使えない」という状況が日本にはあったのです。

 私たちは、日常の体調管理は自分でできます。また検診を受けたり人間ドックを受けたりすることも可能です。しかしいくら自分の命を守りたくても、使えないApple Watchの心電図機能を使って命を守ることはできません。また新型ことなウイルスのワクチンも同様です。個人の力ではアクセスできません。

 新型コロナウイルスのワクチン接種にせよ、Apple Watchの心電図にせよ、世界基準で物事が動いています。日本基準ではありません。そして、それが遅れれば遅れるほど、日本国民の命が危険にさらされます。新型コロナウイルスについては、早く克服した方が経済の回復にもつながります。

 例えば、オリンピックの開催についての話題がありますが、多くの国民がワクチンを接種して、新型コロナウイルスの影響が小さくなった国の選手は、日本に来たいと思うのでしょうか? すでに50カ国以上の国で接種が始まっているのですから、オリンピック開催時期には、日本は他国より接種率が低い可能性が非常に高いのです。

 国にしかできない「国民の命を守る行動」があります。GDP3位の日本ですから、もう少し早いスピードでお願いしたいものです。

#日経COMEMO #NIKKEI

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