ブルーボトルコーヒーのマーケティングトレース
米カリフォルニア発のコーヒーショップである「ブルーボトルコーヒー」。
今では「コーヒー界のアップル」の異名をもつほどまで。
現在コーヒー業界は戦国時代と言われており、シェアの奪い合いが続いています。また、スターバックスやコメダコーヒーやタリーズといった名だたる店舗がひしめく中、市場に参入し容易にヒットさせることができるとは限りません。しかし、ブルーボトルは2015年2月にオープンしてから着実に店舗数を増やし、多くの人に知れ渡るまでに成長を遂げました。
今回はそんな競争の激しいコーヒー業界、カフェ業界に参入できたブルーボトルコーヒーのマーケティング戦略を読み解いていこうと思います。
ブルーボトルコーヒーの基本情報
マーケティングトレース参考URL
・ブルーボトルコーヒー
https://bluebottlecoffee.com/our-story
・「ブルーボトルが大切にする三つのこと」(ITmediaビジネス)
https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1502/20/news041.html
・「ブルーボトルコーヒー創業者が語る、日本進出が必須だった理由」(ITmediaビジネス)
https://www.itmedia.co.jp/makoto/articles/1502/12/news027.html
・「あの熱気から1年半、「ブルーボトル」最新事情」(東洋経済オンライン)
https://toyokeizai.net/articles/-/140314?page=4
・「ブルーボトルCEO、日本での全計画を語った」(東洋経済オンライン)
https://toyokeizai.net/articles/-/72690?display=b
・ISS Consulting
https://www.isssc.com/corp/bluebottlecoffee/
PEST分析
まず、ブルーボトルの属するコーヒー市場のマクロ環境を分析しました。
PEST分析からの考察
業界として市場の規模が大きくなっています。これはコーヒーに求められものが多様化しているからだと考えられます。コーヒー業界は今サードウェーブの時代と言われています。まず、ファーストウェーブと言われる「大量生産・大量消費」の低品質のコーヒーが飲まれていた時代に。そしてセカンドウェーブと言われる深煎りの高品質の豆でアレンジコーヒー(カフェオレやカフェラテ)が好まれる時代が来ました。
そして今はスペシャリティコーヒーのような「豆が生産されてから消費者の手に届くまでの工程全てこだわったもの」、ハンドドリップで一杯ずつ淹れるスタイルが流行るようになりました。これがいわゆるサードウェーブという文化です。
アメリカでは1990年代頃からこのサードウェーブ文化が流行り始めました。しかし、日本も喫茶店があり、一杯を丁寧に淹れるスタイルであったため、サードウェーブに近い文化は備わっていました。
「文化が先行し、産業はあとからついてくる」(日下公人さんの言葉)ことを考えると日本にはサードウェーブに近い文化が育っていたため、アメリカで流行っていたスペシャリティコーヒーは受け入れられやすい状態だったと言えます。そして案の上、今日本ではスペシャリティコーヒーが飲まれるようになっています。
このことからブルーボトルコーヒーの日本進出は理にかなっており、市場への参入もスムーズに行えたと思われます。
5Forces分析
続いてブルーボトルコーヒーを取り巻く業界の構造を5Forces分析から読み解き、ブルーボトルコーヒーがどのような立ち位置にいるのかを読み解いていきます。
5forces分析からの考察
・ブルーボトルコーヒーは大手カフェチェーンとは真っ向勝負しないポジショニング
・次に来る文化を予期して参入。
STP分析
次にSTP分析でブルーボトルコーヒーのマーケティング戦略を整理します。
ポジショニングでブルーボトルコーヒーの独自性を表現すると次の通りになります。
STP分析からの考察
まず、セグメントを分ける際に人口特性と地域性と行動特性に注目しました。
個人的な観点にはなりますが、コーヒーは味の優位性をつけにくいという点から嗜好性でのセグメントは省きました。
そこで行動特性に目をつけたのですが、それを考える上で顧客のニーズを明確に定義しなければならないということで、JOB理論を用いて機能的、感情的、社会的なJOBに分けて考えました。ここで注目したのは社会的なJOBです。
ブルーボトルは非日常なコトを提供することで顧客の社会的なJOBを解決していると考えられます。こう考えるとスターバックスも空間(コト)を売っているではないかと思ったのですが、スターバックスは街中に溢れるほど店舗を拡大しているため非日常、希少性の観点からは少し離れ、社会的なJOBであるオシャレだと思われたいを満たすことができないと考えます。
このことから文化が根付いた観光地と非日常のコトを提供している希少性や高級感がヒットの要因であるとも考えられます。
4P分析
ブルーボトルコーヒーが「コーヒーを通して“非日常の体験を提供する“というポジショニングを築く」ためにどのようなマーケティングミックスを構成しているのかを読み解いていきます。
4P分析からの考察
今週ブルーボトルに行きましたが、高い品質のスペシャリティコーヒーはもちろんのこと、椅子やマグカップなどのインテリアから高さを持たせた天井や余白を持たせた机の配置などの緻密に計算された空間が魅力的でした。
この洗練された商品や空間が顧客のゆっくりした時間を過ごしたい、集中したいという感情的JOBやできる人に見られたいやオシャレな人だと思われたいという社会的JOBを満たしていると考えられます。
また、プロモーションでSNSを活用しています。自社でも運用し、若年層に認知を増やしていますが、口コミでの拡散が主だと考えられます。オシャレで洗練されたものに若年層は敏感だと思います。ブルーボトルが積み上げてきたブランディングがそのイメージ戦略に繋がり新たな顧客を獲得できたとも考えられます。
ブルーボトルの成功ポイント要約
❶外部環境を追い風にした戦略を立てたこと
❷コーヒーを含めて最高のコトを売ることで差別化したこと
❸戦略と一貫した戦術
もし自分がブルーボトルコーヒーのCMOだったら?
最後に「自分がブルーボトルコーヒーのCMOだったらどのような打ち手を取るか」を考えていきます。
次のような打ち手を考えてみました。
私はブルーボトルコーヒーとキャンプ用品メーカーとのコラボキャンペーンを実施します。
確率思考の戦略論の本にビジネスを伸ばすための鍵は①認知率②配下率③プレファレンスの三つがあると記載されています。私はそのプレファレンスに目をつけました。
特にプレファレンスを水平方向に伸ばす方向、新規顧客を伸ばす方向に伸びしろがあるのではないかと考えます。
なぜならブルーボトルコーヒーは観光地や都心にしか進出しておらず、都心に出られない人のブルーボトルコーヒーへの接点があまりにも少ないと感じたからです。
最近多くの人はコロナウイルスの影響を受けてそう簡単に街中を出歩けないため、店舗販売は大きな打撃を受けています。その反面、キャンプなどのアウトドアの趣味を見つけ、楽しむ人が増えたと感じています。特にキャンプ動画を見ているとコーヒーを飲んだり、自分で挽いて楽しむ人が増えている印象を受けました。また、山でコーヒーを飲む非日常体験を提供できる点からも戦略との整合性があるのでこのキャンペーンを考えました。
具体的には、コーヒー豆やスティックタイプのインスタントコーヒーをキャンプ用品が売ってあるスポーツショップやアウトドアショップでセット販売します。
このキャンペーンによってキャンプなどのアウトドアを好む人の認知を拡大できるとともに新規顧客を獲得できると考えます。
以上でブルーボトルコーヒーのマーケティングトレースを終わります。
まだまだ至らない点も数多くあるとは思いますが、継続していくことでマーケティング戦略を蓄積し、成長できればと思っています。
今後もよろしくお願いします。
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