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来週の日米の金融政策決定会合(11月)についての一考

来週10月31日(火)と11月2日(木)に、日・米の金融政策が発表される。そこで、今回は両国金融政策について考察する。結論としては、
日本:「金融政策の大幅修正はない」
米国:「政策金利は据え置き」
と考える。

日本:
前稿でも書いたが、日本についてはファンダメンタルズ的には金融政策修正が無難だが、外部要因(海外市場のボラティリティ等)を考慮すると"今"修正する必要はない。特に、今回はFOMCが日銀の決定会合の後、ということもあり、日銀は慎重にならざるをえない。

米国:
一方米国は、更なる利上げか据え置きの2つの選択肢がある。米国の金融政策の構造に目を向けると、「物価の安定」に加え、「雇用の最大化」を目指すデュアルマンデートが目標となっており、「物価」と「雇用」の観点から現米国のファンダメンタルズを俯瞰してみる。その前に、ここでヒストリカルの政策金利を見てみると、直近3年では以下の様に推移していることがわかる。現在の政策金利は5.5%となっている。

米国政策金利(FF金利)

この政策金利の動向と併せて、過去3年の経済統計を見ていく。

物価:
茲許、CPIとコアPCEデフレーターは、落ち着きを取り戻していることが分かる。現在のコアPCEデフレーターは3.4%であり、政策金利が5.5%であることからも、3.4-5.5=-2.1%と物価を大幅に上回る金利水準であることがわかる。しかし、これだけの高水準の政策金利下でも物価の過熱感は意識され、利下げなどの金融緩和は時期尚早である。したがって、据え置きが妥当と考える。

CPI(対前年比)
コアPCEデフレーター(対前年比)

雇用:
米国雇用統計は、非農業部門の雇用者数は下落トレンドにあり雇用コストが高水準であることから、労働需給の緩和が見られる。追加の利上げは雇用コストを押し上げる要因となり、雇用者数を下押ししかねない。現在の米国の業況感は非常に強く、ソフトランディングを目指すFRBは米国経済を支えている主要企業の業況悪化は避けたいと考えているはずである。雇用と業況感の均衡点を考えても、今の金利水準は適切であると考える。

平均時給(対前年比)
非農業部門雇用者数
米国雇用コスト指数(対前四半期比)
JOLT求人労働異動調査

以上物価と雇用の観点から、追加の利上げは考えにくく、政策金利の据え置きが妥当な政策判断となるだろう。

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