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組織に投資する その4

ここまで3回にわたって、
「組織に投資する」ということについて
私が行ってきた事例を基に、考えを綴ってきました。

組織に投資することの具体例を整理した上で
このテーマのまとめにしたいと思います。

対話の進め方

★第3者のファシリテーターを招致して、定期的な対話の時間を設ける

★対話の時間はまずは社長、役員、幹部間から始める

★社長が主体的にこの活動を推進する。

★参加者から不平が出ても、真摯に対話で意図を伝えて辛抱強く続ける。

★幹部間の関係性の質が向上した後に、対象を組織全体に徐々に広げていく。

基本的にこの流れになります。

対話の土台作り

この流れを作る上で、
以前に紹介した「ハンドブック」があるとより効果的です。


社長が考える軸をすでに共有している、或いは共有できるツールが存在すると、
対話の効果がより高まります。
なぜなら、社長はこう考えている、というのが既に示されていたことを
幹部や社員が改めて知るというプロセスになるからです。
「初めて知った」よりも
「そうか、既に示されていた」
というプロセスの方が、納得度は高まるからです。

対話のテーマは?

対話の時間ていいますが、具体的に何を話しているの?と聞かれます。
今までにいろんなテーマを話してきたので、かつて何やったかは
覚えてないのが残念です。
因みに最近あがったテーマは記憶にあるので、参考までに例を上げてみます。

「最近のストレス発散方法は?」
「感情のふり幅って?」
「最近の優先順位の付け方は?」(これは度々登場するテーマですね)
「話しかけやすい人、話しかけづらい人ってどんな感じ?」
「役職者の本音は?」

テーマの背景に、その人が抱える最近の案件があるものもあれば、
単純に思いついただけ、というのもあります。

そういえば、数年前でしたが、
「おすすめの旅行先は?」
なんていうのもありました。
海系、山系、自然系、テーマ―パーク系、歴史系、
それぞれの好みや、行った感想などもあって、
改めて話すと、その人となりが分かって面白いものです。

こういうのが盛り上がると、
「いつか行ってみたい外国は?」
なんて話が広がって、それはそれでまた、新たな発見や意外な一面が見られるものです。

こうした相互理解が関係性の質につながり、
そしてようやく
「チャレンジとリスク、あなたはどちらを選ぶ?」といったテーマについて
向き合える環境ができる気がします。
そこでは、「実は〇〇の件についてなんだけど、、、」といった
リアリティのある話題とも結びつけて、
会議や議論といった結論づけを目的としない、
その物事をどう見るか、
どんな視点で見ているのか、
といった対話ができるようになりました。

飲み会の工夫とは?

対話の時間以外の取組みも、ひとつ紹介します。

今はコロナもあって中止してしまいましたが、
以前はビアバストを3か月に1回の頻度で実施していました。
(いわゆる飲み会です。社内的にはビアバスと略してました)

まあ、飲み会なのですが、やり方を工夫していました。

場所は社内で行います。
会議室でも休憩室でも構いません。
社内で行うのがポイントです。

勤務時間内に開始する。
うちは18時が終業時間なので、
17時とか、17時半からスタートします。
勤務時間内なので、社内にいる人は全員参加となります。

食事はケータリングを手配しました。
12月は忘年会を兼ねるので少し贅沢にお寿司屋さんを呼んで、
会場で握ってもらいました。
これは社員の評判もすごくよかったです。
(ちなみに予算的にはお寿司やさんで忘年会をするよりも安く済んだりします)

終業時間を過ぎたら自由。
宴会自体は19時半位まで続けますが、
18時の終業時間を過ぎたら、途中退出は自由です。
乾杯して、小一時間参加して、
定時になったら帰ってよしです。
これなら、個人の予定があっても、家庭の事情があっても
参加はできます。

18時を過ぎると、だいたい3割くらいは帰ります。
19時を過ぎると、半分くらいになっています。
19時半になると10人以下になり、ケータリングは撤収しますが、
そのあとも残って続けてもいいし、
どこか2次会に繰り出すこともあったようです。

ちなみに私は途中で帰ることが多かったですね。
業者への支払いとかの関係で撤収まで残ることもありましたが、
最後までいることは極くまれでした。

費用は会社負担。
なぜなら、組織への投資だからです。

科目は福利厚生費で落としますが、
考え方は組織への投資として考えていました。

さらにいうと、私としてはパートさんとの交流の場にもなりました。
小さいお子さんがいるパートさんは、
終業後の飲み会だと参加しにくいこともありますが、
この形式だと基本皆さんは、定時までは参加してくれます。
ケータリングのお持ち帰りも食材によってはOKにしていたので、
そういう意味でも喜んでもらえた気がします。
(仕事終わりからの買い物や料理を作る手間が省けますからね)

組織に投資するストーリー

社員に向けて、
組織に投資する、と話しても
ピンと来ない人もいます。

コンサルタントが来るとか、研修が増えるとかをイメージする人もいれば、
社員旅行とか飲み会を思い出す人もいます。

特に定義があるわけでもないので、
イメージは人それぞれです。

対話の時間、ビアバスト、
またここでは触れませんでしたが、社員旅行などを実施する際には
「ストーリー」を語るよう努めていました。

「こんな場を作ると、こんなことが実現しそうだよね」とか
「こういうことをすると、こんな気持ちが増して、笑顔が増えると思う」とかです。

飲み会、運動会、社員旅行、いやそれもあるけど、それだけじゃない。
目指す組織の在り方を伝えるストーリーです。
ストーリーなので、ロジックとは違います。
根拠はないです。
夢と希望と思い込みです。
ただ、そのストーリーが実現したら、
面白そうだな、とか、
楽しそうだな、とか、
給料増えそうだ、とか、
お客様にも喜んでもらえそうだ、とか、

何かひとつでも共感してもらえるストーリーを考えていれるようにしました。

ストーリーに共感できると、会社の成長や業績が自分事と結びつき、
ただの作業よりは、意味を感じられるかな、という思いです。
そして、こうした積み重ねも
成功循環の礎になったかなと感じています。

組織に投資した結果、社長はどうなるか?

会社は人に投資して、設備に投資して、環境に投資して、商品開発に投資して、と
様々な投資をして、会社の存続と成長を目指します。

それらの投資をする際に、
もうひとつ、これは組織に投資するという観点から考えてみませんか、ということです。
組織に投資することを目的にできることもありますが、
わざわざ新たに投資項目を増やすのではなく、
今まで行ってきた投資や、
これから行う投資について、
組織の投資としての意義はあるかということも考えてみてはいかがでしょうか?

人に投資することで、組織の投資にもなる。
すると、その人が辞めても組織のスキルはあがる。

設備に投資することで、業務効率があがるだけでなく、
情報共有や業務の連携がスムーズになり、組織のトラブルが減少する。

根拠のあるロジックがあれば、それに越したことはありませんが、
なくとも、社長の思いをストーリーとして語ることで、
結果として組織への投資にも繫がることはできると思うのです。

投資額の有効活用にもなりますし、
社員に対する悩み事が減って、
社員間、組織間の揉め事が減って、
退職者が減って、
残業時間が減って(その分のコストが削減されて)
笑顔と程よい緊張感のある職場になって、
業績が上がれば、

社長として、こんなにラクなことはない、
むしろ、めちゃくちゃ気持ちが落ち着いていられるようになる!
というのが、私の経験談です。

組織に投資する編はこれにて終了です。
「組織に投資する編」、お読みいただきありがとうございました。

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