見出し画像

トップが目先の必要に迫られた事ばかりに取り組んでいたら? その1

経営トップは自らが経営する会社の未来を見据え、
ビジョンを持ってマネジメントをするものです。
会社の未来を描くだけでなく、
顧客の満足、社員の幸福はもちろん、
社会への貢献や未来の環境問題などもしっかりと考えることが求められる時代です。
しかし、私は経営者になってからというもの、
目先の問題解決に追われるばかりの毎日でした。

仕事は楽しく!ではダメですか???

以前の記事でも書きましたが、
私はビジョンを描くのが苦手なタイプです。

冒頭で書いたような経営トップ像に対して、私は全くその通りと思います。
そういうトップはとても魅力的に映りますし、実際に尊敬できる人もたくさんいます。

ただ、自分はそういうタイプではないかなぁ、というだけです。

ビジョンや理念、改革や変革を声高に掲げて、熱い情熱をもって社員を引っ張るようなトップ像とは、
まさに真逆のタイプだと思っています。
社会への影響力とか、未来の環境とかを考えることは大事だと思いますが、
そういうことは大企業の人が考えてくれればいい。
零細企業は自分たちの事が最優先で当然と思ってしまう。

そんな私がトップとして考えていたこと、
「通販の仕事の面白さをみんなにも知ってほしい!」
「私自身も社員にも仕事は楽しくしてほしい!!」
「ギスギスした会社は居心地が悪そうだからイヤだな」
なんて感じのレベルでした。

「あくせくせずに、楽しくやっていこうよ」
そもそもからして、こういうタイプです。
何事も楽しくできれば自分もみんなもツラい思いをせずに、ラクな気持ちで日々過ごせますから。

そんなわけでルールとか規則もあまり好きではありません。
「仕事は楽しくやりなさい!」
なんてスローガンを掲げて命令してたら、
ヘンですよね。

楽しむというのは本人が自らそう思えるから楽しいのであって、
トップが社員に向かって「楽しめ!」と強制するものではないはずです。
ましてやルールで規定できるものでもないし、
「お前は楽しんでいないじゃないかっ!」なんてと叱るものでもない。

そんなわけで、
「楽しくない~?」
と問いかけることはしてました。

しかしながら、
「仕事なんで、別に楽しくないです!」
と返されりすと、成す術がありませんでした。

ちょっと話がずれてしまいましたが、
私がどんなタイプかのイメージはついたかと思います。

さて、話を元に戻します。

トップとして日々取り組んでいたこととは?

そんな私が経営トップとして
日々何にどう取り組でいたのか?

それはもうシンプルにこうでした。

必要に迫られたことをやる!

「今期の売上目標はどうするんですか?」
と社員に問われたら、
これくらいを目指せそうかな、
なんて考えてみる。

「こんなことが起こってますが、どうしたらいいですか?」
と社内の問題について判断を求められたら、
どうすればいいのかを考えて、自分の判断を示す。

とまあ、こんな具合で自ら「こうしよう!」と発するよりも
必要に迫られたことを受け身的に対応し考えていたわけです。

私がトップに立った時代は、
ちょうど小泉総理が「自民党をぶっ壊す!」といったスローガンを掲げ、
強い言葉で敵対勢力と対決しながら、
旧時代を改革するぞ、的なことを発するトップ像が支持されていました。
あれはあれでカッコいいと思いますが、
キャラじゃないというか、自分自身に合うとも思ってませんでした。

必要に迫られたことを日々対応しながら、
自分なりのトップ像、リーダー像を模索していたとも言えますし、
はたまた何も考えてなかったのかもしれませんが。

試行錯誤と言えば聞こえはいいですが、迷走していた時期でした。

必要に迫られたことにはちゃんと向き合う

日々必要に迫られたことを続けいてるうちに
私なりに気付いてきたことがあります。

必要に迫れたことに向き合うというのは基本こんな感じです。
社員から求められたことに、まずは一応正面から向き合って社員の求めを聞く。
内容によって私自身も納得できるものであれば話は速いですが、
そうでない場合もあります。
違和感あるなあ、とか、それはやりたくない。とかです。
そこで双方がお互いに一定の納得ができる方法を落し所として模索します。

これは結構時間を取られます。
しかし求められたことを聞かずに適当にあしらってばかりだと、
社員の不満が溜まります。
不満が溜まると私に向ける視線や言葉も否応なしに厳しくなります。

ツラい。。。

だから私なりに頑張って向き合います。
ラクではないこともありましたが、
何か上手い方法が見つかることも時にはあります。
そんな時にはお互いに嬉しい。
お互いに議論がかみ合ってくると、解決策を考えるのも楽しくなってきます。
そんなこともあるので、
頑張って向き合い続けます。

そうするとですね。
社員が求めていることが段々と理解できるようになります。
こちらも以前に書いたことがありますので、よろしければご参照ください。

私は社員に「通販って楽しい」と感じてほしかったのですが、
社員は「定時に帰れて、有休がちゃんと取れる会社」を望んでいた。

私は社員ひとりひとりに伝わるように話し方やたとえ話を変えていたが、
社員は私から一貫したメッセージを聞きたがっていた。

などといったギャップがあることが分かってきました。

世の中にはプロダクトアウトとマーケットインという観点がありますが、
置き換えて言うと、トップアウトとエンプロイーインとでも申しましょうか。

社員が求めることすべてが、
私や会社にとって必要に迫られた事というわけではありません。
社員も悩んでいるとか、或いは愚痴でした、といったものもありますし、
トップとしてそれは優先順位が低いとか、望まないといったことは、
きちんと説明して理解してもらうしかありません。

しかし社員の求めることというのは、
決してその人の我儘だけではなく、
他の社員たちも感じている不満であったりします。
そしてそれは、お客様から突き付けられたクレームや、
取引先から投げかけられた質問や要望に起因するものだったりもします。

そうした求めに対して、
トップがきちんと考えを示さなければ
社員は当然不満を持ちますし、
なによりそれ以前に不安を感じます。

求めに応ずるにせよしないにせよ、
いずれにしてもその理由や背景をきちんと説明すれば、
一定の理解は示してくれるものです。

これを繰り返していると、
社員からは文句を言いに来るのではなく、
私の意見や考えを聞きたいとくるようになります。

私からすると、
最初は糾弾される怖い時間だったのが、
議論をして結論を出す時間に変わっていき、
時に対話をしてお互いの考えやその背景を共有する時間へと変わっていったのです。

この話は来週に続きます。

あ、遅くなりましたが新年あけましておめでとうございます。

ことしもどうぞよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?