見出し画像

金曜日の随筆2024:思考の安全地帯から踏み出す

瞬く間に時間が流れ、運命を動かしていく金曜日がまた巡って来ました。2024年のWK39、長月の四です。九月最後の週末は、久しぶりに特に決まった予定のない週末です。今日は、『思考の安全地帯から踏み出す』という自由作文です。

思考の安全地帯

『思考の安全地帯』とは、インド独立の父、マハトマガンジー(1869/10/1-1948/1/30)の孫で作家、社会活動家だったアルン・ガンジー(1934/4/14-2023/5/2)が著書『おじいちゃんが教えてくれた人として大切なこと』(ダイヤモンド社2024)の中で使っており、腹落ちする面白い表現だと思い、メモしたものです。

反対意見を吐かれたり、批判を受けたりして、自尊心が傷つくことを恐れて、同質の人間達としか交流しない態度、自分とは違う意見や価値観を持つ人をシャットアウトして切り捨てる態度、がそれにあたります。私自身にも、自分の尊厳を守りたいという大袈裟な防衛本能とまではいかなくても、不愉快な気分になることの少ない居心地のよい場所で過ごしていたい、という願望は強くあります。

マハトマ・ガンジーは、そのような自分にとっての安全地帯に止まろうとする頑なな態度こそが危険であると考え、自分とは対峙する人の意見にもオープンな態度で積極的に耳を傾けたようです。ただし、その意見に安易に迎合したり、追従することも善しとはせず、自分の思考に溶け込ませるかどうかの判断は必ず自分自身で熟考して決めることも推奨していたようです。

柔軟性は習慣で養える

このガンジーの教えきは、大いに共感します。一般に「柔軟性がある」という評価は、社会では好意的に受け止められています。「懐が深い」「器量が大きい」といった表現にも繋がる、人間としての大切な資質だと感じられます。

私は、子供の頃から身体が硬く、体前屈や開脚前屈などを大の苦手にしてきました。柔軟体操やストレッチが好きではありません。その影響なのか、思考にも頑なな部分があり、一見すると柔軟性のあるタイプには見られません。ところが実際には、移り気で、他人の意見に影響を受けて、コロコロ意見や態度を変え易い、という優柔不断な欠点があることを早くから自覚していました。

その欠点を、「柔軟性がある」という長所に転換する為、あらゆる視点からの雑駁な読書に取り組んで来ました。本を選ぶ際は、自分と似た考え方の人の本ばかりではなく、対立する考えの人の本にも目配りするようにしてきました。私は社交性がある方ではないので、人間関係が狭く、似た価値観の人とばかり過ごしがちです。多彩な人付き合いを通じて機微を自然に学ぶという経験が乏しいので、培った知識の量で補うというのが基本のスタイルです。

自身を評して、「柔軟性がある」と自信を持っては言えませんが、「環境への適応性はある」とはしばしば公言してきました。柔軟性は、環境と観察によって養えると考えています。

思考の安全地帯から時々脱け出す

意識して「思考の安全地帯」から脱け出す機会を持つべきなのだと思います。油断すると、居心地の良い空間に居座ってしまい、外へ踏み出す機会を拒否する方向に向かいます。

最近の私の場合、マスメディアの情報や書籍からの知識で思考が大きく変化することは、まずありません。硬くなっているので、具体的な行動が欠かせません。未知の場所へ旅をしたり、未知のお店に直感を信じて飛び込んだり、敬遠してきた娯楽に挑戦したり、が必要です。この週末は、遊び心を掻き立てて、非日常を楽しみたいものです。

サポートして頂けると大変励みになります。自分の綴る文章が少しでも読んでいただける方の日々の潤いになれば嬉しいです。