【追悼】野村克也氏

野球評論家、野村克也氏が急逝されました。突然体調が急変し、病院に搬送されたもののそのまま亡くなったとのこと。訃報報道に大変驚いています。

野村克也氏は京都の峰山高校から1954年にテスト生扱いで南海ホークスに入団。現役時代は捕手として、戦後初の三冠王を獲得した名選手です。南海、ヤクルト、阪神、楽天で監督を務め、野球理論を重視したID野球で、戦力の劣るチームを強豪チームに仕立てあげてきた名将です。「名選手、名監督に非ず」というジンクスを覆す存在です。

加えて、野球解説者・評論家としても超一流の実績を誇るプロ野球界の重鎮中の重鎮のひとりでした。野球人のみならず、「ノムさん」の愛称で多くの人に親しまれた人でもありました。

私はこれまで野村氏の著書を数多く読んできました。野球の技術論はよくわかりませんが、勝負哲学、人材登用術、人生訓、処世訓などを参考にしてきました。noteにも、近著の『超二流』の読書感想文を残しています。

尊敬を込めて、野村克也氏を一言で形容するなら、『生涯を野球に捧げた【野球馬鹿】』です。『野村ー野球＝０』と語っていた映像も残っています。あのぼやき節がもう聞けないかと思うと大変残念です。野球界としても大きな損失でしょう。

決して仰ぎ見るようなスーパーマンではありませんでした。自己顕示欲もそこそこ強く、完全無欠の人格という感じはしません。野球選手としての実績の割に、華がある長嶋茂雄氏や王貞治氏に対して日陰の存在、ヒールな扱いだったことを本人も自覚していて、著書でも剥き出しの屈折した感情を吐露している部分があります。人間臭い部分も併せ持っていた気がします。

御本人は野球一筋で生きてこられて、幸せな人生だったと思って、愛する夫人のもとへ旅立たれたのではないでしょうか。心よりご冥福をお祈りいたします。合掌。