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金曜日の随筆:中心と周縁

また運命を動かしていく金曜日が巡ってきました。2022年のWK38、長月の肆です。本日は秋分の日の祭日で、仕事はお休みですが、今週初めの台風14号(ナンマドル)に引き続いて、台風15号(タラス)が紀州沖から上陸して日本列島を縦断する勢いになっています。本日は『中心と周縁』という真面目なテーマを取り扱ってみます。荷が重いですが、勉強途上の備忘としてさわりだけを書き残しておくことにします。

今週の格言・名言《9/19-25》

Family is a place where you learn how to connect with other people.
家庭は「人と人がつながる」ことを学ぶ場所
Failure is the condiment that gives success its flavor.
失敗は、成功が引き立たせるための調味料だ
Truman Capote, novelist/USA トルーマン・カポーティ 小説家/アメリカ

中心は、周縁を必要とする

中心と周縁(center and periphery)を扱う学問には、民俗学、経済学、経済地理学、社会学、国際政治学など多岐に渡り、それぞれ微妙に違った内容を持ちます。

中心と周辺の理論で扱われる内容を、ざっくりまとめると以下のような話となります。

● 共同体の中心は、強固に安定していて、保守的である、安定化しているがゆえに硬直化し、衰退や制度疲労を起こしがちである。
● そんな時に、異変や異才が、取るに足らないと考えられている周縁で起こる。
● 周縁から起こる変化は、中心が維持してきた秩序や価値観が脅かされることになるため、最初は抵抗が起こる。
● しかしながら、中心が変化や異端が取り込まれたりことによって却って中心が活性化される。

中心が栄え、長く継続していく為には、周縁を必要とする、という理論でもあります。

文化と両義性

中心と周縁は、先進国と開発途上国、支配層と被支配層、強者と弱者、中央と地方、のような関係をイメージさせます。前者>後者という結末に落ち着くのは、そこに構造的暴力が埋め込まれている、価値の不等価交換が構造化している、といった説明がなされます。何となくイメージできる話です。

中心と周縁の理論を学ぶ上では、世界的な文化人類学者・山口昌男(1931/8/20-2013/3/10)の『文化と両義性』という著作が避けられないと言われています。私が、本格的にこのテーマに挑む以上、これから手に入れて読み込むべき作品になります。

大江健三郎

中心と周縁は小説のテーマとしても扱われてきました。その代表的な小説家として名前が挙がるのが、ノーベル文学賞(1994年)作家の大江健三郎(1935/1/31-)です。

大江氏自身が編集に関わった『叢書文化の現在4 中心と周縁』(岩波書店、1981)という論考もあります。私は、大江氏の小説はどうも肌に合わず、最後まで読み通せた作品が一冊もありません。大江氏の考え方や小説の特徴については、知識が皆無です。

これから考えていくことになります。

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