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第100回 箱根駅伝予選会 観戦記

横浜の自宅に帰ってきました。息子と妻は、インフルエンザから回復したばかりで、まだ本調子ではないので、週末は家族で出掛ける予定は敢えて入れていません。

本日(2023年10月14日)は、来年の1月2日、3日に開催される第100回東京箱根間往復大学駅伝競走の出場チームを決める予選会がありました。舞台は、東京・立川市陸上自衛隊立川駐屯地スタート~立川市街地~国営昭和記念公園ゴールの21.0975kmです。その観戦記を記します。


100回目の記念大会

正月の風物詩としてすっかり定着した箱根駅伝は遂に第100回の記念大会を迎えます。前回大会で10位までに入り、シード権を持っている10校と、本日の予選会を勝ち抜いた13校で争われます。記念大会の為、全国から参加しています。本戦出場を果たせなかったチームの選抜メンバーによる関東学連選抜チームは今回は結成されません。

常連校や実力のある伝統校であっても、ミスが重なれば、本戦出場は叶いません。初出場を狙う新興チームが、虎視眈々と下剋上を狙います。一発勝負の真剣レース。駅伝チームの一年で一番長い日です。

レース観戦前の豆知識

予選会の選考方法は特殊で、各チームから12名の選手がエントリーされ、上位10名の合算タイムでチーム順位が争われます。予選を確実に通過するには、10人の選手がそれぞれの役割を果たすことが重要です。チームのエースが快走してタイムを稼いでも、ブレーキを起こす選手が多数出てしまうとチーム順位争いでは致命傷になります。この為、殆どのチームが、主力級の選手にはフリーで走らせる(攻め)一方、中堅以下の選手たちはペースを守っての集団走(守り)という戦略を立てて、レースを進めます。

今回は記念大会で出場選手が多いため、レース中の接触による転倒や給水の失敗などのアクシデントにも細心の注意が必要になります。

レース寸評

9時35分の号砲で、史上最多の出場選手が陸上自衛隊立川駐屯地内の滑走路を一斉にスタートしました。予想通り、走力のある外国人留学生が先頭集団を形成して、最初の5㎞を14分10秒台のハイペースで通過していきます。ルーキーながら、トラックの10000mで日本記録を上回るベストタイムを持つ注目のエティーリ選手(東京国際大)は余裕があり、主導権を握っているように見えます。日本人選手では、10000mの持ちタイムが出場日本人選手中最速の吉田礼志選手(中央学院大)が唯一人集団に食らいつきます。

自衛隊駐屯地を後にした8.4㎞付近で、それまで軽やかに先頭を走っていたエティーリ選手が、後方の選手と足が交錯し、転倒するというアクシデントに見舞われます。なんとか起き上がり、追走したものの、明らかに走りに影響しています。崩れたリズムは最後まで戻らず、個人12位に沈む大波乱となりました。学生最速のエティーリ選手の爆走を起爆剤に、上位通過を目論んでいた東京国際大にとっては大誤算となってしまいました。

変わって、日本大学のルーキー、キップケメイ選手が10㎞手前から先頭に出てレースを牽引しました。懸命に追い上げる日本薬科大、キプルト選手とのラスト勝負を制し、1時間0分16秒の好タイムで優勝を飾りました。これまで二連覇中だった武蔵野学院大学のチャールズ・カマウ選手は、中盤から遅れ、アップダウンのある後半に追い上げたものの4位に終わりました。

日本人トップの9位には、報徳学園から東京農業大学に進んだスーパールーキー、前田和摩選手が1時間1分42秒の好タイムで入りました。後半15㎞からスピードアップして先行していた外国人留学生ランナーを次々と抜き去り、日本人トップを独走していた吉田選手をも20㎞手前でかわしました。ラストまでスピードが衰えない見事な走りでした。

結果寸評

【チーム順位】
①10:33:39 大東文化大学
②10:34:38 明治大学
③10:35:08 帝京大学
④10:36:42 日本体育大学
⑤10:36:54 日本大学
⑥10:37:06 立教大学
⑦10:37:20 神奈川大学
⑧10:37:21 国士舘大学
⑨10:37:27 中央学院大学
⑩10:37:58 東海大学
⑪10:39:05 東京農業大学
⑫10:39:40 駿河台大学
⑬10:39:47 山梨学院大学
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⑭10:39:50 東京国際大学
⑮10:43:15 麗澤大学

総合力を発揮した大東文化大学が昨年に引き続きトップ通過を果たしました。気象条件が違うとはいえ、昨年の総合タイムを7分も短縮しており、各選手が確実にパワーアップしています。2位には、二年連続で明治大学が入りました。充実した戦力で本戦でのシード権を狙うチームが順当に突破しました。常連の帝京大学も地力を発揮して3位に入り、虎視眈々と本戦で上位を狙います。

日本体育大学は、前半こそ下位に低迷していたものの、後半盛り返して4位通過。古豪の日本大学、東京農業大学が久々の予選通過を果たし、昨年惜しくも落選となった神奈川大学、中央学院大学、駿河台大学が返り咲きを決めました。直前の監督解任問題があった立教大学は、今年も総合6位に入り、見事に連続出場を決めました。東海大学は、エースの石原翔太郎選手の欠場で苦戦したものの、10位で何とか本戦出場権を確保しました。国士舘大学、山梨学院大学も連続出場を決めました。

一方、エティーリ選手のアクシデントが響いた東京国際大学が僅か3秒差の14位、前回日本人トップの成績を残した木村選手を欠く専修大学が18位に沈み、連続出場を逃しました。予選会では毎年上位に食い込みながらも今一歩の壁に押し戻されている麗澤大学は、今年も15位に終わり、涙を飲みました。また、関東以外の学校では、京都産業大学の27位が最高でした。

勝手に総括

予選会には、毎年のようにドラマがあります。今年も悲喜こもごもの舞台裏があったように思います。節目の100回大会ということで、例年以上に盛り上がりそうです。予選会で強さを発揮したチームは、勢いに乗って本戦でも上位争いをする傾向がありますので、期待したいです。

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駅伝観戦歴43年目のベテランファンの私は、各種観戦記事を書いております。ご興味があれば、過去の記事もご覧下さい。


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