第106回日本陸上競技選手権大会 10000m観戦記
2022年5月7日(土)東京・国立競技場で開催された第106回日本陸上競技選手権大会の男女10000mのレースをYouTubeで視聴しました。その観戦記を記します。
レース結果
勝手に寸評:男子10000m
今年の日本選手権は、2022オレゴン世界陸上競技選手権大会の代表選考レースを兼ねています。東京五輪10000m代表の相澤選手(第104回優勝)と伊藤選手(第105回優勝)がワン・ツーを占め、3位には市田選手、4位には東京五輪5000m代表の松枝選手と実力者が27分台で上位を占めました。
レースは、1、2組にわかれたタイムレースで行われ、持ちタイム上位の有力選手は2組目に振り分けられています。スタートからペースメーカー役のケモイ選手(愛三工業)とカンディエ選手(三菱重工)が、世界陸上参加標準記録(27分28秒00=1000m 2分45秒ペースで27分30秒)の突破を意識した速いペースでレースを引っ張ります。
1000mのLapは2分42秒、続く2000mは5分28秒(2分46秒)、3000mは8分17秒(2分47秒)、4000mは11分04秒(2分47秒)と順調なペースです。4000mを過ぎたあたりから、マラソンランナーの井上選手(三菱重工)やスピード自慢の松枝選手、ベテランの鎧坂選手(旭化成)らが意欲的に前に出ます。
8000mを過ぎたあたりで、終始集団内で控えていた相澤選手がペースアップし、後続をじわじわと引き離していきます。ラストの1000mを2分37秒でカバーし、2020年に続き自身2度目の優勝を飾りました。5000~8000mが中弛みした形になり、参加標準記録の突破はなりませんでしたが、貫禄を感じさせる走りでした。現時点での日本最強ランナーという評価をしてもいいのではないでしょうか。残るレースで標準記録を突破し、再び世界の舞台で戦って欲しいと思います。ラストで驚異的な粘りを見せて2位に食い込んだ伊藤選手も見事でした。
出場選手中唯一人、参加標準記録(27分28秒00)を突破済で、このレースで3位内に入れば代表が内定する権利を有していた田澤選手(駒澤大学4年 27分23秒44)は、レース序盤から相澤選手をマークし、好位置での周回を重ねたものの、後半徐々に引き離され、10位(28分06秒34)に終わりました。
勝手に寸評:女子10000m
女子は、今大会以前に世界陸上の参加標準記録(31分25秒00)を5名の選手が突破しています。そのうちの一人、2020東京五輪10000m代表の安藤選手(ワコール)は、2022杭州アジア大会マラソン代表に決定しており不参加の為、4名の激突が注目されていました。残念ながら、昨年彗星の如く大ブレイクして注目され、最速タイムを持っていた不破選手(拓殖大学2年)が不参加となりました。
レースは、標準記録を突破済で今季好調の五島選手がスタートから積極的に先頭に出て引っ張り、2020東京五輪5000m/10000m代表の廣中選手、実力者の萩谷選手、佐藤選手(積水化学)、小林選手(名城大学4年=標準記録突破済)ら有力選手が続く展開です。集団の中にいても、長身でダイナミックな走りをする廣中選手の存在感は圧倒的です。
廣中選手は、萩谷選手とのマッチレースになった後半7600mで、トレードマークの帽子を投げ捨て、集中力を高めます。萩谷選手も長身で、足の運びに無駄がなく、強いランナーだという印象を受けます。マッチレースはラスト一周まで続いたものの、最後は廣中選手のスプリント力が優り、2021年に続いて二連覇を達成しました。
廣中選手は、3位に入った五島選手とともに、2022オレゴン世界陸上10000mの代表内定を勝ち取りました。6月に行われる日本選手権5000mでも代表を狙うことになりそうです。
ちょっとおまけ
私の中長距離・マラソン・駅伝観戦好き歴も40年超となりました。
関連記事をたまに書いては、添付のマガジンにストックしていますので、よろしければ、昔の記事も覗いてみて下さい。
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