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2024箱根駅伝(復路)観戦記

駅伝観戦三昧の最終日は、第98回東京箱根間往復大学駅伝競走(復路)の観戦記です。

第6区 20.8㎞ 芦ノ湖〜小田原

往路新記録で優勝を果たした青山学院大学は、野村選手が、8時に箱根町芦ノ湖畔をスタートしました。2位の駒澤大学とは2分38秒差、3位の城西大学とは3分17秒差のリードが7区中継でどうなるかが注目です。青山学院大学の快走を受けて、16チームが復路一斉スタートです。

初の山下りに挑む野村選手は快調な走りで、箱根の坂を下っていきます。追う駒澤大学は昨年区間賞の伊東選手ではなく、同じ2年生の帰山選手です。追い上げたいという気合いが空回りしたのか、区間12位と不本意な走りに終わってしまい、区間2位と好走した野村選手に引き離される結果となりました。この結果両者の差は、4分17秒へと広がりました。

ポイントとなった6区で追い上げを許さず、逆に差を開いたことで、青山学院大学、俄然有利な展開になってきました。区間賞は、16人の一斉スタートから好調に下っていった3年連続6区出走の法政大学・武田選手が好タイムで獲得しました。

区間賞 武田和馬(法政大3年)58分2秒

第7区 21.3㎞ 小田原〜平塚

青山学院大学の復路メンバーは、全員が箱根初出場の選手達です。7区は、4年生の山内選手が前半を区間記録ペースで快調に走り、追う駒澤大学の主力で、駅伝経験豊富な安原選手の追撃を許しません。後半はやや苦しんだものの、区間3位にまとめました。

往路の不振により、後方からスタートした中央大学のエース格、吉居駿恭選手が地力の片鱗を発揮し、区間賞の走りでチームを10位に押し上げました。また、注目されていた東京農業大学のスーパールーキー前田選手は、本調子ではなかったのか、区間13位に終わり、ほろ苦い箱根デビューとなりました。東海大学のエース、石原選手も重い走りで本来の力を発揮出来ず、区間15位に終わりました。

区間賞 吉居駿恭(中央大2年)1時間2分27秒

第8区 21.4㎞ 平塚〜戸塚

コース後半に難所、遊行寺の急坂が控える8区は、近年レースの勝敗を決するポイントとなることも多くなっています。

首位の青山学院大学は、箱根初出場の2年生・塩出選手が区間記録まで11秒に迫る好走で、区間賞を獲得する最高の走りを披露しました。駒澤大学は、昨年も同区間を走って優勝メンバーとなっている赤星選手を起用したものの、この区間でも差を広げられる結果になってしまいました。

後方ではシード権争いが熾烈となっており、10~13位は秒差の争いとなっています。

区間賞 塩出翔太(青山学院大2年)1時間4分00秒

第9区 23.1㎞ 戸塚〜鶴見

「花の2区」を逆走する復路の最長区間です。

首位の青山学院大学は、箱根初出場の4年生、倉本選手が好走し、区間賞を獲得。2位駒澤大学との差は6分23秒となり、ほぼ勝負は決しました。3位以下もそれぞれ単独走となっているせいか、区間記録はやや低調に終わりました。

最下位の山梨学院大学が、無念の繰り上げスタートとなりました。

区間賞 倉本玄太(青山学院大4年)1時間8分51秒

第10区 23.0㎞ 鶴見〜大手町

東京都心を走り抜ける10区では、過去何度も首位交代が行われてきましたが、今年は青山学院大学の強さが際立つ展開になってきました。

青山学院大学のアンカー、宇田川選手は堅実な走りで、危なげなくタスキを大手町のゴールまで運び、2年振りの優勝を、総合新記録で飾りました。

2位には、駒澤大学、3位は城西大学となりました。岸本選手が区間賞の走りを見せた東洋大学が4位。以下、國學院大學、法政大学、早稲田大学、創価大学、帝京大学、大東文化大学までがシード権を獲得しました。

区間賞 岸本遼太郎(東洋大学2年)1時間8分51秒

最終結果

【総合】
① 青山学院大学 10時間41分25秒=大会新記録
② 駒澤大学 10時間48分00秒
③ 城西大学 10時間52分26秒
④ 東洋大学 10時間52分47秒
⑤ 國學院大學 10時間55分27秒
【復路】
① 青山学院大学 5時間23分12秒
② 駒澤大学 5時間27分09秒
③ 東洋大学 5時間27分28秒
④ 法政大学 5時間27分32秒
⑤ 國學院大學 5時間28分20秒

勝手に寸評

復路でも青山学院大学が一度も首位を譲らず、ゴールでは6分35秒の差をつける圧勝でした。充実の戦力で、史上初の2年連続大学駅伝三冠を狙った駒澤大学を圧倒しました。これまでも強力なライバルチームに対する劣勢予想を覆えして勝負強さを発揮してきたチームでしたが、今回も名将・原晋監督の手腕が光る勝利でした。

2位に敗れた駒澤大学は順調に滑り出したものの、切り札の3区佐藤選手が逆転されるという、全く想定外の展開になったことで、チーム全体に動揺が走ってしまったのかもしれません。出雲、全日本と一度も首位を譲らずに圧勝していたことで、目に見えない隙が生まれてしまったのかもしれません。

3位の城西大学は、往路に起用された実力者が力を発揮し、5区山本選手の区間新の走りで勢いがつきました。復路は12位と苦戦したものの、往路の貯金がものを言い、同校最高順位を記録しました。

4位の東洋大学は大健闘でした。ここ数年低迷が続き、今回も前評判は芳しくなかったものの、往路の勢いを復路の選手達が見事に受け継ぎました。

國學院大學は、幾つかの区間で誤算があったものの5位に踏み止まり、地力があることを示しました。エースの平林選手ら有望な下級生が残る来季に期待がかかります。

東海大学は10区のブレーキが響き、惜しくもシード権を逃しました。優勝候補の一角だった中央大学は、吉居大和選手、中野選手ら主力の不振が響き、まさかの13位に沈み、シード権を失いました。藤原監督の巻き返しに期待したいところです。日本体育大学、順天堂大学、明治大学などは下位に低迷し、立て直しが必要になりそうです。

2024年の駅伝観戦記は終了で、明日からは通常のnote投稿に戻ります。昨日は、高校の同窓会や松本への移動もあって、3日目にして投稿を飛ばしてしまう実態を犯してしまいましたが、気を取り直して継続していきます。

ちょこっと宣伝

駅伝観戦歴40年超の経験を活かし、中長距離、マラソン、駅伝に関する観戦記や備忘録のnoteを書いています。

ご興味あれば、私がこれまでに書いた記事を集めた『Markover 50の中長距離・マラソン・駅伝コラム』も是非御覧ください。


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