天皇盃 第28回全国都道府県対抗男子駅伝競走大会　観戦記

1月22日（日）に、全国都道府県対抗男子駅伝競走大会が広島市で開催されました。（広島平和記念公園前発着　7区間48㎞）2021年、2022年と二年連続中止となっており、2020年以来三年振りの開催でした。レースは、優勝候補の長野県が4区で首位に立ち、2時間17分10秒の大会新記録で通算9回目の優勝を飾りました。概要を観戦記に綴ります。

郷土ランナー達の饗宴

47都道府県が、県内の一般（実業団・大学）・高校・中学から選抜した選手達でチームを編成し、全7区間で争います。1区（7㎞）・4区（5㎞）・5区（8.5㎞）を高校生、2区（3㎞）・6区（3㎞）を中学生、3区（8.5㎞）・7区（13.0㎞）を一般（実業団・大学生）の選手でタスキをつなぎます。

一般区間には、現在は他県の実業団チームで活躍しているご当地選手のエントリーも認められています。

レース概要

第1区：7.0km　平和記念公園前 - 広電井口駅東

実力者同士の争いとなったものの、高校トップクラスの実力者、兵庫県の長嶋選手（西脇工3年）が、中継手前500mからの一気のスパートで、年末の全国高校駅伝の1区に続いて制しました。

区間賞　長嶋幸宝（兵庫県）19分39秒＝区間新記録

第2区：3.0km　広電井口駅東 - 海老園交差点

首位で襷を受け取った兵庫県の新妻（遼）選手（平岡中3年）が、勢いを受け継いで快調に走りで、区間記録に迫る好記録で首位を保ちました。ここまでは兵庫県が順調なリードです。

区間賞　新妻　遼己（兵庫県）8分17秒

第3区：8.5km　海老園交差点 - 宮島口ロータリー

首位を走る兵庫県・目片選手（青山学院大学4年）を、京都府のスピードランナー、佐藤選手（駒澤大学1年）が落ち着いて追走し、中継所手前で逆転し、2秒差ながら首位を奪取しました。区間賞は、12人抜きを演じた2016リオ五輪代表（3000m障害）の群馬県・塩尻選手（富士通）が獲得しました。大ベテランの鳥取県。岡本選手（中国電力）は今年も後方からスタートして10人を抜き（33⇒23位）、大会通算134人抜きを記録しました。

区間賞　塩尻　和也（群馬県）23分30秒

第4区：5.0km　宮島口ロータリー - JR前空駅東(廿日市市大野)折り返し - JR阿品駅南

先頭で好走する京都府・大西選手（洛南3年）を、20秒差の4位から追い上げてきた長野県・山口選手（佐久長聖2年）が中継所手前で逆転しました。山口選手は、従来の区間記録を5秒更新する区間新記録でした。

区間賞　山口　峻平（長野県）14分2秒＝区間新記録

第5区：8.5km　JR阿品駅南 - 広島工大高前

高校生の最長区間。三年前の優勝メンバーでもある、高校長距離界No.1ランナーの呼び声の高い長野県・吉岡選手（佐久長聖3年）は、首位で襷を受けると、距離を踏むごとに後続のランナーとの距離を開いていく貫禄の走りを見せました。目標の23分30秒には及ばなかったものの、2位に上がった千葉県に37秒差をつけ、公約通り区間新記録を達成しました。

区間賞　吉岡　大翔（長野県）23分52秒＝区間新記録

第6区：3.0km　広島工大高前 - 草津橋

首位の長野県は、この区間でも小林選手（富士見中3年）が区間3位と好走。2位千葉県との差を49秒に広げる活躍を見せました。3位に兵庫県、4位に埼玉県と続きます。“スーパー中学生”として注目されていた福島県・増子選手（3000m日本中学記録保持者）が、狙っていた区間新記録には14秒届かなかったものの、5人抜きで区間賞を獲得しました。

区間賞　増子陽太（福島県）8分36秒

第7区：13.0km　草津橋 - 平和大通り、城南通り経由 - 平和記念公園前

大量リードに守られて、長野県のアンカーを務める、立教大学男子駅伝監督の上野選手（セントポールク）は、自分のペースを守ってのビクトリーランです。危なげない走りで、大会記録を1秒更新してゴールテープを切りました。2位には、荻久保選手が力走した埼玉県、3位には、嶋津選手が頑張った東京都が過去最高順位で入りました。佐賀県の山崎選手が10人を抜く活躍（21⇒11位）を見せ、区間賞を獲得しました。

区間賞　山崎　諒介（佐賀県）37分26秒

勝手に寸評

今年は、高校生区間の1区・4区・5区で区間記録が更新されました。優勝した長野県は、強豪・佐久長聖高校から選ばれて出走した1区・永原選手（2年・区間2位）、4区・山口選手（2年・区間1位）、5区・吉岡選手（3年・区間1位）の三選手が、区間新記録で走り抜け、優勝の原動力となりました。

中学生の記録向上は目覚ましく、体格的にも恵まれ、中学生離れした走りをする選手も多数見受けられました。