私の好きだった曲㉒:『心に茨を持つ少年』

残暑の厳しい日曜日でした。本日は、私の好きだった曲の第22弾として、1980年代の音楽シーンにおいて重要な位置を占めていたバンド、ザ・スミス(The Smiths)の代表曲の一つでもある『心に茨を持つ少年 The Boy with the Thorn in His Side』(1985)を取り上げてみたいと思います。

伝説のバンド、ザ・スミス

ザ・スミスは、ボーカルのモリッシー(Morrissey 1959/5/22-)とギターのジョニー・マ― (Johnny Marr 1963/10/31-)を中心に、1982年に英国マンチェスターで結成されています。インディシーンで人気を博し、デビューアルバム、『ザ・スミス The Smiths』(1984年)が話題となりました。1990年代になって、次々と登場してくるマンチェスター出身バンドの先駆者のような存在でした。

ザ・スミスは、モリッシーの書く示唆に富んだ歌詞と「ギタリストはあくまでも伴奏者」というポリシーから控え目ながら独特のサウンドを奏でるジョニー・マーのギタープレーを看板に、英国音楽シーンの中で、独特の位置を占め続けました。1985年に発売された『心の茨を持つ少年』は、愁いを秘めた歌詞に特徴がある独特の一曲です。歌詞の内容については、YUKIE(までさりまめ)様が書かれているnoteを参考にさせて頂きました。

ジャケット写真には、米国の作家、トルーマン・カポーティの若い頃の写真が使われています。

実は、聴き込んでいなかったバンド

ここまで偉そうに解説を書いてきました。しかしながら、ザ・スミスは私の青春時代真っ只中に活躍していたバンドではあるものの、当時の私に深く刺さっていたバンドではありませんでした。恥ずかしながら、著名な音楽評論家がしばしば話題にし、音楽性以外の所でも個性が際立ったバンドだったから、興味本位と上っ面で聴いていた、というのが実情です。

ボーカルのモリッシーにはカリスマ性があり、熱烈なファンがいます。私は抑え目のプレーに徹する、ジョニー・マーのギターワークは好きでしたが、アクの強さがあるモリッシーのボーカルは、少々苦手でした。バンドの軌跡を追うこともありませんでした。1987年と割と早い時期に実質解散していたことも、今回調べる中で知りました。

彼らが音楽シーンの最先端にいたのは、せいぜい3~4年程度だったことになります。活動期間の短さから考えれば、ザ・スミスの音楽性はインパクトが抜群で、驚異的だと思います。

独特の歌詞の世界

今回、この記事を書くにあたり、この曲の歌詞を意識して聴き込んだことで、以前とは違った印象を持ちました。原題の英文をカナ読みするのが定番のザ・スミスの楽曲の中で、この曲は唯一、はっきりとした邦題が付けられています。しかも、『心に茨を持つ少年』というタイトルは印象的でメッセージ性を強く連想させます。

そして、ずっしりと迫ってくる重々しくシニカルな歌詞が続きます。YouTubeで閲覧できる幾つかのライブ映像でも、独特の歪んだような世界観を感じます。曲調は、以外とポップに仕上げられていますが、そのアンマッチがいいように思います。

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