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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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2021年8月の記事一覧

入門書の醍醐味

近所のBOOK-OFFで購入し、読み始めたばかりの内田樹『寝ながら学べる構造主義』(文春新書2002)のまえがきがとても面白くて、腹落ちしたので学びのノートを書き残します。 時間を持つ人間の強い味方 BOOK-OFFもうかれこれ20年以上、BOOK-OFFには売買でお世話になっています。 引っ越し時や毎年年末には、自宅の本棚に入りきらなくなっている本や雑誌やCDを売却してきました。定期的なセールもチェックして、掘り出し物がないか漁ったりもします。出張時の空き時間にふらりと

現実主義の陥穽

ここ数日、西日本や中部での集中豪雨の影響で、河川の氾濫、住居の床上浸水などの被害が報告されています。今年も自然災害と無縁とはいきません。毎年のように自然災害による被害発生情報に接する度、不条理への怒りが沸きますが、ぶつける先もなく悶々とした気分になります。 さて、本日は、野口雅弘『マックス・ウェーバー 近代と格闘した思想家』(中公新書2020)を読んでいて出会った「現実」についての記述から、思ったことを広げていきます。 現実主義的に生きてきた私は、理想主義的な考えに惹かれ

左翼思想を学ぶ意義

偏見や先入観をもって捉えてしまいがちな左翼思想について、真っ当に学んでおきたいと思っています。本日の記事では、池上彰・佐藤優『真説 日本左翼史 戦後左派の源流 1945-1960』(講談社現代新書2021)の『序章『左翼史』を学ぶ意義』からの学びをまとめます。 今こそ、左翼思想を学んでおくべき数年前から、私は『今こそ、左翼思想を学んでおくべき』という問題意識を持っています。過去にも、関連した記事を何度も書いてきました。右翼と左翼の違い、社会主義と共産主義の違いすら理解できて

『「原っぱ」という社会がほしい』を読む

本日は、橋本治『「原っぱ」という社会がほしい』(河出新書2021)の読書感想文です。 ほんわかした頭のいいオジさん、と慕っていた人私は、本書を購入するまで橋本治氏(1948/3/25-2019/1/29)が亡くなっていたことを知りませんでした。誠に失礼ながら、小説家・評論家・随筆家として活躍された橋本氏を、私は「ほんわかした頭のいいオジさん」と勝手に想像して、慕っていました。橋本氏の文体や対象を扱う視点や議論の切り取り方が好きでした。享年70歳。早過ぎる死だと思います。