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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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2021年3月の記事一覧

わからない/ワカンナイ

本日は、偶然から広がっていった素敵な体験のことをnoteに残します。 エッセイの名手、沢木耕太郎氏との邂逅先日、新幹線車内に置いてあった雑誌で、偶然に出遭った沢木耕太郎氏のエッセイに感動したことをnoteに記しました。有名売れっ子作家である氏の作品に、これまで全く触れてこなかったのは不思議なことであり、このタイミングまでお預けになっていた運命の邂逅(めぐり逢い)だったと勝手に美化して考えています。 エッセイ『わからない』早速取り寄せて読み始めた氏のエッセイ集『バーボン・ス

『正義の政治経済学』を読む❸~民主主義を問い直す

本日は、古川元久・水野和夫『正義の政治経済学』(朝日新書2021)の第三弾、『第三章 民主主義を問い直す』(P163-223)を読んでの読書感想文になります。 前二回は本文からの抜粋に対して自分の学びや意見を記す形式で記録していった所、4,000文字を超過しました。加えて、記述内容の揚げ足取り的な指摘や、批判的なトーンの反論が多くなってしまいました。 この点を反省し、最もエキサイティングに読め、自分の頭で考える機会を得られたこの第三章については、総合所見的な感想文を残した

『正義の政治経済学』を読む❷~資本主義を問い直す

本日は、水野和夫・古川元久『正義の政治経済学』(朝日新書2021)の読書感想文第二弾、『第二章 資本主義を問い直す』からです。 社会の<レジリエンス>を育てる【1】近代は、『経済成長』を目指すことが是とされてきましたけど、本来は<成長>そのものが目的ではなく、本当は成長の先にある<幸せ>ですよね。<成長>はあくまで<幸せ>になるための手段であったはずです。極論すれば、幸福でさえあれば、別に経済成長などしなくてもいいともいえるわけです。(P74-75 古川) 【2】セルバン

『正義の政治経済学』を読む❶~歴史から問い直す

本日は、水野和夫・古川元久『正義の政治経済学』(朝日新書2021)の読書感想文、その第一回です。 さらば成長教…水野和夫氏は、著名な経済評論家(法政大学教授)で、古川元久氏は、愛知二区選出の現役衆議院議員(国民民主党)です。私の最近の関心事 ー脱成長ー に関連している本だったので、本屋で見かけて購入しました。 本書は、水野氏と古川氏の対談形式で、 第一章 歴史から問い直す(P19-71) 第二章 資本主義を問い直す(P72-162) 第三章 民主主義を問い直す(P163

『酒場天国イギリス』を読む

本日の読書感想文は、小坂剛『酒場天国イギリス 英国文化を味わい尽くす』(中公新書ラクレ2016)です。 英国に魅せられた著者の本本書は、図書館で借りて読んだら大変面白かったので、じっくり読み直したいと思い、購入して蔵書化することに決めました。 著者の小坂剛氏は、読売新聞メディア局編集部次長という肩書き(2016年時点)の現役新聞記者です。ロンドンに留学し、1年2カ月を過ごした際の経験から、英国の魅力の虜になったようで、まさに を体現された人です。 本書は三部構成全16

『新しい世界』を読む ~ダニエル・コーエン ”豊かさと幸福の条件”より

2021年1月に出た『新しい世界 世界の賢人16人が語る未来』(講談社新書)という本を読んでいます。この本のコンセプトは、過去に読書ノートを書いた『コロナ後の世界』(文春新書)と同じような感じです。 本書に収録された16名の賢人の談話の中で、一番納得感があり、印象深かった、ダニエル・コーエン”豊かさと幸福の条件”(P113-138)の項の読書感想文を残します。 ダニエル・コーエン氏とはダニエル・コーエン(Daniel Cohen 1953-)氏はチュニジア生まれの経済学者

『極上の孤独』を読む

本日の読書感想文は、一時期話題になった下重曉子『極上の孤独』(幻冬舎新書2018)です。再読になります。 ともだちを求めない人が増えた本音レベルでは、厳選された信頼できる数人とだけ繋がっていれば十分だ、という考えの人が増えているような気がします。疲れるだけの人間関係を断捨離して、自分のやりたいことに集中したい、と真剣に思っている人です。 社会的地位のある人や経済的に恵まれた人の中には、「ともだちは多ければ多いほどいい」「誰とも繋がっていないのは淋しい」という考え方はナンセ

『非属の才能』を読む

本日は、読了後に勇気を貰えた山田玲司『非属の才能』(集英社新書2007)の読書感想文です。 「非属」という生き方のススメの書山田玲司氏(1966/1/8-)は、各界のヤバい人へのインタビュー漫画『絶望に効くクスリ』で知られる漫画家です。 本書のキーワードである「非属」とはおそらく氏の造語で、「どこにも属せない感覚」「みんなと同じを拒否する価値観」といった意味合いです。 ざっくり纏めると、協調性=同調性(空気を読んで既成の価値観に黙って従う)と誤解して、時代の空気に思考停