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Markover 50 の読んだ本

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Markover 50の読んできた本の読書感想文を収めています。
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2020年10月の記事一覧

『50歳からの「死に方」』を読む

本日は、弘兼憲史『50歳からの「死に方」 残り30年の生き方』の再読、読書感想文です。 弘兼憲史氏の人生論弘兼憲史氏は、ベストセラー『島耕作』シリーズや『黄昏流星群』『人間交差点』などの社会派マンガの著作で知られる超売れっ子です。1947年生まれで自身が団塊世代に属することを踏まえて、人生についての著書も幾つか出しておられます。 弘兼氏にはサラリーマン経験があります。そのせいか、作品で扱われている状況設定に絶妙のリアル感があります。「お前みたいな大したことないヤツの末路は

『林住期』を読む

本日のnoteは、私に生きる指針を与えてくれる五木寛之『林住期』です。 無条件に信頼しているオトナ私にとって、五木寛之氏は、村上春樹氏、村上龍氏と並んで非常に重要な地位を占める作家です。高校時代に出会った衝撃の書、リチャード・バック『かもめのジョナサン』は五木氏の翻訳でした。 それ以来氏の著作を読み漁ってきました。扱う題材や文体、選ぶことば、価値観が私の嗜好や肌にしっくりと合う感覚があります。小説のみならず、エッセイの名手でもあり、『風に吹かれて』他、多数の名著があります

明石家さんまを考える ~『タモリ論』より

本日のnoteでは、明石家さんまという稀代の芸人についてです。樋口毅宏『タモリ論』の中の、第四章 明石家さんまこそ真の「絶望大王」である を読んで感じた読書感想文です。 生き様全てがエンターテイメント…「明石家さんまとはどういう存在なのか?」というテーマを普段真剣に考える機会はありません。著者の樋口氏も、 と書いています。 24時間365日エンターテイメントの世界に惜しげもなく身を捧げているように見えるし、自らがメディアに乗せて私生活や好みを語る場面も結構多いので、私た

『置き去りにされる人びと』を読む

本日のnoteは、村上龍『置き去りにされる人びとーすべての男は消耗品である〈Vol.7〉』の読書感想文です。 時代を代表する作家、村上龍村上龍氏は、日本を代表する人気作家です。1976年の24歳の時に、デビュー作の『限りなく透明に近いブルー』で群像新人文学賞と芥川賞を受賞し、いきなり百万部を超える大ベストセラー作家の仲間入りをしました。 私は、高校3年生の春に『限りなく透明に近いブルー』に出会いました。可愛がってくれていた母方の祖父のお葬式に向かう電車の中で、一気に読了し

『謎とき 村上春樹』を読む

本日のnoteは、石原千秋『謎とき 村上春樹』の読書感想文です。 村上春樹初期文学作品の謎とき本著者の石原千秋氏は、日本近代文学研究者。本書は早稲田大学教育学部で講義された内容をベースに構成・加筆され、2007年に発売された本です。 村上春樹氏のデビューから作家キャリアの初期に発表した小説、 『風の歌を聴け』(1979) 『1973年のピンボール』(1980) 『羊をめぐる冒険』(1982) 『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』(1985) 『ノルウェイの森

『人間が幸福になれない日本の会社』を読む

本日の読書感想文は、佐高信『人間が幸福になれない日本の会社』です。 佐高信氏とは?著者の佐高信氏(1945-)は、著書も多数あり、長らく活躍する著名な評論家です。リベラル系の論客として知られ、権力志向の政治家や役人、モラルを喪失した振る舞いをする企業人を徹底的に嫌い、本人名指しで舌鋒鋭く斬りまくっている強面の人、という印象です。今ではすっかり世に定着した『社畜』ということばを世に広めた人(考案者は小説家・実業家の安土敏<本名:荒井伸也>氏)でもあります。 私は、佐高氏が敬