📗【文書版】✴️礼拝メッセージ『主の熱心がもたらすもの』新約聖書　ヨハネの福音書第2章13～22節　2024年3月3日

📗昨日の礼拝メッセージのテキスト版もここに掲載いたします⬇️

✴️礼拝メッセージ『主の熱心がもたらすもの』
新約聖書　ヨハネの福音書第2章13～22節　2024年3月3日
 
13　さて、ユダヤ人の過越の祭りが近づき、イエスはエルサレムに上られた。
14そして、宮の中で、牛や羊や鳩を売っている者たちと、座って両替をしている者たちを見て、
15細縄でむちを作って、羊も牛もみな宮から追い出し、両替人の金を散らして、その台を倒し、
16鳩を売っている者たちに言われた。「それをここから持って行け。わたしの父の家を商売の家にしてはならない。」
17弟子たちは、「あなたの家を思う熱心が私を食い尽くす」と書いてあるのを思い起こした。
18すると、ユダヤ人たちがイエスに対して言った。「こんなことをするからには、どんなしるしを見せてくれるのか。」
19イエスは彼らに答えられた。「この神殿を壊してみなさい。わたしは、三日でそれをよみがえらせる。」
20そこで、ユダヤ人たちは言った。「この神殿は建てるのに四十六年かかった。あなたはそれを三日でよみがえらせるのか。」
21しかし、イエスはご自分のからだという神殿について語られたのであった。
22それで、イエスが死人の中からよみがえられたとき、弟子たちは、イエスがこのように言われたことを思い起こして、聖書とイエスが言われたことばを信じた。
 
　主の恵みと平安が皆さんの上に豊かにありますように。
　この日も皆さんとご一緒に主の日の礼拝にあずかれますことを心から感謝いたします。
 
　統一教会の新しい霊感商法が最近また出てきているようです。無形霊感商法と言う人もいて、壺や多宝塔を売るという形があるものじゃないものですね。以前は、先祖解怨というのがあって、おととしくらいに、テレビなどのメディアでも紹介されていましたけれども、先祖をさかのぼって一代何万円と言って怨念を解いて行くなどというんですね。430代さかのぼるそうで、全部やると数千万円かかってしまうということはこれまであったのですが、
　これはある方の、X、旧ツイッターの昨年末の投稿ですが、「中心霊13体抜き」というのが最近出て来たそうですね。一人一人に13体の悪さをする悪霊がいるなどと称して、1体2万円で解怨できる、というんですね。まぁ1体2万円といっても、そのうち、26体必要とか、130体必要とか、どんどん増やしていくんじゃないか、そういうコメントがその方の投稿に寄せられていました。
まぁ次々とよく思いつくものだと思うんですけれども、まぁ言ってみれば、宗教ビジネスなわけですね。
 
　で、今日のみことばは、まさに「聖書に記された宗教ビジネス」と言ってもいいと思いますね。よく「イエス様の宮きよめ」と呼びならわされている箇所です。ただ、「宮きよめ」と言うのも、少しこの箇所のみことばそのものが言っていること・主がお語り下さっていることとずれるのではないかとも思います。そのことも後でおのずと明らかになってくると思いますが、イエス様が、天の父なる神を礼拝し、祈るために建てられたはずの神殿の境内で商売がなされていることをご覧になって、大変お怒りになった。そこで、イエス様は、珍しく大暴れなさったように見えるわけですね。細縄でムチを作って、羊も牛も追い出された。両替人の金を散らして、その台をひっくり返された。まぁなんと乱暴なイエス様か、と思う人も多く、よく信仰のつまずきのもととなる箇所、と呼ばれたりするんです。
 
　これはしかし背景を話しておく必要もあると思います。これらの商売は、もともとは悪い動機で始まったものではありませんでした。
　まずは両替ですね。エルサレム神殿での献金のお金は、ユダヤのお金でないといけませんでした。しかし、当時、人々が主に使っていたのは、当時流通していたローマのお金なんですね。イエス様がたとえ話で1デナリと話されたり、弟子たちが200デナリとか言う時のデナリもローマのお金ですね。普段からユダヤ人もそればかり使っているわけです。普段使うのには仕方ないにしても、ローマの貨幣には、皇帝の像が刻まれているので、これを神殿で使うのは偶像礼拝にあたるのではないか、ということもあり、ローマのお金は神殿で使えなかった。でも献金は当時は義務でしたので、じゃあ便宜をはかってあげますよ、ということで、ユダヤのお金に換えてくれる人が現れて来ると、礼拝に来る人たちにとっても、大変便利で、ありがたかったわけです。
 
　もう一つは、神殿で、どうして牛や羊や、鳩が売られていたかというと、まずはエルサレム神殿にやってきて、牛や羊や、貧しい人なら鳩をささげなければならない。しかも、モーセの律法によれば、傷のないものでなければならない。そうすると、遠い所からエルサレム神殿まで長い道のりを家畜を引いてやってくると、途中で、ケガをしたりして、傷を負ったりするわけですね。こうなると、さぁ連れて来たはいいものの、ささげることができない。これも大変困るわけですね。
　そこで、最初は神殿の近くだったでしょうけれども、牛や羊を売ってくれる人が現れ出した。「これはありがたい！途中で傷がいったらいかん、とビクビクしながら連れて来る必要もないし、なにしろ引っ張って連れて来ること自体がもうすでに大変やったけど、その苦労からも解放される。」と思った人もいるでしょう。
 
　まぁそういった礼拝者たちのための良い動機で始まったものですけれども、だんだんとそのビジネスが大きくなってきました。神殿の境内などと訳されたりもしますけれども、正確には

　異邦人の庭、というところで商売がなされていたようです。それで、イエス様当時は、これが通称大祭司アンナスのバザールと呼ばれていまして、当時は相当あくどい宗教ビジネスになっていて、その売り上げの一部やショバ代が、大祭司アンナスとその一族に吸い上げられるシステムになっていたわけです。そういう構造的な悪がありました。
　それで末端の商売もですね、両替も、手数料が15％だったと言う話もありますし、いけにえの動物ですね。これも、祭司が傷無しと認定した、お墨付きの、合格印のものは、普通に買う相場の何倍もの値段がしていたという話も近年出てきているようですし、
　さらに酷いんですよ。買うのはお金がもったいないと思って家畜を引いて来た人がいます。その人が、傷がないな、と思っていても、祭司がチェックに入るわけですね。傷がなくても、色々理由つけて「いやーダメですよ」って言うわけですね。そうしたら、チェックマンはですね、申し訳ありませんがあちらの方でお買いください、と店を案内して、あなたが連れてきた家畜は、こちらでお引き取りしますよ、と言うわけですね。そして、そのお引き取りした家畜をそのまま、今度は、別の礼拝者に売るわけですね。相場の何倍の値段で。悪徳業者でしょう。（どこかの中古車販売の会社みたいですね）
　
　まぁそういうわけですから、イエス様は、その神殿の中でメエメエ、モウモウ、ギュウギュウ、バサバサ、グルッポグルッポ言っている。そして安いよ安いよ、っていうことば飛び交っている現場を見られて、その背後にある腐敗に、あるいは、そのアンナスのバザール自体の構造的悪に立ち向かわれたんだ、というイエス様は正義のヒーローのような読み方もされることがありますけれども、それも少し違うということも、後でおのずと分かってきます。
 
　それで私は、実はこの箇所のみことばは、大変心に深く刻まれているみことばなんです。といっても、というのも、辛く苦しい思い出として刻まれているんですね。実はこの箇所でもって大変責められたことがあるからなんです。
　もう話してもいいと思いますので、ここからは私自身の体験を赤裸々に話したいと思いますけれども、最初その私が、22年前に、ブライダルの花嫁衣装の会社に入ったわけですね。そして同時に、私が3年前まで所属していた単立教会の礼拝にも出るようになりました。洗礼も受けて献身して、教会内の神学校で学び伝道師になり副牧師となりました。それもブライダルの会社で働きながらです。最初の10年は非常によくしてもらいましたし、会社で仕事も教えていただいたし、大変良いいろんな経験をさせていただいた、ということで最初の10年はもう感謝しかありません。
　しかし、教会堂の問題というのが、いつもつきまとっていたんですね。最初の10年を過ぎたころからそれが顕著になってきまして、要するに―これは大変珍しいケースなんですが―もともと建物が会社と教会の兼用だったわけですけれども、要するに、いわゆる教会堂の聖別、というのがなされていなかった、ということなんです。教会堂が建ったときに、献堂式とか聖別式とかいうのがなされたりしますけれども、教団教派によって多少考えが異なったとしても、献堂というのは、会堂を神さまにささげる、という意味ですし、聖別っていうのもほぼ同じ意味で、聖なるものとして別のものとする、ということですね。要するに神さまのご用、つまり礼拝や聖書の学び会や祈祷会、そういった神さまのための用途にしか使わないということを定めるわけですね。それが献堂式であり聖別式ですね。教会堂でバザーなどをすることがあったとしても、必ず―たとえば新会堂建築のためなどという目的が先にあって、そのためのバザーというふうに―神さまを第一にしてバザーをするわけですね。もし平日どこかの音楽などの団体に会堂を貸すにしても、決して決して、集会や祈祷会の妨げにはならないようにするわけですね。主の名による集会が最優先なんです。
　それで、3年前まで働いていた教会では、まぁ献堂式自体は約30年前にしていた記録がありましたし、献堂をしたとは何度も聞いておりました。しかし実体は聖別がされていなかったので、そうなると、どうしても会堂の使い方が、ビジネス優先になってくるわけです。(資本主義の世の中では、どうしても経済効率性が優先されるようになってくる)
　私はある時に、ある信徒の方と、一緒に、いろいろ話しているうちに、今から会堂で一緒にお祈りしましょう、という話になりました。そこで一緒にお祈りをしている時に、急に花嫁さんの撮影が入ったのでしょう。それで、「田村さんちょっと」って耳打ちをされる、これは「席を外していただけませんか」という意味なので、私はその信徒の方と会堂から外に出ることになりました
　そういった類のことがちょくちょくあったりですね、まぁ教会堂の中に韓国語の―ハングル文字の―背表紙がついている、韓国人クリスチャンの書いた信仰書などが教会図書にあったのですが、「ハングルなんかが教会にあったら花嫁さんが怖がるやん」と言われてですね、ブライダルのビジネスのために見栄えを良くするために、教会堂の本棚の本をここから全部運び出せ、ということがあったんですね。その頃に私はパワハラざんまいを受けてですね、「この教会堂でビジネスの邪魔だけはせんといてよ」とこう言われたんですね。そしてこうも言われたんですね。「イエス様悪いやん」って。「ムチを作って追い出したなんて、イエス様悪いやん。その商売をしゆう人たちは、【生活】があるがやき」とこういうことだったですね。ただそう言った人が悪いというよりも、むしろそもそも会堂の運用形態自体が、礼拝や祈りの場であることを妨げていたので、私はこの会堂は、礼拝も伝道も二の次、ビジネスが最優先、これは教会堂ではないのではないか、と思いました。(その運用方針を見て怒ったり、あるいはガッカリして礼拝に来なくなった人を何人か見てやるせない気持ちになった)
　
　その後この現状をなんとか内側から変えることができないかということも一部あって、神戸ルーテル神学校に行きまして、3年間経ちましたら会堂の問題はやや沈静化しまして、でもやはり聖別されていないという問題はずっと一貫して残っていたんですね。
　私が水曜日の夜に、通常よく他の教会がする祈祷会の代わりに、夕方の礼拝、夕礼拝を毎週決まった時間に継続しておりました。けれども、後からジャズコンサートが突然入りました。クリスチャンジャズアーティストではないので、途中で信仰の証しをしますとかそういうのは全くないんですね。時間が同じ時間でかぶってバッティングしてしまって、そこで、「夕礼拝がもともとあるからジャズコンサートを別の曜日にしよう」とか「ジャズコンサートの時間をずらそう」ではなくて「夕礼拝の時間を動かしたら？」と言われたんですね。
　まぁ何というか、結局動かさなかったんですけれども、礼拝がいかに軽んじられているか、っていうことですよね。そりゃあ私もジャズを普段聞くのは好きなんですけれども、礼拝中にそれが上の階から流れて来るのは、とても礼拝に集中できないですね。(そういうふうに伝道の働きをする権利も奪われ続けてきました。)
 
　そして、何か日曜の朝の礼拝も、復活の主イエス・キリストを通して父なる神をほめたたえる時間というよりも、何か別のものをほめる時間、のようになってしまって行ったように―これは私の主観ですけれども―思います。そうしますと、礼拝が妨げられている。私自身も来たくなくなりましたし、最終的には大変悲しいことに閉所ということになったんですね。
　私は、明確なことは分かりませんけれども、自戒も込めて一般論として申し上げますけれども、普段から教会堂の運営において、神さま第一に建物などを運営していないと、いや、運営のことじゃないでしょうね。心の中で、普段から神さまを第一にしていないと、何か危機の時に、もっと大事な守りたいものがあったとしたら、そっちを優先してしまって、そちらを守るために、教会堂・主の宮を犠牲にしたり、集っている魂を犠牲にしたり、してしまうことがあるのではないだろうかと、自戒を込めて、わたくしも襟を正しておかないといけないと思わされました。
 
　そういうわけで、主の宮・教会堂の聖別、というテーマでずいぶん語ったような格好になりましたけれども、もちろん、会堂の聖別、ということを語るテーマ説教、ということを、この箇所から語ることは、よくある説教の手法ですし、今日はそれを学びとして終わっても良いかもしれません。けれども、それでは、今日のみことばが本当に語りかけていることを、本当は実はまだ聞きとっていない、ということになります。
 
　実は、この宮きよめ、と呼びならわされているできごとは、4つの福音書全部に記されています。けれど、他の福音書と、ヨハネは明らかに言いたいテーマが異なるんです。たとえば、マルコの福音書ですと、「わたしの家は、すべての国の人の祈りの家と呼ばれるべきである」とあります。すべての国の人の、ということばは、他の福音書記者は省いています。マルコは、それを省かずに書くことによって、また異邦人の庭で異邦人が祈ることを妨げられていたということで、この商売が、イエス・キリストによる救いが、異邦人に及ぶ、つまり全世界に及ぶことの邪魔をしていたことを暗示しているんですね。
　マタイとルカは、「すべての国の人」というのを省いて、祈りの家、ということで、「真実の祈りの回復」というのをテーマに語っているんですね。マタイやルカから説教する場合、「教会堂は祈りの家である」といった説教になるかもしれません。
 
　ところがヨハネの方は、他の3つの福音書と明らかに違うんですね。まぁ他の福音書と違って、ヨハネでは、イエス様の伝道活動のごく初期にこのできごとが描かれているという点が大きく違うと言うのもありますけれども、これに関しては学者たちが色んな説を言っていて定まりませんので、今日はそれには深入りしないことにしますが、一番大事な違いは、その後のユダヤ人権力者たちとのやりとりなんです。18節からもう一度お読みします。
 
18すると、ユダヤ人たちがイエスに対して言った。「こんなことをするからには、どんなしるしを見せてくれるのか。」
19イエスは彼らに答えられた。「この神殿を壊してみなさい。わたしは、三日でそれをよみがえらせる。」
20そこで、ユダヤ人たちは言った。「この神殿は建てるのに四十六年かかった。あなたはそれを三日でよみがえらせるのか。」
21しかし、イエスはご自分のからだという神殿について語られたのであった。
22それで、イエスが死人の中からよみがえられたとき、弟子たちは、イエスがこのように言われたことを思い起こして、聖書とイエスが言われたことばを信じた。
 
　ということですね。ユダヤ人という書き方は、著者ヨハネの言い回しで、ユダヤ人権力者のことですね。そして、彼らは、即イエスを捕らえよ、ではなくて、一応は聞いてくるわけですね。たとえば旧約のゼカリヤ書の最後の最後に、「主の宮にはもう商人がいなくなる」とありました。そんなことするんだったら、あなたがメシアだっていうんですか？という意味です。ここで言われている「しるし」とはイエス様がメシアであることを示す証拠としての奇跡のことです。
　そこでイエス様が、謎めいた答えをなさいますね。
 
「この神殿を壊してみなさい。わたしは、三日でそれをよみがえらせる。」
 
　でこれは、あとのほうをお聞きになってお分かりになっていると思いますけれども、字義的なこと、文字通りのことをおっしゃっているのではなくて、霊的な事を比喩でお語りになっているんですね。
　聖書にこういうかみ合わなさってありますよね。イエス様が霊的な事をおっしゃっているのに、次のヨハネ3章のニコデモもそうなんですけれども、弟子たちもそんなところがあって、文字通り取ろうとするので、とんちんかんなかみ合わないやり取りになっているところが新約聖書にはいっぱいあるんですね。だから、ユダヤ人権力者たちは、
 
「この神殿は建てるのに四十六年かかった。あなたはそれを三日でよみがえらせるのか。」
 
　という聞き方をしてくるわけですが、著者のヨハネは親切なんですね。21節、22節は、著者ヨハネの解説のナレーションなんです。
 
21しかし、イエスはご自分のからだという神殿について語られたのであった。
22それで、イエスが死人の中からよみがえられたとき、弟子たちは、イエスがこのように言われたことを思い起こして、聖書とイエスが言われたことばを信じた。
 
　と。ここで、ヨハネが、強調していることは、神殿のビジネスの終わりというより、このいけにえを捧げる古い宗教の終わりなんですね。
　そのことを語る上で、どうしてももう一つ前の話を上げておかなければなりません。聖書は前後の文脈で読むことが大切でして、直前の話と合わせて、この2つの話はいわばセットとしてヨハネは書いているわけです。ヨハネのこの今日の第2章13節よりすぐ前の、1節から12節は、有名な「カナの婚礼」という箇所ですね。
 
主イエスが、カナの町の結婚披露宴で、葡萄酒がもうすぐで無くなるという時に、水がめに汲んだ水を葡萄酒にお変えになった。これが主イエスの公生涯の最初の奇跡と言われるわけです。
　水が葡萄酒に変わる、これは何を意味しているかというと、葡萄酒というのは、のちの聖餐と繋がっていると言われたりしまして、イエス様のもたらす新しい契約を表しているんですね。そして、この水がめに汲まれていたのが、きよめの水であることが、ここで注目すべきことなんですね。
　このきよめの水は何に使われたか？衛生上の手洗いでは無いんですね。儀式的きよめなんですね。ユダヤ人が異邦人と呼んで汚れた者呼ばわりしていた、その異邦人と接触したら、複雑なきよめのしきたりがあって、それを忠実に守ることで、神との良い関係が保たれると思っていた。
　そしてその次の神殿の状況では、やはり律法に従って律法を守ることによって、神との良い関係が保たれると思っていた。それを助けるために商売をすることは良いことだと大祭司アンナスの一族によってされていた。
　まさにイエス様は、それを破壊されたんです。終わらせられたんです。もっと言えば、「神との取引をやめさせた」んです。「神との商売をやめさせた」んです。
　人間の社会では商売をしますし、取引をしますね。不当や不正なものでなければ、何も悪いことないと思います。しかし神との関係においても、それをしてオッケーとしたがるのが人間ではないかと思います。神との取引、神との商売、それこそが、律法主義と呼ばれるものなんです。神さま、これだけしますから、それと引き換えにゆるしや愛をください、（あるいは、私の人生を祝福してください。私の人生を私の思い通りにして下さい）と言うことにほかならないからです。でもそれでは人間の救いにはならない。人間のすることには必ず限界があるからです。
　いけにえの動物をささげるのもそうです。罪のためのいけにえ？そんなものでは人間の完全な罪のゆるしにはなりません。きよめのしきたり？なるほど几帳面に穢れを避けている。天地の創り主であるまことの神を信じない異邦人はバッチいとばかりに、避けていれば大丈夫？それそのものが、差別を生んでいるのではないか？きよめを求める心が、かえって心のうちの汚れを生んでいるのです。
 
　主イエスは、その両方を、打ち砕かれました。壊されました。何によってか？ご自分のからだによってです。壊してみなさい、とお語りになったのですが、こともあろうに、文字通りエルサレム郊外で、十字架の上で、そのお体が壊されます。その主の十字架によって、私たちの罪も赦されました。
　そして、三日でよみがえらせるというのは、十字架の死と葬りの後の、三日目のご復活のことです。十字架と復活によって、儀式といけにえの神殿中心の古い宗教は終わり、新しい契約による、主イエスのご復活を土台とした、新しい信仰がここで誕生する！そのことが語られています。
　主イエスはサマリアの女性に、「どこで礼拝すべきですか？エルサレムですか？ゲルジム山ですか？」と問われた時に「ゲルジム山でもエルサレムでもない。真の礼拝者たちが、霊とまことによって父を礼拝する時がくる」とおっしゃいました。まさに、その時が来ているのです。
 
　そういうわけで、私たちは閉所というところを通りましたけれども、大切なことを学びました。この初代のキリスト者たちが、神殿中心の礼拝から霊とまことによって礼拝するようになり、神殿依存から脱却できたように、一つの会堂に固執する会堂依存から脱却することができました。そこからの3年間の旅路は、あの綺麗で大きな会堂にいた頃よりも、ある意味では遥かに良かったと思っております。主が1週間後すぐにちょうどご復活を祝うイースターに礼拝をあの倍音共鳴さんで復活させてくださって、そしてそれから3年間の歩みは、何の圧力も受けることが無い。祈りや礼拝の妨げをされることもない。祝福と、神さまの導きの御手を確かに感じさせていただいてきたと思います。主の熱心が、これからもこの先の旅路を、導いてくださることでしょう。
 
お祈りをいたします。
恵みとあわれみに富みたもう、私たちの主イエス・キリストの父なる御神
あなた様の御ひとり子、主イエス・キリストの、大変お厳しいお顔が見えるようでありましたけれども、その背後に、どれだけ人の魂を救いたいかという、深い深い、私たちには計り知れないほどの愛があり、それを感じさせてくださって、心から感謝いたします。あなたの御熱心は、やがて、御子主イエスを十字架に送ることになりました。そこで主イエスのお体は壊され、しかし三日目によみがえらされ、このお方こそ真実の神殿となりました。ご復活の主イエス・キリストを通して、父なる神を礼拝するという、霊とまことによる礼拝が、今、こうして私どもに開かれておりますこと、そしてそれにあずかれますことを心から感謝し、主イエス・キリストの御名によって祈ります。アーメン。